第4話 悪役は自分では戦わない

あの後、シウスに頼んでシスティアを育成場に送ったのだが、送った後で気付いた。


ーーあれ、これシスティアめっちゃ強くなるんじゃね?


ゲームでは幼少期に騎士に憧れ、今現在も尊敬しているらしいのだが令嬢ましてや奴隷という身分のため剣を振るうことが許されなかった。

そんな彼女が騎士としての教育を受けるとどうなるのか、きっと精強な騎士になるのではないだろうか。


今更、取り消すわけには行かないし騎士以外にいい立場が思いつかないので、諦めよう。


その代わり対策をする。

具体的には私軍を作ることである。


え?自分の剣技を鍛えないのかって?

落ち着いて聞いてほしい。

まずゲームの主人公は攻撃魔法がありながら剣術も鍛え上げている。

そして主人公と同じくらい強いアルバルトもかなり剣に関しては努力しているのだ。

それをねじ伏せるのがシスティア。

つまり天才なのだ、かっこよく言うと先天的才能。


そもそも悪役は最初から自分で戦わない。

手先をぶつけるのが悪役で、自分で戦うのは最終手段だ。

そのための手先(私軍)である。


まずこの世界では地球の中世と同じく、常備軍というのが存在しない。

親衛隊も伯爵家傘下の幹部達で構成されていて、練度の低さを支援魔法でカバーしている。

簡単に言うと、大体の貴族達は戦争になると平民から徴兵して出向くのだ。


なので俺は地球で言うところの黒軍を作ろうと思う。

それをシスティアにぶつけるのだが、文明荒らしみたいで神罰が降りそうだ。

理想の兵数はまだ子どもなので100。

と言うわけでシウスに相談したのだが


「100人を常時軍に居させるとなると、一つの村からの税収が滞ってしまいますね。そうなると免税になるのですが周りの村から不満の声が出るかもしれません」


「不満?」


「えぇ、常備軍と言う名目の何もしていない軍人になると税を納めなくてもいいと言う風潮が出来てしまいますし」


そっか、今まで常備軍なんてものが無かったんだからどれくらいの効果をもたらすか知らないもんな。

周りから見たらまやかし兵士に見えるのか。


「じゃあ平民から取るのはダメだな‥そうするとどうすればいいんだ?」


「―――私としてもこの案はいいと思います。現在の親衛隊の中にも自主的に訓練をしているものもいますが、練度の浅さがどうしても出てしまいますし、というか凄いですねこの常備軍という制度」


やっぱり常備軍と言う制度はすごいらしいです。


「そうですね――確か元公爵軍に異質な部隊がありましたね」


「元公爵軍か?」


「はい、どうやら耳が長い部族のようでして弓や剣に長けた者達だと聞いています」


「エルフじゃん」


エルフじゃん。え、この世界にいたのか。


「エルフ?耳が長い人たちの総称ですか?アルバルト様は聡明ですね。初めて聞きました」


「あ、いや、今のは忘れてくれ」


もしかしてエルフってあまり知られていないのだろうか?

部族とも言っていたし数が少ないのだろう。


「何人くらいだ?」


「100人よりちょっと少ないくらいですね――もしかして彼らを常備軍に?」


「したいな、だが問題は俺たちに恨みを持っているかどうかだ」


「そうですね――では呼び出してみます」


そう返事をするとシウスは部屋から出ていった。


それにしてもエルフか。

異世界といったらエルフ、異世界isエルフである。

ちょっと会うのが楽しみになってきたな。


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