第162話 ルノポールの指輪屋
エクロピスの船旅に終わりを告げ、トリスタルのルノポールへとたどり着いた僕達。
昨日は港近くの酒場でかなりの時間を費やし、プレシアナさんの紹介で一泊銅貨6枚の宿へと案内されて、その日を過ごした。
やはり、お風呂はルノポールではベニチュグ同様の樽だと知れば、栄えているとかは関係なく国柄の違いのようだと知った。
だが、お湯がそこまで濁っていなかった為に、それなりに入れ替えているのだと知る。
隣の部屋はトールなのだが、昨夜にギルターさん達と出かけて行ってしまってからまだ帰ってきた様子はない。
これは今日にもお金が尽きて、ルダに早々と金を返せと言い出さなければいいなと思いながら、昼の鐘がなるぐらいにプレシアナさんとの待ち合わせ場所、ルノポールの街の中央に位置するボルコ広場に到着した。
広場に着いて、周りを見渡すとルノポールは確かにベニチュグよりも発展している様子はある。
帝国文化というのか、エクロピスでもみたような雰囲気が街中には節々にちりばめられているようだ。
石づくりが基本の建物の中、所々の家々は屋根がオレンジだったり、白い壁だったりと灰色一色ではない。
また、行きかう人々の服装も毛皮だけが主流という訳ではなく、ウールやシルクといった薄いのに温かいという素材を使ってそうな、エクロピスでも良く見た雰囲気の服を着ている。
それでも良く見ると、確かに青をよく使っているなとトリスタルの象徴色が意識をしてみれば目についた。
トリスタルにいるのに、北帝国っぽいこの広場の雰囲気に少しの違和感を感じつつも、それはそれで面白いなと思いながら待っているとプレシアナさんが見えてくる。
迷う事無く、プレシアナさんと合流で一安心。
「まずはどこを案内してほしい?」
「やっぱり指輪屋ですね!」
「ふっ、だろうと思った。ルノポールには3件の指輪屋があるが、まずは近い所から行ってみよう」
「お願いします!」
それからプレシアナさんのルノポールの指輪屋案内が始まった。
最初はエクロピスのラガード広場にあった高そうな雰囲気の指輪屋に似ている店。
冒険者を護衛に雇い、見える場所には商品である指輪が置かれていないような店だ。
それでもプレシアナさんはその店の商人と顔見知りのようで、どんな感じで指輪を見るのかを見せて貰った。
そして高い店というは、元から欲しい能力を決めてから訪れるような場所だという事を知る。
ほぼ全て鑑定済みという事で、欲しい能力を言うとその能力と似たような能力の指輪を出してくれるという事だ。
プレシアナさんが火の能力が欲しいと言えば、フレイムやらファイアボール、火礫、発火、灯と色々と出てくる。そこから指輪の見た目や値段、商人の能力の説明なんかで決めるという、路地の指輪屋と真逆の買い方だ。
そんな風に買うと知れば、僕とトールがエクロピスでやったような適当に見させてくれなんていう客は相手にしないのも当然のように思えた。
「プレシアナ、次買う時は俺の所で絶対買えよ」
「あぁ分かってる。今貯めてるんだから、しっかりと揃えておいてくれ」
「そっちの兄ちゃんも金があれば、うちでな」
「分かりました」
僕に見せる体だった為に買いはしないが、それでも気持ちよく送り出して貰いその店を後にした。
「どうだった」
「やはりいい店は、いい指輪が揃ってましたね」
「そうなんだ。同じ能力でもこうも違うと、選びきれないんだ」
「ふふ、僕よりもまた熱くなってますね」
「それはそうだ!指輪との出会いは一期一会。やっぱり買っておけばと、金がればと、何度後悔したか」
「ふふ、じゃあ次もお願いします」
「あぁこっちだ」
そのまま、プレシアナさんの案内で通りにある店と路地にある店。行商人が売る露店などを色々と周りルノポールの指輪屋を満喫した。
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