『いれずみ突撃隊』(1964年/主演:高倉健)


監督 石井輝男

脚本 石井輝男

出演 高倉健、杉浦直樹、朝丘雪路、津川雅彦



 高倉健演じる自称一匹狼のやくざが配属先の満州で大暴れの戦争アクション。監督は翌年の『網走番外地』でも高倉健とコンビを組む石井輝男。


 健さん演じる主人公は、やくざを名乗りつつも、実は刺青を入れて憧れているだけの不良少年。博徒の二代目である上官を慕う姿はなんだか可愛らしく新鮮だ。


 本作は軍隊内のドラマだけでなく、慰安所を舞台にした女性たちのドラマにも力を入れているのが特徴。男たちが常にいがみ合い、ギスギスしているのに対し、女性たちは過酷な状況下でも、お互いに支え合っているのが良い対比となっている。


 戦闘シーンは火薬量も多く、かなりの迫力。広い荒野での馬車チェイスなんかはまんま西部劇の世界。

 主人公が機関銃部隊ということもあり、健さんがバリバリ撃ちまくるのだが、当時のプロップガンにしては排莢もスムーズで、かなりの出来映え。

 ロケ地はおそらく御殿場だが、満州という設定ゆえ、映っちゃいけない富士山をなんとか回避し続けるカメラマンの苦労も見どころか? 裾野は映ってるけど。


 残念なのは、核となるドラマが見当たらないこと。主人公とヒロインのロマンスも、パワハラ上官との対立も、兄貴と慕う上官との友情も全部中途半端。食い足りなさが残った。





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