変人主婦の二重生活〜庇護という名の檻、その鍵は私自身が握る
白石とな
第一章 変人主婦の二重生活
第1話 私の想像力が貧困すぎるw
【読者の皆様へ:閲覧上の注意】本作は序盤明るい展開が続きますが、物語の中盤(第150話付近)以降、急激にシリアスかつ倫理観の欠如したショッキングな展開が入ります。
序盤の空気感とは対照的な「凄惨な描写」や「精神的に負担のある展開」が含まれるため、あらかじめご了承の上でお読みください。詳細な警告事項は作品トップページに記載しています。
__________
私は
義両親が残した古くて広い木造住宅に去年引っ越した。
それ機にパートを辞めて私は主婦になった。
私が高校時代母の居酒屋の手伝いをしていた時に常連だった夫と出会った。その頃のお客さんはお酒の勢いで絡んだり粗野で苦手な人が多かった中、夫だけは、当時人見知りで無愛想だった私を気遣ってくれた。忘れもしない高校3年の冬に私から告白して勢いのまま卒業してすぐ結婚した。
私はフルーツを選別して箱詰めするパートをしていたけれど、一昨年お義父様が、去年追うようにお義母様が亡くなり、夫はこの家を相続した。
夫は私に気遣って実家とは距離を置いていたので、その償いもあり、これからは私が夫の実家をしっかり維持しなくてはいけないのである。
実の所仕事に関してはようやくやめられてホッとしている。
それは私がコミュ症だからだ。
この家、部屋数は多い上に庭が広くて、実は維持が大変。夫は働いてくれていて息子は大学生、私は専業主婦、暇な私がやるしかない。
ちなみに私の趣味は歌う事と料理である。子供の頃母の居酒屋にはカラオケセットがあったから、昼間はタダで歌い放題だった訳である。子供が家に遊び道具があってハマらない訳がない。
ところで元来凝り性な私は好きな事を全力でやり過ぎて度々変人扱いされてきた。だが世間には、私の様な女が人前に出て張り切ってはいけないという何やら暗黙のルールの様なものがあるらしい。
理不尽で面倒臭く、とても生きにくい世の中だと思う。
だけど、料理だけは周りから見た私のイメージに合っていたらしく、力の限りやっても誰も私を咎めなかった。母が飲食業だからだ。母は料理がうまくできるとことさら私を褒めてくれた。
結婚してからは何もかもを全力でやるには時間がなさすぎたのもあって、家事の一部である料理が自然と私の趣味になった。
そういう訳で色々な事を諦めてきた私だが、今新たな趣味に挑戦しようとしている。それは家庭菜園!
季節は夏。
放置していただだっ広い裏庭で、必死に雑草を抜いている。
庭の一部を家庭菜園にできれば、私の料理の趣味も捗るというものよ。
裏庭は目につかないからつい放置してしまう。
義両親が残してくれた立派な家。そしてものすごく大きな裏庭。憎き雑草は1日で私1人で抜いてしまう事は不可能だ。今まで全部やろうとして何度となく失敗してきたが、今日の私は違う!
一部だけを使える様にすれば良いのだ!
「ああ、草刈機欲しいなあ。」
ちなみに草刈機は今までの人生で触った事もない未知の機械である。買うには少しハードルが高い。
「しまいにコンクリ打ったろか。腹立つわー。」
コンクリートを打つと家庭菜園はできない。本末転倒である。
私は痛くなった腰を伸ばそうと立ち上がった瞬間立ちくらみがした。
目を開けると何故か森の中に居た。
頭の中に、意識と同時に言語化される前の何か意思のようなものが直接刻まれた気がした。
ステータス閲覧機能を解放しました
ステータスと念じてください
は?
試しにステータス と念じると
頭の中に情報が浮かぶ。ずらりと並ぶゲームの様な項目の最後には
スキル習得率アップ アイテムボックスの文字。
アイテムボックスの使い方が何となくわかる感じがしたので試しに石を拾って収納してみた。
ほ、ほんとに消えた!
どこに行ったのかと考えると、頭の中に『聖域の石×1』と浮かぶ。
「聖域……?」
周りを見渡すと柵で四角く区切られている真ん中に私は居た。足元には鬱蒼と草が生えている。
「雑草に縁があるよな……」
微妙にベビーリーフに似ているが、ちょっと違う。見たことのない感じだったので観察していると
『薬草』と頭に浮かぶ
もう一度ステータスを見るとスキル欄に鑑定が追加されている。とにかく情報が欲しくて手当たり次第に鑑定した。
まず私が居るここ、柵で囲まれた10メートル四方のこの場所を聖域というらしい。柵の外側はバロア大森林。大森林と聖域の境目には結界があるらしかった。
足元に生い茂ってるのは薬草と、薬草と似ているけれど縁にかけて赤っぽい色になってる魔力草があった。石ころや大きな岩も結構落ちているし、木も生えている。
「異世界の夢?雑草に悩まされて夢にまで見るなんて。普通は異世界といえばお城に召喚されるんじゃないの?草以外何も無いとか、私の想像力が貧困すぎるw」
その時どこか遠くで音楽が聞こえた気がした。
その音がだんだん大きくなってきて気が遠くなる。
ガバっと飛び起きて周りを見回すと見慣れた雑草まみれの庭だった。
間違いなく自宅の庭だ。
ポケットのスマホが鳴っている。
見ると『買い物』の文字
「もうこんな時間か。アラームのお陰で助かった……危うく熱中症になるところだったよ……」
私はホッとしてアラームを止めた。
名前 久我 唯芽 くが ゆめ
レベル1
HP 32
MP 50
力 12
体力 16
素早さ 9
器用さ 28
魔力 25
運 18
スキル習得率アップ アイテムボックス
鑑定
⭐︎⭐︎⭐︎
初めて長編を書いています。拙い文章ですが、暖かい目で見守っていただけたら有難いです。どうぞよろしくお願いします。
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