「 最高の人生だった 」と言って死ねるまで

1/f ゆらぎ

1 進撃の巨人 THE LAST ATTACK  

※進撃愛が深すぎる為ネタバレしてます。閲覧される場合はご注意ください。

 ただただ1人の進撃ファンが思いの丈を打ち明けています。



2024年8月寝苦しい夏の夜、寝る前スマホをいじっていた時に突然目に飛び込んできたパワーワード。

11月8日よりアニメ『進撃の巨人』のファイナルシーズンの完結編が劇場公開決定。

これはもう事件である。


進撃の巨人と出会ったのは2011年の書店の一角。

漫画コーナーをふらふらしていた時にこの”マンガがすごい!オトコ編第1位”の文字と共に1巻の表紙が拡張された販促用のポップを見たのが最初でした。

巨大な人体模型に空中から剣を振りかざすその絵のインパクトに目を奪われ足が止まりました。

「このマンガがすごい!ってなんだ?」「この絵の印象強烈だなぁ」とぶつぶつ独り言を言ってました。

そしてそのポップをよく見ると興味を引き立てらる文字がデカデカとありました。

そうです。あれです。


—— 駆逐してやる ——


もう進撃ファンの方にはお馴染みすぎるこの台詞。

この台詞にやられた人は結構多いのではないのでしょうか?

もし進撃の巨人を読んだことがなくても漫画に造詣があれば一度は聞いたことがあるはず。

初めて観た時とても衝撃的でした。

だってまだ読んでもいないのにも関わらず、この文言一つで強い憎しみを感じ取れてしまったのだから。

この圧倒的な文言に知的好奇心を駆り立てられ、既刊分の全3巻を即購入。

そしてその日に読破。

読み終えた時の率直の感想は


—— わけがわからん。 ——


でした。

これは決して悪口ではなく、物語の情報と謎の多さから自分の脳みそがそう回答したのです。

巨人の謎、残酷な描写、恐怖心と覚悟、そして物語を解明をしたい探究心が駆り立てられてあっという間に虜になってしまいました。


巨人って何?あのデカい巨人と他の巨人は何が違う?壁の中と外の世界?なんでエレンは巨人になれるの?など挙げたらキリがない謎。

更に全然状況が把握できないのにも関わらず、物語が進むにつれて謎は増えていく一方。

もうね、置いていかれないように必死でした(汗)。

それぐらい熱中してました。

個人的に物語が始まって間もないのに母親カルラが食べられてしまったのはただただ衝撃。


余談ですが、この混乱した感覚を前にも感じたことがあるなぁと思ったら初めてGANTZを読んだ時でした。

今までの培ってきた常識が壊れていく感じです。ヤバいのと出会っちゃった感じ。

たまらんとです。


そんな劇的な面白さの進撃の巨人ですが、このマンガがすごい!に選ばれていましたが当時は知名度はまだなく、私の周りに読んでいる人はほぼ皆無でした(そもそもこのマンガがすごい!を私は進撃の巨人を通して知ったわけですが…)。

共有する仲間が欲しさから私は即座に友人達に勧めましたが、その独特で難解な世界観から「面白さがわからない」や「絵が無理」などと一蹴されてしまいました…。

こんなに面白い漫画なのになぜ読んでみようと思わないのか、当時は全く理解が出来ませんでした(のちに友人達に聞いて分かったのですが原因は私の語彙力の無いプレゼンのせいでした…)。


そんなヤキモキとしながら1人で黙々と進撃の巨人の世界に没入する日々を過ごしていたのですが、2013年にアニメが始まると状況が一変します。

あれほど勧めたのに読んでくれなかった友人達が掌を返すように「進撃の巨人って知ってる?え?知らないの?それマジで損してるから。」「今間違いなく1番アツいっしょ。」「お前のこと駆逐してやるわ。」などと他の友人達と話し合っている姿を見るようになり、私が「こ、こいつ…。」と思ったのは今では良い思い出です。

今にしてみれば良さが伝わったなら何より(でも、ホントはちょっと悔しかったです…)。


そこから時は流れ、2021年に進撃の巨人の漫画は無事に完結しました。

連載期間は約12年。

そして、去年2023年にはアニメファイナルシーズンの後編が放送され、こちらも無事完結。こちらは約10年。


これにて進撃の巨人の全てが出し切られた訳ですが、結構序盤からファンだったものですからその喪失感といったらなんたるや。

長い時間を共にしてきたので終わりを受け入れ辛くなっていまして…。

例えるなら長く付き合った大好きだった人と別れたような感覚に近いです。

辛い時も楽しい時もなんでもない時も一緒だったのにもう新しい思い出を作れない。

あなたとは過去を振り返ることしかできない…そんな感じです。

あまりの寂しさから慣れないお酒に手を出し、「バッキャロー」と愚痴を言いながら夜を過ごしたこともありました。

ミカサの「エレン、またあなたに会いたい」を当時全力で理解できていたと自負してます。

そうして枕を濡らして眠りにつく日々を過ごしていました。


そんな矢先の朗報。劇場公開のお知らせ。最高。

歓喜。ただ歓喜。

どこかで期待をしていましたが、いざ現実になるとこれほど嬉しいものはありません。


フルスクリーンで進撃の巨人を観れる!

あの地鳴らしを5.1の音響で体感出来る!

そして何よりまたみんなに会える!

新しい進撃の巨人のプロジェクトに携われることが何よりも嬉しい!

今からもう高まる…高まりすぎてもはや苦しい。


楽しみなのは間違いないのですが、実は映画を観るにあたって不安もあったんです。

それは既に観た映像という点。

漫画がアニメ化する際はあのシーンが映像化したらどうなるんだろうと楽しみにしながら観れた訳なのですが、今回に至っては違います。

完全に鑑賞済み。

するとこんな事を悩み始めました。


—— 感動しなかったらどうしよう…。 ——


本当に大好きで感動した物語だからこその悩み…。

女々しいなぁと自分でも思います。

ですが、好きすぎるが故にこう思っちゃうようになってしまったようです。

自分でも初めての感覚なので整理出来ず…。


兎にも角にも観るしかないと腹を括り、公開初日の11月8日に劇場に向かいました。

場所はイオンシネマ。上映時間はモーニングの8時40分。

間違いなく公式での最速の上映時間でしょう(間違っていたらごめんなさい…)。

会場には朝早くにも関わらず多くの方がいらっしゃいました。

他にも上映されている映画がありますので、どの方が進撃の巨人を観にきたかわかりません。

その中でリヴァイ兵長のぬいぐるみやアルミンのバッジをつけている方々をお見受けしました。

テンションは一気に上がり私は涙が出そうなほど嬉しく「おぉ、同志達よぉ。」と声をかけたい気持ちをグッと堪え、1人でモジモジしていました。


そんなこんなでいろいろありましたが、無事に鑑賞し終わりました。

鑑賞後、私は率直にこう思いました。


—— 素晴らしい時間だった ——


涙ボロボロ、鼻水グシュグシュ。

持参した鼻セレブを何枚使ったのかわかりません(隣に座られていた方、迷惑かけてたらごめんなさい…)。

それぐらい最高でした。

観る前の不安は始まった瞬間に鳴り響いた地鳴らしの音と共に吹き飛びました。

おかげですぐに世界に没入し、不安も時間もない空間に飲み込まれました。


ハンジの勇姿から涙腺は崩壊。

最後の30分くらいはずっと泣いていたと思います…。

最後のリヴァイ兵長が調査兵団のみんなと、コニーとジャンがサシャと、ライナーとアニが両親と会うシーンは声を殺すのが精一杯(たぶん、殺しきれていなかったのですが…)。

エレンの頭部を優しく抱き寄せるミカサとアルミンの咆哮は涙で歪んでちゃんと見えませんでした。

この文章を書いている今も思い出して泣きそうになります。ってか泣いてます。


アニメが開始から完結するまで要した時間は10年。

エレンがミカサに最低でも想ってもらいたい月日も10年。

自分にも10年が流れていたんだよなぁと考えさせられました。

声優の方々にも変化があり、結婚や出産を経験されている方もいます。

ちなみにあとで知ったのですが地鳴らしで人類が追い込まれた時に赤い布で包まれた赤ちゃんが出てきますが、あの声は梶さんのお子さんの声だそうです。


あ!あとスクールカーストが良かった!

新しい映像ってのも嬉しいのですが、スクールカーストのお陰で劇場で得た熱を程よくクールダウンしてくれてアニメを観ていた時よりも喪失感に襲われず、希望がある形で観終われることが出来ました。


この作品は、観る人によって感じ方が違うと思います。

それはそれだけ生きることに対して真摯に向き合った作品である証拠だからだと思います。

この作品と同じ時代を共に生きていることを心から感謝です。


諫山先生はじめ、製作に関わった全てのスタッフの方々、素晴らしい作品を生み出してくれて本当に有り難うございました。

本当に好きな作品ですので10年以上引きずると思います…どうしてくれるんですか……。


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