第8話 化粧水
せっかくの異世界、テンションを上げていこうと思ったのにまさかの今日も雨。はじまりの地がいつも雨でも幸せでもなんでもない。
でも屋根があるから簡単な作業はできそうだ。
という訳で、本日はハーブ化粧水を作ります。
いやね、私敏感肌なんですよ。
だからすっぴんでいる事が多い。変な物塗ると目とか唇とか腫れたりするし、敏感肌用は高い上に日持ちがしない。
同じ敏感肌用でも成分が違うので、肌に合う物を探す作業がとても大変だ。化粧品はよくリニューアルして成分が変わったり名前が変わったりするからその度に選び直しである。
だけど化粧は嗜みだとか言う人はどこにでも居る。パートしていた時も、たまにすっぴんで行くと上司でも何でもないおばさんにさんざんネチネチ怒られた。私がやっていたのは接客ではなくフルーツの選別作業である。ただでさえ桃やキウイの毛だとかで顔が痒くなる環境だ。
今日は肌の調子が悪くてできなかったとちゃんと言っているのに「面倒臭くても毎日やらなきゃ」と話の繋がらない説教を垂れるのである。
「むかつく。自分が正しいと思ってる人は言いたい事言ってこっちの話は全く聞かない。健康な人には分かんないんですよ。」
ファンデーションはやめた。眉だけは痒くても描く。そしてマスクをして顔を隠す。これで何年も誤魔化し続けてきた。どうせ作業中はマスクだから、一日中マスクを外さない戦法である。昼食は外に行くふりをして食べない。それで乗り切った。私が昼食を食べないのはその名残りなのだ。
結局、自家製化粧水に落ち着いた。それが一番私には良かった。自分で作るならば、突然成分が変わったり販売終了したりして困る事がない。
「材料は水、薬草、魔力草、グリセリン、以上!」
魔力草を入れるのは赤くて綺麗だから。
「某化粧品みたいで高見えするかも!」
高見えって言いたいだけである。
本当は尿素とかハチミツとか精油とか好みでいろんな物を入れるのだけど、尿素は顔がヒリヒリして使えなかったし、ハチミツと精油は高いから却下だ。
まずは風魔法で細かく粉々に刻んだ薬草達を水魔法の水の中に入れる。火魔法で下から温めて、沸騰寸前になったら家から持って来た氷で下から冷やす。
この時氷が溶けた水が化粧水に混ざらない様に水魔法の制御に気をつける。
冷めたらグリセリンを入れてよく混ぜる。
ここまでの作業を全部空中でできたが、濾すのはざるとガーゼを使った。瓶にうつして完成。
お肌を浄化して余分な油脂や古くなった垢を取り除き手に取った化粧水で
「キレイになーれーキレイになーれー」
とマッサージ。残りは古くならない様にアイテムボックスに収納するだけ。
そして、残った氷で氷魔法の訓練をしよう。
これから夏本番!自分で氷が大量に出せる様になれば、風魔法でかき氷は削り放題だし、息子からの
『今日はそうめんでええで』
とかいう心無い一言に傷つく事もございません!
そうめんは麺つゆを冷やすのにも、麺を締めるのにも大量の氷を使うから、前日から氷と冷ましただし汁を準備していないと作る事はできない。そんな息子に限って冷凍庫の氷が切れていることに文句を言うのだ。あるいはわざと言ってる可能性すらある。なにせ息子は私の上に立とうとしてくるのだ。そして私が負けたらふざけた顔で煽り散らかしてくる。
反抗期などはなかったのだが、最近は特にそんな感じがする。
は、もしかして今が反抗期なのか?大学生で?
以来突然のそうめんリクエストに備えて鰹昆布の合わせだし汁と大きなタッパーにロックアイスを常備するのが夏場の日課になった。
私は負けず嫌いなのである。
私はどうやら人と考え方が違うらしいので、自分の事情など、言い訳するだけ面倒臭い。それなら文句言われない様になるべく私の今できる最善を目指せば良いだけである。家族に関しては職場の人と違って距離を置くなど不可能だから、なるべく不満が出ない様にしたいのだ。
練習は全くの我流だけれど、今までも水や土を動かして覚えたので、氷水の中の氷だけを動かしたり塩を入れて温度が下がる様子を観察したり、水魔法の水に更に魔力をこめ、温度下がれ〜凍れ〜と念じ念じて……
やった!端から凍っていく!これは確実に習得したね!
氷と火で溶かしたり凍らせたりしながら色んな形に凍らせてみたり、瞬間冷凍もできる様になった。
ステータスは見なくても分かりますね。
はいどん!
「いや治癒魔法ってなんやねん!」
氷魔法と調薬を覚えた事もここに記しておく。
名前 久我 唯芽 くが ゆめ
レベル16
HP 206
MP 664
力 76
体力 103
素早さ 57
器用さ 236
魔力 332
運 34
スキル スキル習得率アップ アイテムボックス
鑑定 浄化 解体 錬金術 気配察知
調薬 治癒魔法
土魔法 水魔法 火魔法 光魔法 風魔法
光魔法 氷魔法
複合魔法
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