俺が殺した男

陽が言ったことを理解するまでに時間がかかった。まず、言葉が理解できない。そして陽の口から残酷な言葉が出たはずなのに陽の笑顔で幻聴だったのか?なんて錯覚してしまったりもしてしまった。「……何で、知って?というか死んだって」ようやく出た声は酷く震えて上手く言葉にできているのかも分からない

ほどだった。「りょう、く、も、過去に、戻ってた?」俺は頷いたするとまた陽は笑うのだ一緒だと。死んで気づいたら過去に戻った陽は簡潔にそう言った詳しいことは何も語らない。いや、語らなくても俺なら分かると思っているのかもしれない。「りょう、く、は、なんで、過去、に、戻れ、たの?」……死神と契約して自分の命の代わりに過去に戻ったなんてこと言えるはずがなかった。「……耐えきれなくなったから、自分が人を殺したという事実に。その後は覚えてない 気づいたら過去に戻ってた」陽はそっかとだけ言ったそっかとだけ言って少し悩んでごめんねと呟いた。俺はなんで謝るのか分からなかっただから俺も少し悩んで馬鹿だなと思った。陽は自分のせいで俺が

死んだと思ってるらしい「言っとくけど、

お前のせいじゃないからな。どちらかと言うとお前のおかげに近いし」知りたくないことからは目を背けてた俺にとってこの現実いまは辛くて苦しいだけじゃ終わらせない。過去の俺は逃げて全て忘れようとして、引きこもって家族にはゴミ扱いされてた。もう

ゴミ扱いは慣れたけど今度は辛いのも苦しいのもしっかりと受け止めて抱きしめてちゃんとした人間になりたい。人の不幸で喜ぶしか脳がない人間じゃなく人の幸せを心から思える人間に。それに気づかせてくれたのは間違いなく陽だった「ありがとう、そして

ごめん。俺のことは許せとは言わないから」

すると今度は優しく俺の頭を撫でた「許すよ」と。それから「痛いの、痛いの、飛んでいけ」と笑顔で言った。優しくて暖かくて心にしみてまた俺は泣いた。時分で泣き虫だなと笑った「泣いて、いいんだよ」優しく笑いながら呟く。夕方になり 陽が帰ろうと

したところを引き止めた 少し驚いてたけど

「なに?」と振り向いた。「やっぱり、一緒にいたい。我儘だってわかってるけど」すると陽はしょうがないなと笑った。

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