第一話

ここはド田舎の山の中にある、志木元中学校。

いいところですが、あるのは歴史ぐらいで、近くにコ↓ン↑ビ↓ニ↓もス↓タ↑バ↓もありません。

そして、平和でいいのですが。なんというか。

部活がすごくゆるいんですよ。

卓球部はほぼ練習してんのか怪しいし、

バド部がなぜか卓球やってて、卓球部よりうまいし、

陸上部は「足が痛くて〜」とか言って授業・学校・部活のトリプルサボりキメてる奴ばっかだし、

吹奏楽部は、ふつーに弱い。お金が無いから外部の先生も呼べないし、何より無料で来てくれる先生も「あ〜ちょっと遠いですねえ…(遠い目をする)」って来てくれないし。

あーーーあ。楽器激ウマ超絶美少女且つシティーガールの転校生来ないかなーー。(棒読み)

そんなことを考えながら窓の外をぼーっと見ていると、誰かが慌ただしく机に駆け寄ってくる。

《ねえ!!〇〇聞いてよっ!!》この元気な女の子は美玲(みれい)。謎の情報通で、すぐにいろんな情報を教えてくれる。いらんけど。

この前も、《この学校幽霊が出るらしい…》とか、《技術室は内側から鍵があかないから、閉じ込められたら危ないよ!》とか。んなことどうでもいいわい。せめて恋バナ持ってこいよ。見た目と性格に反して会話内容が可愛くないんだよ。

どうせ今日も適当な話でもしに来たんでしょ。

《校務員室って停電しても電気つくんだって‼️》「うん」《夜になると学校の木の下に幽霊が…!!》「うん」

《そして焼死した男の子の幽霊が…‼️》「うん」《技術室で餓死した幽霊が嵐を巻き起こし…》「うん」《そして屋上で飛び降りしたずぶ濡れの女の子が廊下を…!!》「うん」《校務員さんって週末は学校に泊まり込みで警備するから、校務員室で生活できるようにホテルみたいな〜…》《灯油やガソリンを管理するための冷蔵庫が〜…》《校務員室の縄で首をつった女の子が…》


さっきから心霊の話に校務員雑学交えて話すのやめてもらっていいですかね。

今日は校務員と幽霊特集かな。あたりの日はもっといい特集持ってくるのに。

あー眠い。ふわぁ〜あ。


《もしもーし?また魂飛んじゃってるー?》「ああ、はいはい。何?楽器激ウマ超絶美少女且つシティーガールの転校生でも来たの?」《え゙!?なんでわかったの!?》「え、嘘。マジで?!」冗談だったんだけど。

《大マジだよっ!!なんとこのクラス!》「吹部入るかな!?」《どうだろ…?元々東京の強豪校の子で、ファゴットやってたんだって!ソロコンで全国金賞だって!》「ブッフォ」《ちょっと大丈夫!?》「それは入れたいけど入らないかもしれんな…」《そうだよねぇ〜…うちの部活、あれだからねぇ…》「んだな…」

《あっ!もう授業始まっちゃうじゃん!移動教室なのに〜‼️》

美玲は慌ただしく教室を後にした。

げっ。次英語かよ。最悪。

英語苦手でホント…英語はわからん。

まあいいや。どうせこれ物語なんだから。今勉強したって意味ない。うん。

クソみたいな点数とってもリアルには響かないんだよ〜〜っと


(1)次の文を日本語に訳しなさい。

ᚤᛟᚢ ᛗᚢᛋᛏ ᚺᚪᚡᛖ ᚪ ᛚᛟᛏ ᛟᚠ ᚠᚱᛖᛖ ᛏᛁᛗᛖ ᛏᛟ ᚵᛟ ᛏᛟ ᛏᚺᛖ ᛏᚱᛟᚢᛒᛚᛖ ᛟᚠ ᛏᚱᚪᚾᛋᛚᚪᛏᛁᚾᚵ ᛁᛏ (ᛚᛟᛚ)

は????

ん???(二度見)

は????????????????????



こんにちはーー

私と美玲は声を合わせて音楽室の扉を開けた。

音楽室にはまだ誰も居ない。

美玲と一緒に楽器を出しながら話す。

《そういえば、〇〇のクラス今日英語のテストあった?》

「あったよ」《あのさ、「ᚤᛟᚢ ᛗᚢᛋᛏ ᚺᚪᚡᛖ ᚪ ᛚᛟᛏ ᛟᚠ ᚠᚱᛖᛖ ᛏᛁᛗᛖ ᛏᛟ ᚵᛟ ᛏᛟ ᛏᚺᛖ ᛏᚱᛟᚢᛒᛚᛖ ᛟᚠ ᛏᚱᚪᚾᛋᛚᚪᛏᛁᚾᚵ ᛁᛏ (ᛚᛟᛚ)」みたいな問題なんて書いた?》

「あれ読めなかったんだけど」《それな》

「おいそこの画面の前のお前。つまり私。翻訳してこい。「ルーン文字 変換」で検索かけてはじめに出てきたサイトを使うんだ。」

《誰に話しかけてんの?》「私。」《???》




こんにちは〜 「《こんにちは〜》」私達は反射的に挨拶を返す。

[お、〇〇と美玲やん。]《そうだよ〜!》[また机も出せへんで楽器出しとったのか?あんたたちも懲りへんね。早よ合奏準備しーな!]「《はーい》」

この関西弁強めな子は望結(みゆ)。この部の立派な部長です。唯一の低音楽器。

《ねね、望結は転校生の話聞いた?》[もちろん!東京でファゴットやっとって、ソロコンで全国金賞取ったんやってね!うちの部に入ってもらえるようにうちも頑張らな!]

《そうだね!美玲もその子に色々教えてもらいたいな〜》




《ねえ望結、その長いやつ何?》美玲が望結が手に持っている長細い銀色の棒を指差す。

[ああこれな、クリーニングロッドちゅうやつで、これにガーゼまいて、スライドの中に通すんや。]

《へー!何本もあるけどそんなにいるの?》[いらんのやけどな…なぜかクリーニングロッドだけあるんや…]

《へえ〜、なぞだねぇ》[ほんま、これでも三本は壊れたから捨てたんやけどな…]

《そんなに簡単に壊れるの?金属なのに?》[まあ、金属とはいえ柔らかいし細いから、曲がったり折れたりしやすいんよなぁ…]




適当に相槌を打っているが、ずっと頭の中は転校生のことばかり。なんもきいてませーん

楽しみだな…転校生。

仲良くなれるかな…


おもむろにそこら辺にあった鉄の棒をペン回しの要領で回す。


[ちょいまち!回したら危ないしそれ返せ!]

「たのしい」《危ないって‼️》

[返せーー!‼️!]「ぬぇ〜」


ぶんどられました。なんなのあれ。聞いてなかったよ。



ミーティング後。

[…〜各自、練習教室に移動してください。]

は〜い


いいかげん練習教室変えたいんだけど。あの部屋ドア勢いよく閉まりすぎて怖いんだよ。

私一回それで指骨折してるからな?

なんで変えてくれないんだよ。

ふん。



バコォォォォォォォォン


ほんと、楽器だけは挟みたくない。楽器かばって指やったんだよな、前。

あ、今のは扉の開閉音です。爆発音じゃないヨ。


あ、やべ、音楽室に忘れ物した。


あのパーカス二人だけの空間に入るのクソ気まずいんだよなぁ…


「しつれーしまーす…」

«…»〚ああ、どぞ〛


うーん、どこにチューナー置いたっけ?

«先輩、チューナー探してます?»

「え、あ、うん。」

«先輩のリュックの中の国語の教科書の間に挟まってますよ»

「え???あ、ありがと」


この子は凜花。時々未来を予言してるみたいな発言をするから怖い。

千里眼か何かなのか…?

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