第13話 索敵結界
「索敵結界の使い方?
バッとやってブゥンよ!」
「いやわかんねぇよ!!」
翌日、さっそく
教室で自習していた
夏芽に話しかける。
……もこの始末。
説明は下手くそらしい。
「面倒ね……
先生に教えてもらった
方が良いんじゃない?」
「そうするかぁ……」
仕方なく理事長を探して
索敵結界を教えてもらうことに。
理事長室は……
確か三階だったかな。
偉い人って上の階に
行きたがるよね。なんでだろ。
というわけで理事長室。
その扉を叩こうとすると、
何やら話し合っているのが聞こえた。
「皆織市ですが
あの幻獣──どうやら人造の
もののようです」
「となると幻術師が
潜んでいるか……」
「ええ、おそらくは
二等以上のものが」
「わかった。
この件はキミに一任する。
二人を使ってくれたまえ」
「了解しました」
ガチャリ、と
理事長室の扉が開く。
見上げると無精髭にグラサン。
そしてオールバックで
スーツ姿のおっさんが出てきた。
たまに教室で見たことがある。
彼はたしかこの学園の教師だ。
その腰には日本刀が
一本携えられている。
おっさんはこちらに気づいたようで
朗らかに笑いながら、俺の頭を撫でる。
ちょっと……かなりうざったい。
「なんや、
理事長に用事があるんか?」
こってこての関西弁。
ちょっとニュアンスが怪しい気がするが
関東生の俺にはよくわからない。
「ああ、索敵結界を
教えてもらおうかと……」
「あれは中等部からの
プログラムのはずやで。
それに出来るやつと
出来へんやつがおるし
ああ、金剛ちゃんのを見て
羨ましくなったんか?」
「羨ましくなったってか
便利だなぁ、と思ってさ」
「金剛家は元々感知や
補助に特化した一族やねん。
だから金剛ちゃんが
もう使えるのはしゃーない
真似する必要ないで」
膝を折り、中腰になっても
まだ撫でてくるから
流石にうっとおしくなって
振りほどいた。
「せや、飴ちゃん食べるか?」
そう言っておっさんが
ポケットから
棒付きキャンディーを取り出す。
そこまで大きくないやつだ。
「いらねぇよ!
そういえば印って意味あんのか?」
「あれは幻術を使いやすくするための
補助技術やねん。それもいずれ
教えてもらうはずやわ」
自分が取り出した
棒付きキャンディーを
タバコのように舐め始めるおっさん。
「いずれっていつだよ」
「小3か4ぐらい?
まず幻力の操作と
自分の術式の使い方を
覚えるんやな」
「はぁ……」
道はけっこう長そうだ。
まぁ仕方ない。
今の俺は小1だからな。
そういえばこのおっさん、
理事長室で何を話してたんだろ。
「おっさん、皆織市に
幻術師が潜んでいるって
言ってたけど」
「ああ、聞いとったんか
せやな。これから倒しに行くで。
金剛ちゃんはどこやろ?」
「教室にいるはずだぜ」
「よし、ほなついてきぃ」
”理事長室の
防音見直してもらわな
あかんなぁ~~~”
……などと言いながら
おっさんが廊下を歩いていく。
仕方なく俺はついていくことにした。
「あ、おっさんやないで
安藤先生な」
「よろしくな、おっさん」
「最近の若いもんは……」
さて、夏芽を教室で
回収し、校庭へと赴く。
そこに白線を引くやつで
おっさんが転移陣を描いていく。
「今回は理事長の補助なし?」
「いつでも連絡はできるで」
「カァ!」
空からカラスが飛んできて
おっさんの肩に止まった。
本当に便利だな理事長の術式……。
いったいどうなってるんだろ。
「さて、それじゃあ
白線の上に乗りや~~」
「了解よ!」
「今度は幻術師か……」
人との戦い
本当に初めてなんだよな。
鬼ごっこや幻獣狩りとは
また違うだろうし……。
先生がついているとは言え
かなり緊張するなぁ~~。
「ほな転移するで」
そう言って、おっさんが
印を結ぶと、次の瞬間には
カラスの羽が舞う
どこぞの屋上に出ていた。
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