泥酔
いつの間にか夜になっていた。
ナオにメッセージを送った。
〈今日は帰るね〉
信じたいけど、信じられない
夢を見ているような感覚で現実味がない
考えれば考えるほど悪い想像ばかりしてしまう
いつの間にか眠っていたあずさ。
スマホの着信で起きると、ナオからだった。
恐るおそる電話に出ると
ナオの行きつけのバーの店員からだった
店員「あずさちゃん、ナオが大変!迎えに来て!」
訳がわからないまま慌ててタクシーに乗った
言われた場所に着くと、店員が待っていた
店員「ごめんね、あいつ他に頼れる人いなくて」
あずさ「どうしたの?何があったの?」
いくら聞いても答えてくれない
店員に促されて、建物に入り知らない店のドアを開けた
中に入ると、ナオが誰かと揉めていた
よく見ると周りは物が散乱していて、ケンカでもしたようだった
店員がナオに駆け寄り落ち着かせようとしていた
店員「あずさちゃん来たから!もう大丈夫だから、帰ろう!」
ナオの顔を見て、ハッとした。
野生の動物が獲物を狙う時のような恐ろしい表情をしていた
ナオとあずさの目が合った途端、ナオは力が抜けたみたいにその場に座りこんだ
ナオ「あずさー。俺の側にいてよ。なんで帰るんだよ。」
私のせい?
どうしてこんなことになったの?
聞きたいことが山ほどあるのに、声が震えて聞けなかった。
あずさ「ナオ、帰ろう」
やっと出た言葉
これ以上関わってはいけないとわかっていた
でも、突き放せなかった
なんて、辛そうな弱々しい姿だろう
どうせ、堕ちるならどこまでも
一緒なら大丈夫
ナオとならどん底まで行っても這い上がれる
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