第17話 自分を許すことの大切さ

過去の失敗や後悔、あるいは自分が抱える弱さ――それらを抱えながら生きていると、いつの間にか自分を責め続ける癖がついてしまうことがあります。「どうしてもっと頑張れなかったのか」「なぜこんな風にしかできなかったのか」。そんな言葉が、心の中で何度も繰り返される。


私も、自分を責める癖が抜けずに苦しんでいた時期がありました。でも、その苦しみから少しずつ解放されるきっかけとなったのは、「自分を許す」という考え方に出会ったことでした。


自分を責め続ける日々


自分を責める気持ちは、しばしば善意から来ているように見えます。「もっと成長したい」「間違いを繰り返したくない」という願いがその裏に隠れています。しかし、過剰な自己批判は私たちを前に進ませるどころか、心のエネルギーを奪い、未来への一歩を重くするだけです。


私も、自分の失敗や不完全さに苛立ち、それが原因でさらに自信を失うという悪循環に陥っていました。それは、自分を赦せないという呪縛のようなものでした。


自分を許すことがもたらす変化


あるとき、「自分を許す」という言葉に出会いました。それは、「自分の過去や弱さを受け入れ、許容する」という意味です。この考え方を試してみると、少しずつ自分に優しくなれる感覚が生まれました。


自分を許すためのステップ


私が実践してきた「自分を許す」ための方法を、いくつか紹介します。

1. 自分の弱さを受け入れる

私たちは皆、不完全な存在です。それを否定するのではなく、「これが自分だ」と受け入れることが、許しの第一歩です。私は、鏡を見て「今日も頑張っているね」と自分に声をかけることで、自分を肯定する練習をしました。

2. 失敗に価値を見出す

失敗は学びの機会でもあります。私も、過去のミスを振り返り、「これを通じて何を学べたか」を考えることで、失敗を肯定的に捉えられるようになりました。「あの経験があったから、今の自分がある」と思える瞬間が、許しの感覚を育ててくれました。

3. 他人と比較しない

自分を責める原因の多くは、他人と比べることにあります。私は、「他人の成功はその人のもので、自分の成長は自分のもの」と割り切るよう努めました。他人を基準にするのではなく、自分のペースで進むことを許すことで、心が軽くなります。

4. 「完璧」でなくていいと思う

「完璧でなければならない」という思い込みを手放すことは、とても重要です。私は、失敗したり、頑張れない日があっても、「それでいい」と自分に言い聞かせるようにしています。

5. 感情を書き出す

許すためには、自分の感情を整理する必要があります。私は、日記にその日の感情や、自分を責めた理由を書き出し、最後に「でも大丈夫」と書き添える習慣をつけました。それが、自分を慰め、許す一歩となりました。


自分を許した先にあるもの


自分を許すことができると、心に不思議な余裕が生まれます。他人の言葉や出来事に過剰に反応することが減り、自分のペースで進むことができるようになります。そして、過去を振り返るときも、それが単なる痛みではなく、成長の証として見ることができるようになります。


最後に


私たちは誰もが不完全な存在です。それでも、その不完全さを受け入れ、許すことで、心は軽くなり、未来へ進む力が湧いてきます。自分を責めることは、もう十分にしてきたはずです。これからは、自分を許し、優しくしてあげる時間を増やしていきましょう。


次回は、「他人を許すことと、その効果」について考えます。他人との関係の中で生まれる怒りやわだかまりをどう解消し、許すことが私たちの心にどんな変化をもたらすのかを探っていきます。

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