第29話 親子ドゥン
火曜日
夫も息子も起きる前。なんと朝の5時である。
鶏を解体すべく庭に出た。いやダジャレではなく。でかいから解体する場所が無いのだ。
ボア君も牛より大きかったけれど、こいつは鶏のくせにダチョウくらいある。しかもダチョウに比べてかなり肉付きが良いのだ。
冗談抜きで異世界の動物でかすぎやん。
まあアイテムボックスから出したらさっさと解体して収納するだけだから一瞬ではある。しばらく鶏は買わなくても良さそうだ。
賛否はあるだろうけど、私は肉の味の濃さは鶏肉が一番だと思っている。男性陣は分かってないが、私は鶏肉が最強だと思うのだ。旨味だけで言えばだがな!
ただ、普通の鶏より皮がごついのだけは使いづらいから何とか考えなくてはならないだろう。
「母さーんおはよーう。めしー。俺作ったー。」
おっといかん。
「おはよーう。ごめーん。」
またやってしまった。ギリギリセーフでお弁当を詰めて夫に持たせる。いや、朝食を作らなかったからこれはアウトだ。どうも最近自己管理がゆるくなっている。気を引き締めないと。
「ご、ごめんなさい。」
「おはよう。唯芽。気にしなくていい。たまには良いからね。」
この返しは…確か謝罪よりお礼が喜ばれるのだ。
「わかったよ律樹さん。和樹ご飯作ってくれてありがとう。」
「お、おう!まかせろ!」
おお。正解だった。覚えておかなくては。
はー……。私は異世界で畜産をするつもりは無かったんだけどね…。
私が異世界に行ける限りはお世話をしようと思う。まさか初めて飼う動物がひよこだとは思わなかったが。だいたい異世界と言えばフェンリルやスライムが定番だと思うのだけれど、鶏とはこれいかに!?
あのサイズの鶏、どのくらい餌食べるのかなあ……。
考えると恐ろしい。農業組合に連絡して素人でも穀物の種子が買えるか確認しなければ。
さて、今日は昆布だしで親子丼にしようと思う。息子には「鶏は肉じゃ無い」とか言われそうだが鶏の旨みは最強だ。異論は認めない。
――――――
やって来ました異世界。
雨である。お供えは後にして、まずひよこが生きてるかを確認。
天井はつけておいて良かったが、雨が跳ねて足元が汚れていたのでケージの外から浄化した。
「ピィ!」
「ふふふ。可愛いね」
昨日は濡れた感じで目もしょぼしょぼしていたけれど、今はフワモコ。まんまるの目でこっちを見て可愛い。
鶏ぐらいでっかいけどね!
親鶏みたいに突進してくる事はない。ちょっと首を傾げてピィピィ鳴く。
ビッグジャングルフォールの幼体 メス
新しい畑に薬草と野菜を育てているので、家の横の薬草畑は鶏用にしよう。
畑を柵で広く囲って入り口に扉をつける。雨も太陽も薬草には必要なものなので、端の方にひよこが雨宿りできる屋根を設置した。少し地面を高くして、まだジャンプしたりはできないので坂にした。
水入れと餌入れを設置してスーパーで購入してあった無添加のポップコーンの元と押し麦と米糠を混ぜたものを入れる。
「おいでー。」
「ピィ」
声をかけてひよこを抱き上げ、柵の中に入れる。
「ここの薬草は食べても良いからねー。」
親鶏のサイズを考えるとこの囲いの中だけじゃ手狭なので、慣れたら放し飼いにしたい。
現在家を中心にして十字に5区画ある拠点を
正方形に9区画にした。
ひよこの名前はココちゃんに決めた。
ピィちゃんだと大人になった時の鳴き声が違うし、その名前は有名な文鳥のイメージが強いのだ。地球でまで異能バトルに巻き込まれたらたまらないからフラグは折っておくに限る!
絶対食べないし増やさないから名前を付けたのだ。安直だとか言うな!
水曜日。曇り空。日本です。
レベルアップしました。そしてテイムスキルが生えました。あの鶏はボア君よりかなり弱いらしい。2羽でレベル3つ。
バターチキンカレーとナンを朝から仕込む。
あらかじめヨーグルトとカレーに鶏肉を漬け込んでから煮込んでいく簡単バージョンだ。
圧力鍋など無くても肉がスプーンで切れるほどに柔らかくなる。
同時進行で照り焼きチキンピザも焼いた。
これで昼夜のご飯は完璧だ。
息子が大きくなって落ち着いたので、夫婦2人で何か趣味を始めたいねと言われたけれど、なかなか思いつかない。
サイクリングは私がいつもママチャリだから趣味という感じがしないし、ゴルフはお金がかかる。始めたいと言えば教えてくれるだろうけど、私は球技は得意ではない。
マイボールは捨ててないのでボーリングを再び始めるという手もあるが、スコア300とか取ったら引くだろうな。
何となくパーフェクト出そうなんだよな。
下手したらピンが割れたり設備が壊れる可能性もある。ステータスアップは人と一緒に楽しめる事が減るという弊害があったのだなあ。
異世界。
テイムしたらココのステータス閲覧できる様になりました。簡単な意思疎通もできる感じがしたので、外はモンスターが居て危ないから1人で聖域から出ちゃダメよと言い含めて放し飼いに。
私の後ろをチョコチョコ付いて来る。
可愛い。可愛いよココ。
押し麦と米糠を餌入れに入れ、水換えもしたし、薬草もモリモリ食べてる。
餌が全然足りない!という切実な問題にぶちあたり穀物を育てる事にした。新しく広げた区画を耕して、買ってきた種を蒔いていく。
育てるのは小麦ととうもろこしとさつまいもだ。小麦は購入したパン用小麦の種子。植え付け時期が違うが何とか手に入った。
育つのに1年もかかるし、他のものも全て植え付け時期が違うのだが…
でも大丈夫!!私には植物魔法がある!
「大きくなーれ!大きくなーれー!ぐぬぬぬぬ」
さすがに一気に収穫までは無理みたいで、毎日ちょっとずつやることにした。
ついに家庭菜園の枠を超えて農業まで始めてしまった。ココちゃんの為じゃなかったらやらない。ワンオペでできる範疇を超えてるわ。
名前 久我 唯芽 くが ゆめ
レベル19
HP 490
MP 1614
力 191
体力 245
素早さ 111
器用さ 518
魔力 807
運 37
常時発動スキル
スキル習得率アップ 気配察知 夜目
任意発動スキル
アイテムボックス
鑑定 浄化 遠見 千里眼
解体 錬金術 調薬 木工 服飾 鍛治 料理
建築 彫金 宝石加工 魔道具作成
身体強化 魔力感知 魔力操作 素材操作
土魔法 水魔法 火魔法 風魔法 氷魔法
雷魔法 無魔法
光魔法 闇魔法 治癒魔法 結界魔法 転移魔法
付与魔法 植物魔法 神聖魔法 空間魔法
テイム
名前 ココ レベル1 唯芽の従魔
ビッグジャングルフォールの幼体 メス
HP 62
MP 24
力 13
体力 31
素早さ 25
器用さ 11
魔力 12
運 17
スキル 無し
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます