最高に最低

あずさはボーイズバーで初めて会った相手に鼻を摘まれ、飲んでいたビールを吹き出した。


あずさ「ちょっと!何すんの!?」


ナオ「おれ、ナオ!そんな顔しないで楽しく飲もうよー」


なんか、チャラい…


あずさ「私、酒癖悪いから気をつけな!」


ナオ「おー!俺も負けないよ!」


それから何杯もテキーラを飲んだ


どうやって帰ったのかも覚えていない


朝になって、スマホを見るとナオから着信とメッセージが入っていた


ナオ〈おーい、生きてるか?俺のこと覚えてる?〉


あずさ〈大丈夫。ありがと。〉


ナオ〈今日ヒマ?カラオケ行かない?〉


あずさはメッセージを無視した。


いつも通り仕事をした。


珍しく新規の客が入る。


部屋に着くとあずさは呆れた。


あずさを指名したのは、ナオだった。


ちあきからあずさの働いている店を聞いてきたという。


あずさ「あんた、ストーカー?」


ナオ「まだストーカーになるほどあずさのこと知らねーよ」


あずさ「じゃあ、何の用?」


ナオ「カラオケ!行こうよー」


あずさ「行かない」


ナオ「でも、今日のあずさは俺といるしかないよ」


あずさ「はぁ?あんた、まさか…」


あずさの店での出勤時間6時間をすべてナオが指名客として金も払っていたので、あずさはナオと6時間一緒にいなくてはいけなくなった。


あずさ「なんでそんなことするわけ?あんな安いボーイズバーのくせに」


ナオ「あずさのこと、好きになったから」


これは、可愛い


思わずキュンとした。



あずさ「やってること、キモいオヤジだけどね」



なぜか、ナオには意地悪を言いたくなる


その日、ナオは10万円近く使ってあずさに罵られながらカラオケに行き、ご飯を一緒に食べて別れた。



それからは、ナオから毎日メッセージがくる。



何回かご飯に行った。



でも、ナオは好きだ。付き合おうと言ってくるだけで手を出そうとはしなかった。



いくらでもチャンスはあるのに



いつの間にか、あずさはナオのことばかり考えている。



いつもの様に、仕事のストレスをホストで発散した帰りにナオを見かけた。


繁華街に毎日いれば、会いたくなくても会ってしまう。


ナオに声をかけようとした時、いつもと違うと気づき慌てて隠れた。


女の子と手を繋いで歩いていた。


見たことない顔をして。


一緒にいる女の子は客なのか、彼女なのか、わからない


でも、私のこと好きって言ってたのにあんな優しい目で他の子のこと見るなんて


一気に酔いが冷めて、1人でバーで飲むことにした。


飲みながら、ちあきに愚痴のメッセージを送っていた。


もうすぐバーの閉店時間なので、帰ろうとした時


ナオが1人で現れた。


かなり酔っている。


ナオ「あずさー帰ろう」


あずさ「なんでここにいるの?」


ナオ「俺が好きなのはあずさだけだから」


酔っていたせいか、あずさは涙が止まらなかった。

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