第4話 猫、愛しのあの子に近付けない

 しかし、今日もやはり、届かなかった。

 猫は項垂れながら謝罪した。

『ごめん。あと一歩というところで届かなかった』

 白猫は残念そうに『そう』と零す。今日こそは開けられるという期待を持っていたからだろう。それが猫の心を痛めた。

 そこへユニアルが猫に近付いた。

《ワタシノ上ニ乗レバ届キマス》

 ユニアルの申し出を、猫は素直に受け入れられない。できれば自分でどうにかしたかった。ユニアルに手伝ったとなれば、白猫からの羨望の眼差しは独り占めできないからだ。

『あら、それは名案だわ』

 白猫が嬉しそうに言った。

 白猫の為と思えば、ユニアルに頼るのも仕方がないのかもしれない、と猫は思い直す。猫はちらりと白猫を見た後、おずおずとユニアルの上に片足を乗せた。

『乗った瞬間、動いたりしないだろうな?』

《動キマセン。オ任セクダサイ》

 目を細め、ユニアルを見つめた後、猫は息を飲んでユニアルの上に四つの足を乗せた。揺らぐ事もなく、ずっしりと床に座っているユニアルに猫は安堵の息を漏らす。

『お前、意外に頑丈なんだな』

《ハイ。ワタシハ頑丈ニデキテイマス》

 へへと口の端で笑った後、背筋を伸ばしてクレセント錠に前足を伸ばす。今度は簡単に前足が引っ掛かり、倒す事ができた。

 かちりと音を立てて鍵が開いた。

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