【感想】 『日本侠客伝 関東篇』(1965年/主演:高倉健) まさかの魚河岸映画!


監督 マキノ雅弘

脚本 野上龍雄、村尾昭、笠原和夫

出演 高倉健、長門裕之、北島三郎、南田洋子、丹波哲郎、鶴田浩二



 シリーズ第3弾は築地を舞台にした魚河岸映画。「ヤクザ映画じゃないんかい!?」と言われるかもしれないが、本当なんだから仕方がない。

 前作のカタギVSヤクザの構図をさらにブラッシュアップし、老舗魚問屋と築地を牛耳ろうと企むヤクザとの戦いを描いている。


 健さん演じる主人公は船の機関士。寝坊して置いてきぼりを食らったことから、魚問屋で働くことになる。慣れない魚河岸での仕事に右往左往する姿は楽しく、お仕事映画としても秀逸。

 もともと部外者だった主人公が問屋や築地のために奔走する後半は燃えるものがある。助っ人として登場する丹波哲郎の豪快なキャラクターも良い。

 さらにクライマックス前には健さんの演説シーンがあり、それを聞く演者との絡みも相まって、かなりの熱量、グッときた。

 敵に対して「やくざく~ん」と小バカにしながら絡んでいくシーンも最高で、前作の「健さん目立ってない問題」は解消されている。


 クライマックスは健さんと鶴田浩二、それぞれの殴り込みが同時進行。

 健さんサイドは群衆が入り乱れる暴動のようなスペクタクルで、かなりの迫力。一方、鶴田浩二サイドは人のいなくなった敵事務所でラスボスと静かに対決。

 そんな静と動の対比は二大任侠映画スターの資質の違いにも見えてくるのは面白い。


 低調だった前作から一転、ほぼ同一スタッフ、キャストでここまで盛り返すとは。次作にも期待だ。



前作のレビューはこちら。

https://kakuyomu.jp/works/16818093088964222392/episodes/16818622175446656872




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