VR・FPSで野生のプロに鍛えられた僕、最強クラスの実力に気づかないまま、姉妹VTuberに招待されて大会に出場することになりました。リアル世界でメスガキと美人お姉さんに翻弄されながら優勝めざします
第26話 悪質プレイヤー達がリアルファイトしに来た
第26話 悪質プレイヤー達がリアルファイトしに来た
僕達がソファを立ち通路を少し進むと、奥から4人組の男が歩いてくるのが見えた。
4人組は肩を怒らせて小走り。
周囲に首を振って、何かを探している。
うっそだろ。ゲームに負けた腹いせにリアルファイトするつもり?
ヤバい。
仕返しができて爽快だった気分が、一瞬で冷めた。
「アリサ、待って。ちょっとまずい」
多分絶対に間違いなく、あいつらが対戦相手の4人組である可能性が極めて高いかもしれない……。ヤバい。思考が混乱している。落ちつけ。戦場では冷静さを欠いたヤツから死んでいく……!
男達は僕達を見るなり早歩きになった。明らかに視線とつま先が僕達を向いている。
しまった。僕の視線や表情で怪しまれた可能性がある。
知らんふりしてすれ違うべきだった。
あ。違う。僕はVRゴーグルを袋に入れて持ち運んでいるけど、アリサが剥きだしで持ってる。
ジェシカさんたちのいる部屋に逃げこむのは、間にあいそうにない。仮にドアまで行けても、ロックされてるから僕達には開ける手段がない。
男たちが真っ直ぐズンズンと近づいてくる。
後ろの階段からなら逃げられると思いついたときには、ふたりが正面に、左右にひとりずつの男が、僕達を囲むようにして立っていた。
「お前ら、KazuとAlisiaだろう?」
左眉の上に傷があるゴリラっぽい顔のゴツい男が、怪しいろれつで凄んできた。
男達は見た感じ社会人。高校生と中学生に絡むなよ……。
ゴツい男を手で制して、リーダー格らしき男が、一歩前に出てきた。
は虫類じみたなまっちょろい顔をしているのに、妙な迫力がある。
男の蛇みたいな目が、キュッと細くなる。
「……お前。随分と舐めたことしてくれたな」
やべえ、怖え。
威嚇してくるヤツが怖いのはもちろんなんだけど、誰も止めようとしないのが怖い。
ひとりも『ガキなんか虐めるなよ、かっこ悪い』みたいなノリがいないのは、どうかと思う。
足が震えているから無理かもしれないけど逃げたい。
もし、アリサが後ろにいなかったら、僕はとっくに泣いて逃げてる。
「攻撃ヘリ使うなんて、舐めてんのか? バグ使って調子に乗ってんじゃねえよ」
蛇男が声を荒らげるわけでもなく平坦な口調で喋るから、逆に不気味で、恐怖を煽ってくる。
……でも、待って。この声、どこかで聞き覚えある気が……。気のせい?
僕はアリサを庇うために、震える足で一歩前に出る。
「や、やったの、僕だから……」
なんとかしてアリサだけ見逃してもらえないだろうか。
「ああ? 知らねえよ!」とゴリラ男が怒声を上げると「ガチの女だったら態度次第で許してやろうかと思ったけど、ガキかよ、期待させやがって。クソ餓鬼が!」と一歩距離を詰めてくる。
情けないことに、僕は自分に非がないと分かっていても謝りそうになってしまった。
しかし、アリサは違う。
「Fuck! バグ技を使ってたのは、そっちでしょ! Fucking Wallhakcer! アパッチの航空支援はバグじゃありません! シリーズ伝統のスキルですー。Oh soooooooooorry! チート大好きFucking NOOBは上級者用のスキルを知らないよね。ザーコ。バーカ。Son of bitch!」
英語が苦手な僕でも、キャンキャンした声を聞けば、アリサがめっちゃ煽っていることは分かる。
いやいや、火に油を注いでどうするの?!
深夜のオンライン対戦のノリで煽らないでよ!
ほら、みんな目の色が変わって、眉間の皺を深くして、めっちゃ睨んできてるでしょ!
「んだと、テメエ」
それまで黙っていた、トサカみたいに髪の毛を立てた痩身の男まで凄んできた。
「地底人とかアーマー以外にも卑怯なことばかりしてたし、どうせ、レベルだってチートで上げたんでしょ!」
アリサ、ストップ、と声をかけたいのに震えて、口が動かない。
ほらね。
ゴツい男が僕を押しのけて、アリサに掴みかかろうとしている。
「や、やめてくだっ……」
僕が相手の腕を掴もうとしたら、胸を強くどつかれた。
「うっ……ぐっ……」
痛い!
何これ、何これ。
ただどつかれただけなのに、痛みが胸の中心から上半身全体に広がって、身体が思うように動かない。
呼吸が辛くなって、立っていられない。
なんで僕はこんなに非力なの?
僕はたった1回殴られただけで、蹲ってしまった。
「カズ、大丈夫?」
アリサが僕の傍らにしゃがみこんだ。
そんなことより逃げてほしいんだけど……。
子供特有の無鉄砲さに火がついてしまったらしく、アリサは顔を真っ赤にして立ちあがり、男達の方に振り向く。
だ、駄目だ……!
僕は、相手に掴みかかりそうな剣幕のアリサに背後から腕を回し抱きとめる。
どうしよう。どうしよう。
アリサは前のめりになって進もうとしている。
声を出してジェシカさん達を呼びたいんだけど、肺から空気が逃げる一方で、ぜんぜん、声が出ない。
どうしよう……!
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