アニマルヒロインから逃げています!【改】

新米

第1話 夢は、あとがきで語れ


「俺は学園ラブコメをカードゲーム化しようという夢があるんです!」


 宮本咲はスマホをいじっている。


「インフレして過剰なまでの効果を盛り込み、相手なんて関係ない。それでは、ユーザーが離れていくばかりだ!」


「……。」


 俺はグッと握る。嚙みしめるように言葉を紡ぐ。


「それでも!かわいいイラストでぇ!見えそうで、見えない!悶々とエロを買い!売上高に貢献してしまう」


「あ、もしもしー」


 宮本は誰かに電話をしている。


「だってしょうがないじゃないか!オタクは、そういう生き物なんだから!」


「あのさぁ、その話まだ続く?」


「ええ続きますとも。コンセプトを伝えるためにこの話数を丸々使いますから!」


「まだ登場人物の紹介もしてないよ?」


「話に戻ろう!」


「……。」


「だからこそ、私はカードゲーム業界に提言したい!この企画書を見て下さい!」



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あとがき


「あとがきにするなぁ!」


「興味ないから」


「ヒドイ!」


「あとがきにすれば、話終わる?」


「あとがきも読んでくれる読者もいるから!まだ終わらないから!」


「え……」


「これを見て!」


 企画書を俺は渡す。


【企画書】

■コンテンツ:『ラブコン』


■コンセプト:

プレイヤーは高校生キャラクターとなり、学園生活を送りながらラブコメ展開を楽しむ。最終的に、最も多くの「ラブポイント」を獲得したプレイヤーが勝利。


■プレイヤー数:

2~4人


■ゲームの準備:

1.各プレイヤーはキャラクターカードを1枚選ぶ。

2.デッキをシャッフルし、各プレイヤーに5枚の手札を配る。

3.残りのデッキを中央に置き、山札とする。


■ターンの流れ:

4.ドローフェイズ:山札からカードを1枚引く。


5.アクションフェイズ:手札からカードを1枚プレイし、効果を発動する。


6.エンドフェイズ:手札が5枚を超える場合、5枚になるように捨てる。


■カードの種類:

・キャラクターカード:プレイヤーが操作するキャラクター。特定の能力やステータスを持つ。


・イベントカード:学園生活で起こる出来事を表す。プレイすると特定の効果が発動する。


・アイテムカード:キャラクターに装備させることで、能力を強化する。


・ラブカード:ラブポイントを獲得するためのカード。特定の条件を満たすとプレイできる。


■ラブポイントの獲得

イベントカードやラブカードをプレイすることでラブポイントを獲得。


特定の条件を満たすと追加のラブポイントを獲得できる。


■勝利条件

ゲーム終了時に最も多くのラブポイントを獲得したプレイヤーが勝利。


■特殊ルール

デートフェイズ:特定の条件を満たすと、デートフェイズに突入。デートフェイズでは、特別なイベントカードがプレイできる。


ライバルキャラクター:他のプレイヤーのキャラクターと競い合うことで、追加のラブポイントを獲得できる。


「これを元にカードゲームを作りましょう!」


「めんどくさい」


「安心してください。カードゲームに必要な道具と仲間に当てはあります!」


「高崎、鍵返しておいてね。じゃ」


 バタン――と扉しめて一人残される。


「佐々木に電話してみるか。……もしもし~佐々木?」


「自首か?」


「ちげぇよ!……この後時間ある?」


「俺はおまえと友人になった覚えはない」


「固いこと言うなよ。固くするのは」


 ツゥー、ツゥー……


「あいつ!切りやがった」


 瞬時にかけ直す。


「切ることねぇだろぉ?ひどいな。なにも言ってねぇぞ」


「未遂にしてやったんだろうが!」


「ロクな話じゃ……つめた!なんだお前!?」


「おい?佐々木どうした!?」


「おいおい、待て!話せばわかる!」


「大丈夫か!おい!」


「ウ……ウワ……ウワァァァァァァァァァァァァァ!」


 佐々木翔太との通話が切れてしまった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る