第8話 逃げるな

──────ある日の昼下がり、外で煙草に火をつけてぼんやり考え事をしてた。



「勿体ない。吸わないなら火付けるな。ただでさえ高いんだから。」


外に出てきたのは金宮さん。

僕は、火を消してその場を立とうとすると、


「逃げるな」と止められた。

「逃げてねぇよ」と言うと、

「…言ったよね?いつでも来ていいって。何ふてくされてんの?バカじゃないの?」


完全にルイのお怒りスイッチが入っている。


「…だまれ。」

「……」


ルイは僕の傍に来て思い切り頬を叩いた。


「あたしを閉ざして行き場所あんの?よく考えな!」


それだけ言うとルイは僕を抱きしめてくれた。


「…ごめんなさい。」

「拗ねないの。わかってるから。」

「ごめん。」

「いいよ。」


「ルイ…寂しい。」

「だからおいでって言ってんでしょ?」

「…行く。」

「おいで?」



───────────────。


酒は薬にもなるが毒にもなる。

快楽もそう。


与えられる相手によっては

毒にもなり薬にもなる。


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