あたしはもうあんたと離れたくない

Hugo Kirara3500

病室での約束

 私が箱に入れられて、そして埋められてから数日後、突然スコップの音が聞こえてきました。そのザクザクという音は次第に大きくなっていった後、そのスコップの音は止んでカリカリとネジを回す音が聞こえ、箱のふたが開いて私の目に星空が写りました。きっとあの時閉じてもらったまぶたが乾燥してわずかに開いたのでしょうね。そして掘っていたと思われる女性が現れました。


「ジェーン!」


私は叫びそうになった。でももう今は声を出すことも起き上がって彼女を抱きしめたりすることもできません。


「キャシー、待たせてごめん。病室で約束した通りちゃんとうちに連れて行ってあげるからね」


彼女は私に向かってそう言いました。


「ジェーン、君ならきっと掘り返してここから出してくれると思っていたよ」


私はそう思ったけど彼女に伝わるはずもないでしょうね。彼女は手早く私を箱から出した後お嬢様抱っこして彼女の車の後部座席に座らせてから一旦車を離れました。数十分後に彼女は戻ってきて車を走らせ、彼女の家についた時、私をまた抱っこしてバスタブに寝かせました。


「悪いけど、あんたの服一旦脱がせてもらうよ。洗濯するのと体の様子見る必要があるから」


彼女はそう言ってから私の服を丁寧に脱がせていった。そして彼女は防護服を着た後、


「悪いところはなさそうだからピンク色のホルマリン液につけとおくね。苦しかったらごめんね。」


と言った後私をガレージに運んで使っていない水槽に寝かせた後両側にレンガを結び付けられたベルト数本で胴体を固定した後薬品が注ぎ込まれて、ふたをされました。私はすでにあそこで喉や鼻に綿の塊をたくさん詰め込まれていたからここで苦しくは感じませんでした。


 それから二週間くらいたって防護服を着た彼女が再びやってきて「水責め」にされた私を水槽から出して余分な薬品を拭き取った後、体の表面が乾くのを待ちました。


「アルデヒドのせいで少し肌や唇が灰色っぽくなっているけど服を着せたらちゃんと化粧するからね。これで十分体の滅菌が済んで私の部屋で一緒にいられるようになったんだよ」


彼女は私の肌が乾いて要ることを確認してから、服をていねいに着せました。まず、脚を上げてショーツとストッキングを履かせて、次に上半身を上げてブラをはめて、腕を上げてワイシャツを着せて、腰を上げてスカートをはめました。そして彼女は一旦消えた後、ファンデーションケースを持ってきてやってきて私の顔を塗っていきました。最後の仕上げのピンクに見えるけどどぎつくはない色の口紅もつけて。


「どうかしら?」


彼女は鏡を私に向けて言いました。私は濃いめのピンクのファンデ―ションが結構気に入りました。一見して穏やかに眠っているような見た目になったので。でも私の顔をよく見るとまぶたはわずかに開いてはいますが。


すべて終わって、彼女は私を抱きしめました。


「あたしはあんたをずっと愛しているしこれからもそうするつもり」


彼女はそう言った後、私を抱っこして彼女の部屋に運んで、そこにあった横に長いキャビネットの上段に寝かせた後アクリル板でふたをしました。


「寝心地はどう?虫よけにナフタリンを隅にたくさん積んでいるけど臭かったらごめん」


キャビネットの下にはマットが引いてあって寝心地は意外と良かったです。


「またね」


彼女はそう言い残してキャビネットの戸棚を閉じて立ち去りました。周りは暗くなりました。あの箱が閉じられたときのように。 


 


 翌朝、彼女の足音が近づき戸棚が開いて周りが明るくなりました。


「おはよう、キャシー。あたし行ってくるからね」


彼女は戸棚を閉じて立ち去りました。夕方、彼女が帰ってくると、


「キャシー、おかえり。今日はこんな事があったのよ」


彼女は私に他愛のない話をします。これが私たちにとっては貴重な時間です。これからもこんな「日常生活」が毎日続いていくんでしょうね。

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