魔法と科学の交差点で
青藍
第1話 転生の先に
夜空を覆う星々が、どこまでも広がる無限の宇宙のように感じられた。
――何が起きているのか分からない。
真司(しんじ)は、ただひたすらに暗闇の中を漂っている感覚に陥っていた。目の前に広がるのは、まるで霧がかかったような、色を持たない空間。意識はあるが、体がない――いや、身体を感じることができないのだ。
「……これは一体、どういうことだ?」
頭の中に響く声は、まるで自分のものではないような気がした。自分が誰なのかも、何をしていたのかも、何も思い出せない。ただ、胸の中に不安だけが重くのしかかっている。
しばらく漂い続けていたが、突然、暗闇がまばゆい光に包まれ、真司は目を開ける。しかしその目に映るのは、見慣れた街の景色ではなく――異世界の光景だった。
「――え?」
目の前には、高い塔や壮大な城壁が立ち並ぶ街が広がっている。空には二つの月が浮かび、夜の風がひんやりと肌を撫でる。どこか異国の香りが漂い、まるで夢のような世界に迷い込んだ気分だった。
「ここは……?」
真司は慌てて周りを見渡す。目に映るのは、背の高い木々、草原、そして幾つかの異国風の建物。まるでゲームや映画の世界に飛び込んだかのような光景に、彼の頭は混乱しきっていた。
「お前、目を覚ましたのか?」
不意に声が聞こえ、真司はその方向に振り向いた。そこに立っていたのは、背が高く、鋭い目つきをした青年だった。彼は真司に向かって歩み寄り、冷静に言った。
「君が目を覚ますのを待っていた。まずは名前を教えてもらおうか?」
「な、名前……?」
真司は少し考え込む。頭の中に名前が浮かばない。しかし、何かが引っかかる――ふと、記憶の片隅にかすかな名前が現れた。自分の名前だ。
「……高山真司(たかやましんじ)。でも、どうしてここに?」
その質問を口にした瞬間、彼の胸に広がる不安が一気に膨れ上がる。自分が何をしていたのか――どうして異世界に来てしまったのか、全く思い出せなかった。
「お前が転生してきたのはこの世界だ。何も心配することはない。」
青年の言葉に、真司は一瞬驚き、そして戸惑った。
「転生……?」
「そうだ。お前は事故か何かで命を落とした。それから、この世界に転生したんだよ。」
言葉を続ける青年の目には、どこか冷徹なものがあった。真司が何も言えずにいると、彼は肩をすくめて笑った。
「まあ、驚くのも無理はないだろう。この世界では、転生者が珍しくはないからな。」
それを聞いた真司は、自分がこの世界に転生したことを信じざるを得なくなる。だが、どうして自分が選ばれたのか、そして今後何をするべきなのか、全く分からなかった。
「これから、どうすれば?」
「お前には、試練を受けてもらう必要がある。それを乗り越えれば、この世界で生きていく力を得ることができるだろう。」
「試練……?」
真司はその言葉に耳を傾けた。目の前の青年の顔には、冷静な表情が浮かんでいるが、その瞳の奥には何か隠された意図があるように感じられた。
「お前は普通の人間ではない。選ばれし者として、この世界の運命に関わる者だ。今はまだ分からないかもしれないが、やがてその意味を理解することになるだろう。」
その言葉に、真司の心はますます混乱した。自分が何者なのか、何が求められているのか――その答えはまだ見えない。しかし、今はただ、目の前にある試練を乗り越えることが第一だと感じるしかなかった。
「試練を乗り越えれば、この世界で生きる力を得ることができる……?」
そう言って、真司は無意識に拳を握りしめた。その手に感じる温かさが、彼を少しだけ安堵させる。
「分かった。試練、受けてみるよ。」
そう言った真司の顔には、少しの覚悟が浮かんでいた。試練の先に何が待っているのかは分からないが、この世界で生き抜くためには、それを受け入れるしかない。
そして、彼の新たな物語が、静かに幕を開けた。
―――――――――――――――
こんにちは!この物語を読んでくださって、本当にありがとうございます。
これが私の初めての作品なんです。ずっと頭の中で描いていたアイデアやキャラクターを、ようやく形にできたことがすごく嬉しいです。でも、初めてなので、まだまだ至らない部分もあるかもしれません。そんな中で読んでいただけるなんて、すごくありがたいです。
まだまだ拙いところも多いですが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです!これからももっと頑張って、面白い物語を書いていきたいと思っているので、温かく見守っていただけると嬉しいです。
気軽に楽しんで読んでいただければ、私も嬉しいです!今後ともよろしくお願いします!
次の更新予定
2024年11月21日 12:00
魔法と科学の交差点で 青藍 @senrann
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