冷血色に染める間接照明

岸亜里沙

冷血色に染める間接照明

「もし私が誰かを殺した事があるって言っても、あなたは私を好きでいてくれる?」


「その殺人が、どのようなものかによる。それが正当防衛によるものなら、僕は君の殺人を肯定する。しかし、それが快楽殺人であるなら、否定する」


「生理的に無理になってしまった相手を殺すのも駄目かしら?それも正当防衛って言わない?」


「正当防衛とは、君が殺されそうになった際に、相手を殺してしまった場合のみに使う言葉だ。君の言っているそれは、快楽殺人と一緒だ」


「でもさ、生理的に無理って事は、それだけ相手が私を苦しめてるって事でしょ?だったら殺してもいいでしょ?」


「生理的に無理なだけでは人間は死なないから、正当防衛にはならない。君の言っている事は、単なる屁理屈だ」


「じゃあ質問を変えましょう。もしあなたが誰かに殺されるなら、どのような殺され方をしたい?」


「僕は誰かに殺されるのも、誰かを殺すのも御免だ」


「私がもし殺されるとしたら、やっぱり銃かな?だって一瞬で即死出来るじゃん。苦しみながら死ぬなんて、最悪でしょ?」


「拳銃で撃たれたとしても、箇所によっては何時間も苦しみながら死ぬ事になる。銃殺や刺殺、絞殺のどれもが、何かしらの苦しみは伴う」


「あなたって、いつも論理的ね。あなたは誰かを憎んで殺したいって思った事無いの?」


「今この瞬間、君を殺したくなるね」


「矛盾してない?誰かを殺すのも御免だって今言わなかった?」


「自分自身で手を下すのは御免だという意味だ」


「じゃあ私が誰かに殺されたら、あなたは喜ぶわけ?」


「肯定も否定もしないよ」


「最低ね。あなた、快楽殺人者より最低よ!」


「もう夜も遅い。間接照明を付けて、今夜は寝ようじゃないか」


「私が寝たら、あなたは誰かを呼んで私を殺す気でしょ?絶対寝ないからね!あなたが先に寝たら、私があなたを殺すから!先に寝た方が負けよ!」


「ひとつ聞きたいんだが、君が作り出したを、君はどうやって殺すんだい?」

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冷血色に染める間接照明 岸亜里沙 @kishiarisa

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