第8話
「この頃彼の仕事が忙しくて、放ったらかされてるんですよねぇ……婚約した途端にこれじゃ寂しすぎますよー」
この日、美紀は海斗に愚痴っていた。
「結婚したらそんな悩みもなくなるから大丈夫だよ。帰る場所は一緒なんだから、嫌ってほど一緒にいられるようになるよ」
夫婦円満、結婚七年目の海斗の余裕の返答に、美紀は納得したように頷き、“結婚”の言葉に少し頬を緩めた。
その様子を見た海斗は「何にやけてんだよ」とちゃかした後、「心配しなくて大丈夫だよ」と優しく微笑んだ。
ポテサラの出会いから、二ヶ月が経とうとしていた。
“真面目風サラリーマン”の見た目を良い意味で裏切った海斗は、とても気さくで穏やかな性格をしていた。そんな彼に、恋愛相談や愚痴を聞いてもらったり、職場での人間関係の悩みにアドバイスをもらったりもしていた。
美紀より六つ年上。既婚男性の落ち着きだろうか。大人で、冷静で、包容力があり、美紀にとっては頼れる兄貴だった。
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