第15話 VS幻術師
「降りてきたっすよぉ!
やばいっすよぉ!!
どうすんすか!?」
「落ち着け……
そのための二人体制……
向こうは二人がガキ……」
「そのガキに
人攫いの蜘蛛が
やられたんでしょ!?」
「落ち着け……
俺自身は蜘蛛より強い……」
「そういう問題じゃ
ねぇと思うんですけど!?」
漫才でも
やっているかのような
軽薄なノリ。
しかし巨漢の男は
そうしている合間にも
スーツの裾から蜘蛛を呼び出している。
おっさんが刀を
突きの構えで構えた。
「あの巨漢のほうが強そうやの
チンピラの方は任せたで」
「ふん、いけ蜘蛛ども……」
巨漢の合図で
周囲に潜んでいた
蜘蛛たちが一斉に
糸を撃ち出してきた。
だがおっさんの周囲を
浮いていたページが
それら全てを防ぐ。
しかし今度はチンピラが
何やら両手をこちらに向け──。
「リジェクトバーストォ!!」
ものすごい風圧で
後方の壁が吹き飛んでしまった。
それでも俺たちは
ページの防壁によって無事だ。
次の瞬間、おっさんが吠えた。
「散開!!」
言われた通り、夏芽は右側に。
俺は左側へと飛び跳ねる。
俺と夏芽はそのまま
敵二人へと殴り/斬りかかった!!
両側から襲撃してくる脅威に対し、
チンピラ風の男は両方ともに
手を向けた。
「リジェクトバーストォ!!」
──!!
さきほどのデカい
風圧がまた来る!!
とっさに俺は
黒孔雀から影を流して
それを防壁に変えた。
「きゃあ!?」
俺は影が威力を
吸収したのか
無事だったが──。
夏芽は直接喰らったようで
派手に後方へと吹き飛んでいく。
「夏芽!!」
防壁にした影を纏い
そのまま斬りかかる。
その甲斐あって
男がこちらに伸ばしていた
手を切り飛ばす事ができた。
「ガァアアアアア!?」
しかし男の術式は
止まらず、今度は
吹き出した血が
シャボン玉のようになって
俺の周囲に浮き上がった。
「なにっ!?」
──いや、構うか!1
このまま奴を切り裂けば
俺の勝利だ!!
…………と、思いきや
周囲の血液シャボン玉が
突如として爆発し
幻力で防御できたものの
まぁまぁなダメージを受けた。
「ぐっ……!」
「リジェクトバーストォオ!!」
再三の風圧。
今度は影での防御が間に合わず
後方へと吹き飛ばされてしまった。
だがあいつに深手を与えた……!
と、思いきや。
ぶくぶくと血液のシャボン玉が
斬り飛ばした手を
チンピラ風の男に持っていき──。
そのままくっつけてしまった。
「はぁ……! ビビったぜ、ガキども!」
「そんなんありかよ!」
壁に打ち付けられたが
大したダメージじゃない。
幻力の防御というのは凄まじい。
夏芽の方もそれは同じようで
向こう側でなんとか立ち上がっていた。
チラリとおっさんの方を見ると──。
細い蜘蛛の糸を鞭のように
振るう巨漢を
ページと刀でやり過ごしている。
「ほいほい、ちょっと待てや
こいつすぐ片付けてそっちいくから」
「脅威……」
「逃げたほうがいいっすよ、アニキ!」
「逃がすと思うか!?」
黒孔雀から影が吹き出す。
強力な飛天を食らわせてやる……!
「そっすねぇ~~
でもこれならどうかな!?」
チンピラ風の男が
地面に手をつけると
ぶくぶくぶくと地面が沸騰し
床が浮き上がり
無数のシャボン玉となった。
クソッ!!
どういう術式なんだよ!
「バ☆ン」
そのまま爆発するシャボン玉。
皆織タワーの一階
おみやげコーナーは
こうして吹き飛ばされてしまった。
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