第3話 アクロイド殺し日本風

舞台:日本の田舎町、秋の終わり


物語は、日本の静かな田舎町、"青柳町"の裕福な未亡人、松井香織夫人の死から始まります。香織夫人は、村の有力者である安藤康介との再婚を噂されていましたが、突然、死去してしまいます。彼女の死因は、診察を行った「私」(佐藤誠医師)によって睡眠薬の過剰摂取とされましたが、夫人の親しい友人である妹、由美子はすぐに「自殺だ」と主張し、町の人々に噂話を広めます。


その後、佐藤医師は外出中に安藤から夕食に招かれ、安藤が告白します。実は、香織夫人は「一年前に夫を毒殺した」と打ち明けており、そのことで誰かに脅され続けていたのだと。香織夫人からの手紙も届き、その中で脅迫者の名前を明かそうとしていましたが、安藤が後で手紙を一人で読むと言って、佐藤医師を帰宅させた直後、安藤が刺殺され、その手紙も消えてしまいます。



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事件の捜査とその後の経緯


安藤の遺産を相続するはずの息子、竜二が行方不明となり、警察は彼を容疑者として追います。安藤の姪、涼子はかつて探偵として活動していたが、現在は引退し、この町に移住してきた名探偵・西村誠一の助けを求めます。佐藤医師は、隣家に住む外国人風の西村が探偵であることを知り、彼が事件を調査し始めると、佐藤医師も助手として同行することになります。


その後、事件当日、町で目撃された不審な人物がいることが分かり、竜二の他にも新たな容疑者が浮上します。佐藤医師が西村に事件に関する資料を見せたところ、西村はその内容に感心し、さらに調査を進めます。


安藤家の家政婦である中村美恵子の息子が事件当日に屋敷を訪れていたことが分かり、彼の訪問時間は安藤の死亡時刻とは食い違っていました。また、涼子は事件当日、安藤の部屋から現金を盗み、その隠蔽のために虚偽の証言をしていたことを告白します。この告白により、安藤の死亡推定時刻が初めの予測よりも早まることが分かります。



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事件の真相


西村は、関係者全員を集めて事件の真相を暴露します。西村は、佐藤医師が竜二を精神科病院に匿っていたことを明かし、佐藤の診療記録に記載されていない事実があることを指摘します。実は竜二は、家の小間使いである杏子と密かに結婚しており、それを知った安藤が激怒し、二人は口論を繰り広げました。そのため、竜二は恐れて逃げ、しばらく行方をくらましていたのです。


さらに、事件の夜、安藤が自ら声を録音していたことが明らかになります。その声が後に再生され、目撃者がその声を「安藤が生きて話している」と誤解したため、死亡時刻が遅れるという誤った証言が生じました。実際に録音機を持っていた人物は佐藤医師であり、これが犯人を特定する手がかりとなったのです。



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結末


西村は、香織夫人への恐喝が暴露されることを恐れて安藤を殺害した佐藤医師の動機を解き明かします。「あなたのお姉さんのためにも、真相は隠しておきたいが、逃げ道はひとつだけある」と西村は告げます。佐藤医師は帰宅後、「これから睡眠薬を飲んで終わりにするつもりだ」と書いた手記を残し、物語は閉じられます。



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このように、日本の田舎町を舞台に、登場人物や事件の進行を日本的な要素に置き換えることで、ストーリーに新たな魅力が加わります。


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妄想ミステリー⑤ 鷹山トシキ @1982

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