第21話 学期試験
幻影学園は毎日が鍛錬だ。
武器研究会に入ってからは
それはさらに過酷になった。
おかげで実践的な
剣術を覚えつつあるが……。
術式の研究も進めていきたいよなぁ。
そんな中、普段自習だからとめったに
教室に来ないおっさんがやってきて
何やら言い出した。
「おまえら、そろそろ学期試験が
あるから三人組を作っとけよ~~」
「学期試験ってなんだよ!?」
「急に横暴じゃないですか!?」
「グループ作れとか、
一番嫌いな台詞なんですけど!」
ぶーぶー言う生徒たち。
しかしおっさんは
いつものようにどこ吹く風だ。
「学期試験は学期試験や。
万が一赤点取ったら
夏休みはないと思え~~」
そんな……横暴過ぎる。
三人組か、とりあえず夏芽は誘うとして。
あと一人は誰にしようかな~~。
俺、あんまり仲の良い友だち
とかいないんだよな~~。
さて、放課後。
向こうから話しかけてくれる生徒がいた。
あんまり友達いなさそうな
鏑木冬見さんだ。
目が隠れるかどうかの
長さの前髪に、ショートカット。
加えて黒色と栗色のツートンカラー。
いったいどうなったら
そうなるのかという感じだが
幻術師ってのは
そういう生き物なので仕方ない。
裏側が栗色なのはかなり綺麗である。
いつも俯いている様子で、
引っ込み思案なのが見て取れた。
何故か俺にはなついているが……。
「え、えへへ、珀斗くんってさ、
もう三人目決まってる?」
「その口ぶりだと二人目は
決まってるって物言いだな」
「ど、どうせ夏芽さんでしょ。
いつもつるんでるし……」
「まぁそうだが……」
どうせ誘おうと思っていた。
それを聞いてか、後方の席にいる
夏芽がべしべしとこちらを突いている。
「よ、よかったら私も
入れてくれない、かな……」
「どうするかな。一応夏芽に聞いてみるわ」
……というわけで
後ろの夏芽と耳打ちする。
「えっと冬見さんって
落ちこぼれだったと思うけど?」
「こっちは一等と特等なんだ。
別にいいだろ?」
「う~~ん、まぁいいけど……」
耳打ち終了。
にこやかな表情で冬見さんに返答をした。
「いいってさ」
「やった……! あ、ありがとう
私友達、ほら、いないから、さ」
「俺には話しかけられたじゃないか」
「珀斗くんはほら、
優しいし……えへへ……」
そんな優しくした覚えはないが……。
ともあれこれで三人揃ったわけだ。
「どういう試験があるのか
先輩に聞こうと思うんだが
冬見さんって部活はいってたっけ?
武器研究会なんてどうだ?」
「え、ま、まだだけど……
私、武器なんて使えない、よ?」
「平気さ! まったく練習に
参加しない先輩もいるぐらいだし!!」
飯塚先輩のことだ。
術式のこと以外はいつも寝ている。
武芸の練習に参加する気もないらしい。
「じゃ、じゃあ見てみるだけ
見てみよっかな……」
……などと話していると
夏芽が頬を膨らませて
横っ腹をつついてきた。
「なんだよ」
「別に~~~」
「なんなんだよ」
よくわからないやつだ。
ともあれ、学期試験か。
気を引き締めて挑まないとな。
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