クラゲになりたい

@yura424

第1話

クラゲになりたい


消えたい。


真っ暗な部屋の中私の頭の中にはそのような感情が浮かび上がる。


誰にも気づかれたくなかった。でも誰かに知ってもらいたかった。自分でもわから


ないこのぐちゃぐちゃな気持ち。どのように前に進むのかわからなくなった。





静かな海辺には霧が漂い波の音が聞こえる。私は岩場に座りしじっと海を眺めている


先には冷たい海にぷかぷかと浮かぶクラゲがいた。その姿はそこにいるのかいないの


かどちらとも言えない曖昧さがあった。クラゲは、何も求めず、ただ波に身


を任せているだけだ。食べることも、逃げることも、戦うことも、そこには何の感情


もないように見える。ただ、静かに存在し、そして消えていく。


『いいなぁ』

私は思わず声を出してしまった。もちろん誰も聞いてない。私は、自分がクラゲに


なりたいと思った。いや、もっと正確に言えば、クラゲのようにこの世界から消え


たいと思ったのだ。

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