GENESIS/UNDER the WORLD

一発当たり屋

第1話 人生の終わり、冒険の始まり

ジリジリジリ、ジリジリジリ・・・ピッ

まだはっきりとしない意識のまま、けたたましく鳴る目覚まし時計に片手を伸ばし、その音を止める。すると、下から母さんのの声が聞こえる

「起きた〜?もうご飯出来たけど、早く来ないと冷めるわよ」

「はーい、すぐ行くよ」

俺は重い体を起こしてリビングに向かう。

俺は高2男子、名前は水上翔みなかみしょう。彼女いない暦=年齢のどこにでもいるような人間だ。

俺は朝食を済ませ、学校に行く準備をする。受験まではあと1年だというのにモチベーションがわかない。しかし学校自体は友人もいて楽しいものなので、勉強はそのついでだと考えてやっている。そんなことを考えているうちに準備は終わり、玄関に立った。

「それじゃ、行ってきます」

「いってらっしゃい」

そんないつもの言葉を交わして外に出た。しばらく歩いて信号を待っていると、突然男の「危ない!!避けろ!!!」

という声が聞こえるのと同時に、体の左側から強い衝撃を感じ、俺の意識はそこで途絶えた。 

それは不幸な事故だった。飛び出してきた子供を避けようとハンドルを切った先にその少年は居た。すぐに気がつけば避けきれない距離でもなかったが、ぼーっとしていた少年は気がつく訳もなく、そのままぶつかってしまった。歩き慣れた道、見慣れた景色、事故など起こる訳がないというバイアスが少年を殺してしまったのだろう。



















________________

目を開けると、そこは暗闇だった。暗いのでよく確認出来ないが、真っ逆さまになって落ち続けているような感覚だ。

………俺は死んだのか。

何も見えないという状況が少年を冷静にさせていた。俺には怒りも悲しみも無かったが、やり残したことがあるという後悔だけは残った。そこそこ名のある私学に通っていたので、そこそこの企業に就職して、そこそこ出世して、そこそこの幸せを感じながら生きていくものだと勝手に思っていた。

―――人生、何があるか分からないもんだな

それに母さんも父さんも弟も置いてきてしまった。親より先に死んだ子は賽の河原で石積みだっけか?俺は単純作業苦手だからな。できればノータイムで来世に送ってほしいな。

そんなものがあればだけど。目を再び閉じる前、少年が最後に思ったことは、

「ああ、ほんの少しだけでも時間が止められたらよかったのになぁ」そして少年は苦笑した。馬鹿だな、そんなことできるわけないのにな。

少年はゆっくりと目を閉じた。


















________________

「………いさん、お兄さん?」

俺はゆっくりと目を開ける。そして目の前に広がった景色はアニメやゲームの中でしか見たことのないような世界だった。

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