第9話 DIYと本格ナ〜ン

今日は日曜。

はー、朝です。朝日ですよ奥さん!

やっっと晴れましたよ。夫が起きる前にいそいそと早朝の庭へ。

 

「おおお。薬草達葉っぱが出てきてる!」

株分け成功っしゃあ!雨で水はたっぷりだ。今日は水やりはおやすみである。

だがしかーし!

乾燥させようと端にかためてあった雑草がバラッバラに流れて散らばっていた。水魔法で一カ所に集めて水分を抜いて収納。

からのゴミ袋に取り出し。

いや、ゴミ袋に取り出しというのはおかしな表現か。


 

昼食は鶏胸肉でオムライス。2日連続猪だったので今日は鶏。私は脂っこいもも肉よりムネの方が断然好きだ(少数派)

「唯芽、今日もご飯ありがとうね。」

夫は一口食べていつもの様に笑ったけど、美味しいとは言わなかった。

「胸肉かー。俺ももの方が好き。」と息子。

「私は胸肉の方があっさりして好きなんだけどな。」

 美味しくて安いと思うのだが。私だってたまには好きなものを食べたい時もあるが…。

不評である。次はもも肉を買うとしよう。

 

昼は夫と録画したバラエティを見てのんびりする。

スパイを探すやつが最近のお気に入り。

ちなみにクイズ番組は見ない。夫は天才の某大学を出ているから多分全部答えがわかるだろうし、私も結構雑学好きすぎて反射的に答えてしまうのだ。昔息子と見ている時めっちゃ怒られた。以来見ないのである。

スパイのやつは予想でしかないので、言っても怒られない。でもミステリーのトリックや犯人の予想を言うのはNGらしい。

アニメに出てくる声優を当てまくるのはうるさいらしい。

この辺のルールが私には微妙に分からない。


バラエティは夫の勧めである。

私は会話のバリエーションが少なく、口調が真面目すぎるとよく他人に言われたのを相談したのだ。

芸人さんは頭の回転が早く話すのがうまいから、参考になる事も多い。


つまりテレビも勉強なのである。


ちなみに私は今は、主婦らしい口調を実践中なのである。おばさん構文と息子に揶揄われるが、自分のキャラ設定が完璧な事に内心よしよしとほくそ笑んでいる。

おばさんなのだからこれで良いのだ。



夕食はお好み焼き。豚玉もとい猪玉だ。

もう豚肉と言って良いような気がさえしてきた。

 


そして、今日の異世界。

インターネットでよく見る縦型の簡単な構造のボックス型燻製器を作ろうと思う。先日作った屋根とは別の場所に一段上げて設置。木で作るのが一般的なのだろうけど、慣れた土魔法で据え置き型にした。


 高さをつけて一番上の段で冷燻も出来るように。一番下にはスモークウッドを置いて燃やした時に火が消えない様、空気穴も開けた。

 扉は観音開き。金網や蝶番はさすがにホームセンターで購入した。でもやっぱり土魔法で金属加工できないかなとちょっとだけ思った。


 今度ホームセンターに行った時には色んな部品の構造を実際に見て勉強しようと思う。

 知らなきゃ作れないもんね!


 お話の主人公達は、いつか転生する時を夢見て普段からこういうDIYの勉強をしていたのかも知れない。今の若い子達は本当に手押しポンプや火薬の作り方を調べていそうだ。

 私なんかただの普通の主婦だから日本に戻れてなかったら生きていける気がしない。もっと色んな事を勉強しなくては。


月曜。

 最近とても目覚めが良い。いつもはお弁当を作りながら朝食を作って送り出すけれど、今日は2人が起きる前にお弁当を作る事ができた。

「おはよう唯芽。早いね。」

「おはよう父さん、母さん。」

「おはよう。今日からは一緒に食べましょう。」

2人と一緒に朝ご飯を食べる時間ができたから、明日も早起きしよう。これを本日から私のルールに設定する。でもあまり厳しくするとしんどくなるから、ゆるく、ゆるーく設定だ。

色々な手際もかなり良くなった気がする。

 

 今日は猪カレーを煮込む。

 贅沢にサイコロに切って炒めてから一度取り出しその油で玉ねぎを炒めていく。飴色になったらバターと小麦粉を入れて炒め、赤い缶のカレー粉を入れて更に炒め、お肉を戻して水を入れて煮込む。

 

煮込んでいる間にナン作り。

いつもは丸い形だけど、今日はあの長い形に成型してみたら上手くできた。形一つで本格的に見える。

二次発酵が終わったらフライパンで焼き上げ収納した。

同じ生地を丸くしてピザ台も大量に作って、こちらはは焼く前の状態で収納した。


ナンとカレー、家族大絶賛である。

「今日も手が込んでるね!唯芽。」

「スゲェな!母さんもうカレー屋とかやればいいんじゃね?」

何故だかは分からないが、同じレシピでも丸いナンよりあの長い形の方がテンションが上がるのだ。


 スキルが無いのに料理に磨きがかかってきた気がする。器用さのせいか。

 まあスキル化するなら普通にできる料理より普通の主婦は決して習得する機会のないジビエの解体の方が確実にレアだし、これからの異世界生活で再び大物を倒した際には必要になる気がする。こちらの実生活でも魚の一発解体は素晴らしい。今考えても解体で良かったと思う。

 

そして、夜お風呂上がりに夫の髪の毛のケアをしてあげた。夫は突然そんな提案をした私に驚いていたけれど、今は私の前に座ってされるがままだ。


浄化してあの化粧水で。髪は長ーい友達だから、薄くなる前に普段から大事にしないと。私が髪に触れるなんて珍しいから警戒されると思ったけれど夫は普通にされるがままだった。

治癒魔法とかあるみたいだけれど、うっかり光ったりしなくて良かったと後から思った。


 

さて!異世界の聖域にて!

家で塩漬け、塩抜きしてきた猪バラ肉を軽く魔法で風乾燥させ、念の為もう一度浄化してから金網に乗せた。浄化はMPが必要ないからしつこくやる癖がついてしまった。

 スモークウッドの上にピートを大さじ1振りかけて燻製器にセット。火魔法バーナーでイグニッション!

煙が出て来たのを確認。これで扉を閉めて放置したら燻製が出来上がる予定。浄化があるから食中毒対策もバッチリの安心安全。

 

今までは家のコンロでフライパンとスモークチップを使って作っていたから、燻製した日は家の中が煙臭くなる。熱の入り方で出来栄えにムラはあるし、一度に少ししかできないし、高さのある物は燻せなくて不便だったから、縦型の燻製器は念願だった。

「出来上がりがめっちゃ楽しみ〜」

 

 そしてその間にピザ窯を作る。

インターネットで検索してプリントアウトしたピザ窯の作り方を参考にする。錬金術で土の成分をいじってレンガを作る。ピザ窯に最適なレンガをと念じながら、赤い色の可愛いレンガを作ってしっかり固め、風魔法で乾燥させて、火魔法で焼いていく。大量に作ってたらいつの間にか夢中になっていて、気付いたら朝でした。

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