兵庫の「変」 Parallel world in Hyogo
龍玄
第1話 夢の発起点
任期を幾度か務めると人間関係から既得権が生じる。そこにはそれぞれの思惑が混ざり合い利権が効力を得る。知事や議員は選挙によって一機一隅幾度か務めると人間関係から既得権が生じる。そこにはそれぞれの思惑が混ざり合い利権が効力を得る。知事や議員は、選挙によって一喜一憂する。職員は、公務員として職場に留まる。人員が大きく変わらない環境で就く職域によって権力を持つ。特に大きい権力は、人事課だ。人事課は個人の情報や職域・成果を定める権力を持つ。その権力を持った渦中の人物が綿世康秀西播磨県民元局長だった。20年近く、兵庫県の知事を務めた猪俣県政で順調にキャリアを築いていた。十年後の60歳の定年に向け、猪俣知事の従順な配下となり、定年後の再就職口も確保され、明るい未来が待っているはずだった。
綿世は、職員・城阪洋子の査定で悩んでいた。昇給昇格には決め手に欠けていた。綿世は正直、「城阪さんが頑張っているのは熟知してるけど、決め手に欠けるんだよな。何が足りないかと聞かれても、数値が足りないとしか言いようがないのよ。今一度検討してみてもいいんだけど…」。洋子は、綿世の意図を経験値から悟った。少し悩んだが、夫との関係は年齢と共に減り続けていた。貞操観念のハードルは低かった。洋子は綿世を相談を理由に食事に誘った。取り留めない会話で食事を終え、飲み屋に誘い、ほろ酔い気分から酔った振りをして洋子は綿世に凭れ掛かった。綿世は最初、戸惑った。大きく開いた胸元から紅のブラジャー目前に飛び込んできた。介抱する振りをして右腕を洋子の背中から下乳房を軽く触った。洋子に反応がなかった。「大丈夫か」と言いつつ洋子の体臭を大きく吸い込んだ。いい匂いがした。洋子は綿世の存在感を首筋に受け、「少し休みたい」と恥ずかしそうに呟いた。「じゃ、店を出ようか」「ええ」綿世と洋子は店を出て、ホテル街に向かった。綿世は洋子を抱きかかえるように歩いた。綿世の右手は洋子の熟した乳房を半信半疑で揉みながら、ホテルに入った。洋子は自らベットに俯せに寝そべった。豊満な尻の肉の盛り上がりが、綿世の興奮を誘った。綿世が洋子の尻に触れると「遊びたい」「ああ」「じゃ、査定の特盛はOKね」「ああ、分かった、約束するよ」「約束を守らないと分かってるわね」「ああ」
この夜が綿世と洋子の同僚不倫の始まりだった。綿世は洋子との約束を守り、階級を一段階上げた。洋子は上機嫌になり、久々の色事に満足し、その後も幾度か関係を持った。不倫と言う名のサークル活動が始まった。互いに既婚者だけに秘密は守られていた。洋子は仲のいい同僚が自分と同じ悩みを持っていることを知り、綿世に相談すると快く引き受けてもらえた。洋子の紹介で吉田真由美も綿世に奉仕し、階級を上げてもらった。真由美の紹介で菊池美佐子も綿世と関係を持ち階級を上げてもらった。三人と関係を持った綿世は自分の権力が女性職員に取って香ばしい媚薬となることを自覚した。綿世は三十後半の伸び悩んでいた職員に声を掛けた。杉田幸代は、子供の学費に悩んでいたことを知ると相談に乗る口実で食事に誘った。幸代は当初は拒んでいたが人事権を握る綿世に睨まれたらやばいと思い、渋々、行為に及んだ。幸代の後悔も加わり関係は二度ほどで終えた。報酬はボーナス査定に色を加えて終えた。
綿世は美人で人気のある職員・黒川知子が気になっていた。気軽に挨拶を意識的に交わし、気心が知れたところで食事に誘った。幾度か食事をし、日頃の行動を褒めたたえ警戒心を解き、昇給をチラつかせて関係に及んだ。知子も満更ではなく、不倫と言う媚薬は知子の艶を磨き始めた。知子との関係はより深くなり、行為中の動画も撮らせる仲になっていた。二人の仲は職員の中でも噂になるほどにその親密さはあからさまだった。黒川知子は産業政策課長から労働労働部観光局長、そして産業労働部次長の幹部職を得ていた。二人の仲は蜜月関係にあった。
兵庫の「変」 Parallel world in Hyogo 龍玄 @amuro117ryugen
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