デスクメッセのリラックマ
ようき
第1話
二人の入学式
俺の名前は新川拓也、この春、未来学園難波高校に入学した。父親の仕事の都合で大阪府内から大阪市に転入した為、この学校に友達はひとりもいない。入学式の朝、校門をくぐると、満開の桜の花がアーチを描いて迎えてくれた。大きな案内板の矢印にいざなわれて、セレモニーに向かった。
この学校は、一類(普通科)二類 (特進コース)三類(夜間科)があり、全校生徒数は千人を超えるマンモス校だ。生徒数が多い程、圧迫感は半端なくて、コミュ症の俺は友達が出来る気が一ミリもなく、1秒でも早く帰宅したくて仕方なかった。
入学式の後、1年D組の教室に向かうように案内された。俺の席は、最前列の右端だった。いつでも逃げ出せる場所なので安堵した。椅子に座って机の上をみると、落書きっぽい文章が鉛筆で記されていた。 まるで俺宛の手紙のようなメッセージ。吸い込まれるように読み始めたら担任の先生の声も段々遠く感じて、その文章に釘付けになってしまった。
私の名前は、海野晴香。 母の転勤で北海道から大阪へ転入したため、この学校に入った。昼間は病院の准看護師として働き、未来学園難波高校の夜間部に合格した。
普通科の入学式の前日の夜に入学式を迎えた。校門をくぐると夜桜がライトアップされて、エモいムードを漂わせていた。私は方言強めだし、アウェイ感満載のまま学校がはじまってしまった。誰とも話せないまま初日が終わろうとしている。 クラスメイトの目をみることも無理で、俯いて机を眺めていたら、やり場のない感情が込み上げてきて、気がついたら机の上に心のままに手紙を綴っていた。
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