冒険!ダンジョンアドベンチュラ- ~お宝探しと危険なモンスターたち~

ななくさ ゆう

プロローグ

~ダンジョン第一階層に突入して30分後~

「うりゃぁぁ!」


 オレは叫んで、さっき入手したばかりの電撃刀ビリビリソードでモンスターをぶったたいた。

 ネズミに鋭い牙とツノを生やしたようなモンスター――牙ネズミファングラットはそれで消滅した。

 オレはVサインを仲間たちパーティメンバーに向けた。


「イェイ」


 そんなオレに例によって挑英ちょうえいが文句をつけてきた。


「いいかげんにしろ、疾翔かける! 一人で突っ走るな!」

「うるせーな。自分が活躍できなかったからってひがむなよ」


 またしても口ゲンカを始めそうになったオレたちを、あおいちゃんが止めた。


「二人とも、いいかげんケンカはにやめて。今は命がけのダンジョン探索の真っ最中で、ダンジョンアドベンチュラ-になるための試験中なのよ!」


 まあ、そうなんだけどな。挑英の物言いはいちいちムカつくんだよなぁ。

 一方、四人目の仲間の優汰ゆうたが「まあまあ」とオレたち三人をなだめてくれた。


「それよりさ、あそこにも宝箱があるけど」


 お宝発見だ! オレと挑英は目を輝かせた。


「お? マジじゃん」

「今度はなんだ?」


 オレと挑英は宝箱に駆け寄り中身を確認した。中に入っていたのは小さな豆粒だ。

 オレは手に取って仲間たちに見せた。


「なんだ、このチッコイ豆?」


 優汰がと推測を口にした。


「たぶんだけど、爆豆パンパンまめだと思うよ」


 その言葉に、オレと挑英はあからさまに落胆した。


「なーんだ、貴重さレアリティ最低ランクのアイテムじゃん」

「さっきの電撃刀ビリビリソードの方がまだマシだな」


 そんなオレたちに、冒険の監督役で試験官でもある一角いっかく教官が言った。


「みごとな観察眼だ。春風はるかぜ優汰」

「ありがとうございます」

志音しおん疾翔、飛来ひらい挑英。お前たちはもう少し慎重に行動しろ。宝箱には罠が仕掛けられている可能性もあると教えたはずだ」


 そうだけどさ。初心者向けのダンジョンには罠なんてほとんどないとも言っていたじゃん。

 ……などと思いつつも、一応「すみません」と謝っておいた。

 試験官にさからってもいいことないしな。


「とにかく次行こうぜ!」


 オレはそう言ってダンジョンの中を走った。


 挑英が後ろから文句を言ってきた。


「だから慎重に動けと何度言ったらわかるんだ」


 それはそうなんだけどさ。

 ワクワクウズウズが止まらないのだ。

 なにしろ初めてのダンジョン探索だからな。


 オレは世界最高のダンジョンアドベンチュラ-になる男、志音疾翔だ!




 そんな風に調子に乗っていた罰なのだろうか。

 それからしばらく探索を続けた後。

 オレは幼なじみの優汰が、モンスターの吐いた炎で丸焼きになるシーンを目撃することになった。


「ぎゃ、ぎゃぁぁっ」


 炎に巻かれながら悲鳴を上げる優汰に、オレは何もしてやれなかった。

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