悪役貴族に転生した俺。死亡フラグとヒロインとのデレフラグが立ちまくる件

量産型勇者

プロローグ

俺は幼少期から悪役というのが好きだった。

最初に好きになったのはいわゆるヒーロー戦隊モノでの悪役。

圧倒的不利な状態でも最後まで敵として立ちはだかる悪役に俺は憧れた。


まぁ普通の子どもはヒーローに憧れるわけで笑われたりしたが、それでも俺の悪役への思いはるがなかった。


その思いが高校生まで続いた際、一大ブームを巻き起こした恋愛ゲームが登場した。

それは「プリンス・エンティーディナ」

ストーリーは支援魔法、治癒魔法のみある世界で、主人公のみ使える攻撃魔法を王子に認められて学院に入りハーレムを作る物語。

あまりみない設定だが、肝心なのは別にある。


それはこのゲームは3次元であることだ。

主人公を3次元空間で操作し、色々なキャラと喋り行動することにより恋愛をしていくのだが、かなり作り込まれていて100ものシナリオがあり中には誰ともつながらないシナリオもあるくらいだ。


画期的なシステムや3Dの出来栄えが良いのと、魅力的なキャラたちもあいまって社会現象を引き起こしたほどなのだが、そんなキャラの中で異質ーーーというか全てのシナリオでバットエンドを迎えるキャラがいる。

それは悪役キャラであるアルバルト・エンペラー。

とあるシナリオではアルバルトに強い憎悪ぞうおを持っている奴隷である元貴族令嬢のティアに刺し殺されたり、反逆罪で平民落ちしたり、ヒロインに手を出そうとしたところ主人公に返り討ちにされた挙句あげく、王子に断罪されたりと実に100通りの死に方をしているキャラ。


つまりクズキャラである。


そんなアルバルトはプレイヤーたちからよくネタにされ「開発者の親の仇」「デスバルト」とまで呼ばれているほどである。


とまぁ、一見可哀想に思えるかもしれないがヒロインを迫害していたりとクズキャラなのでゲーム配信などでは死亡シーンに「ざまぁぁぁぁ」というコメントで埋め尽くすされるほどの悪役だ。


当然(?)悪役好きの俺はアルバルトのこともかなり好きなのだがーー


「好きだからって転生してもいいってわけじゃねぇよ」


思わず倒れそうになったが耐えて、もう一度鏡を見る。

そこに写っているのは黒髪黒目の整った容姿だがーープリンス・エンティーディナの主人公と比べたら見劣りする容姿。


俺が覚えている限りーーいや、十中八九「プリンス・エンティーディナ」の悪役ーーいや、クズキャラ「アルバルト・エンペラー」である。


そう、悪役好きの俺はゲームキャラの悪役に転生してしまったのだ。

それも特大のクズキャラで100通りの死に方があるキャラにーーーー

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