嬢に狂ったおじおじの話

第1話 帰り道

僕は君に出会ってしまった。

君の匂い、抱きしめた感情が心から消えない。

残った貯金で言った最後の遊びのつもり。

金も職も無い無職男性が追い詰められすぎると、男は何をするかは分からない。

性犯罪から大量虐殺や政治家への襲撃、存在そのものが弱者男性はテロなのだ。

だからと言って、大きな企業に勤めて、家庭を持って良き夫になる事は出来ない無能なのが現実だ。金だけ出して食事を誘って、楽しいお話をするなどと言う裕福かつ大人の余裕を見つけ出せる強者男性なんてなれない。

努力をせず、無能なままでいたのが現実だ。

早く忘れてくれ。

一時の感情で会ってくれ。

君に抱いた恋心と呼ぶにはあまりにも汚い執着を。

君に取って僕はただのお客さん。

それは痛いほど分かっている。

だけど君を抱きしめた温もりと笑顔を忘れる事はできない。