第10話 探索者管理局???

白野がオークの群れを制圧している間、黒崎と重友は生存者の保護をしつつモンスターの討伐を進めていた。その間自衛隊が生存者を回収し、少しずつ避難所に案内していった

その後、一段落したところで、生存者の治療を行っていた、スミスと合流する


黒崎は最後に倒した巨大なオオカミの上に座る。周りの地面はモンスターの血溜まりができている、その上に座るのは遠慮したい。ゴワゴワとするクッションを気にしないふりをして、倒してきたモンスターを眺めながら口を開いた


「オオカミやら、オークやら平原ステージにいそうなモンスターばっかいるな」


「そうね…私たちが簡単に倒していたモンスターたちが、他の人たちにとってはあんなに驚異だったなんて」


「というより、ダンジョンを経験したかどうかだと思います」


重友の言葉にスミスと黒崎は感嘆の声を上げる。同時に自分たちが、初めてモンスターと対面したときは恐怖で足がすくんだのを思い出した。なお、某能天気魔法使いは、笑いながら魔法でオーバーキルをしていたが、ここでは関係のない話だろう


「それにしてもどこから来たんでしょうか。自然に生まれたわけじゃないですし」


「私たちみたいにダンジョンのゲートを通ってきたのかもしれませんよ」


「またどっかのボスを倒さなきゃってことか?休める時間がなくなっていく…」


「あはは…社会に出たらそんなもんですよ。タスクが終わったと思ったらタスクが増えるんですから…ははは」


突然闇をまといながら、冷めた笑いを繰り返す彼女に愛想笑いで躱しつつ、流れを断ち切ろうと話題を考えていると


「あ~いた!剣一!灯!それに重友さんも!怪我はない?ってあったとしても灯が治してくれるか!」


流れを断ち切れる人が来てくれた。ほっと息をつく二人に首をかしげながら、白野は三人に杖を向けた


「矢筒さんがね、みんなが終わってたら俺のところに連れてこいって言ってたよ~」


じゃあいくね!という言葉と共に浮かび上がる。突然の浮遊感に三人は絶叫する。屋上まで飛びながら白野に対してスミスは、ため息を隠さずいった


「会話をしなさい!会話を!」


「ごめんって~はい、ついた!」


屋上についても、反省せず笑いながら謝る白野の頭を握りこぶしで挟み込んで力を込める。その痛みに泣きながら謝る白野をよそに、矢筒の方を向いて訪ねる


「矢筒さん、何のようですか?まだモンスターがいるところがあるんですか?」


矢筒は、弓で遠くを狙いながら話し始める


「いや、もうほとんどのモンスターは討伐できたはずだ。おまえらにやってほしいのは、モンスターから出る謎の石の回収だ」


「「「「謎の石?」」」」


四人そろって首をかしげる様子に、くつくつと笑いながらトランシーバーを片手に話す


「モンスターを討伐してから一定時間経過したら、高エネルギーを持っている石を残して消えることがわかった。これを回収して復旧の際のエネルギーに役立てたい。だから…」


そこまで話したとき、トランシーバーからピピッという音が鳴った。トランシーバーから何らかの通信を受け取った矢筒はトランシーバーを持って怒鳴るように話し始めた。いつもの余裕のある雰囲気とは異なり、怒りの炎が見えてくるほどだ。


「はぁ……すまん。取り乱した。謎の石の回収はしなくていいそうだ。どうやら探索者管理局がやってくれるらしい」


「探索者管理局…?何ですかそれ」


聞いたこともない名前に首をかしげる。後ろでじゃれてた奴らを振り返ってみても顔を見合わせていた


それも当然だろう。探索者管理局とは、世界中にダンジョンへのゲートが現れた瞬間発足し、世界中にあるゲートや、ジョブが覚醒した探索者を把握し始めたのだ。その目的は何なのかは不明だが、謎の石が高エネルギーを持っているという情報もそこから来た。


「管理局が掲げているスローガンはノブレス・オブリージュ。ま、簡単に言えば探索者は非探索者のために力を貸してくれって感じだ」


「へえ~じゃあ私たちもいずれそこに所属する感じですかね。会社辞めなきゃかな」


「そもそも会社が機能できてるかっていう問題があると思います」


「あ!?」


スミスの言葉に、盾にしがみつきながら崩れ落ちる。涙目になりながら頑張って入ったのに~という声が聞こえてくる

その声を笑って流しながら、白野は一つの提案持ちかける。それはここにいるメンバーでチームを組もうというものだった。話がつながっているようでつながっていない提案に、困惑しながら理由を聞いた。幼なじみほどの理解度はなくとも数日の旅で、白野にはそういうところがあるということはわかっていたからだろう


「理由?そんなの決まってるじゃないですか!このメンバーの方が動画映えしそうだから!」


「しってた」


「拓魔はそうよね…この人たちに迷惑かけないで!」


頭を抱えて大きなため息をつく。面白そうだからといって突っ走るのは彼のよくないところだ。黒崎とスミスは目を合わせてうなずいた。お互い考えていることは同じだろう。返事をしていない矢筒と重友は、笑いながら断った


「すまん。俺には部下がいる。俺の指示を待ってる奴らまだいるんだ」


といいながら、トランシーバーを目立たせるように振る。その先には彼の指示を待つものが数多くいるのだろう


「私も、ごめんなさい。私は自分で何かをするよりも誰かに目的を決めてもらった方が、うまく動けるんです。それに私は誰かを守る側でいたいので…管理局に入ろうと思ってます」


表情は笑みを浮かべていたが、その瞳には強い決意が宿っていた。きっと彼女は自分で選んだ道を変えることはない


その二人を無垢な瞳でジッと見つめ、笑い返す。軽い気持ちで誘ったものに真摯に返してくれたことで自然と口角が上がっていったのだ


「そっか!じゃあ連絡先だけ交換しよ!それくらいはいいでしょ?」


全員の連絡先交換を済ませたら、スマホから緊急地震速報と同じアラームが鳴り始めた。スマホに届いた通知には、探索者管理局の配信が一時間後に始まるという内容だった


「一時間後…それまで何します?」


「発生源を見に行かない?モンスターたちが出てきたゲートの特徴は知っておいた方がいいと思うの」


「いいね!僕探して見るよ!ちょっと待っててね!アド ムンディ ソムニア…ごめん。もうちょい待っててね、MP大量に使いそうだ」


「この配信で新規募集始まらないかな…」


「重友さんなら、本拠地に突撃しても採用されると思うぞ」


弓を片手に警戒態勢のまま茶化してくる矢筒に、ひどいですよ~といいながら連絡先が増えたスマホを眺めて、ニヤニヤと笑い続ける

そうして画面を見続けながら唐突に大きな声を出して、スマホを四人の方へ向ける。それを見た四人は同じく大きく目を見開いて冷や汗をかき始める


「配信続いてます!影浦さんがコメント欄と雑談してますよ!」


「まっずい!忘れてた!急いで行こうさすがにソロ配信はかわいそうすぎる」


「あぁ顔色がどんどん悪くなってく…」


「俺はこの場所に残るから、おまえ達はいってこい」


「拓魔MPは残ってる?さっき足りないとかいってたけど…」


スミスの問いに、白野はそれに笑顔で答え、杖を振る。その瞬間、白い光が矢筒以外を包み込み浮かび上がらせた。さぁいくよ!という声とともに風を切りながら空中を進んでいく。先頭で飛んでいる白野の顔色が悪くなっていることに隣で飛んでいた黒崎だけが気づいていた


「拓魔、大丈夫か?顔色悪いけど…発作か?」


黒崎の言葉に首を横に振る、口をつぐんだまま杖をつかんでいる手に力を込めた。黒崎はその手を支えるように手を添え続けた


「あ、みなさん!見てください!英雄たちが帰ってきましたよ!」


近づいてきたので速度を落としたら、影浦さんがカメラを向けてきたので、軽く手を振ってから着地に備える。駆け寄ってきてこの場所の軽い説明をしてくれているのを、左から右に流しつつ僕は剣一に寄りかかっった


「白野さん。どうしました?体調が悪いなら、中で休みますか?」


そういって避難所の入り口を開けようとしてくれるの尻目にステータスを開く


「いや、いいよ。原因はわかってる。すぐ治るさ」


僕の前にあるステータスのMPは0を示していた。この体を襲っている倦怠感は、MP不足によるものだろう。発作の時は倦怠感よりも息苦しさの方が勝つし


「本当?発作でもなさそうだけど…」


「取りあえず座りましょうか。寄りかかってるとしても立ちっぱなしはつらいと思います」


そのまま、ベンチに案内され大杖を支えに座る。ここまでMPを減らしたことがないからわからないけれど、10位まで回復したら満足に動けるようにはなるだろう

剣一と灯にアイコンタクトを送り話をつなげてもらおう


「…今どんな話をしてたんですか?」


「モンスターがここにいる理由とかしれたらうれしいんですけど…」


あぁ!それはですね、といいながらコメントを空中に表示させる


「コメントによるとゲートが突然赤黒く光りそこからモンスターが放出されたそうです。モンスターを吐ききった後、そのゲートは光を失い消滅したそうです」


「突然に、ですか…」


「はい、突然にです。管理局の方から詳細については説明されます」


管理局が何の組織かすらよくわかってないのに、確信を持った目で話す影浦さんに違和感がある。なぜだろうと考える前に灯が聞いていた


「ついさっき起こったことなのに、すぐ説明できるようなものなのでしょうか」


「はい、管理局には特殊なスキル持ちがいます、彼女が詳しく解説してくれるはずです。その内容については知りませんけど」


「そうですか…」


なんか知ってそうだし、機械的な返答しかしない影浦さんが不気味でしょうがなくて、影浦さんから目をそらしてコメント欄を見る


””

管理局ってマジでなんなの??

今残ってるゲートも暴走する可能性があるってこと??

避難所にいるものです。助けてくれてありがとうございます

ワイ現地探索者。モンスターに苦戦してたら、後ろから矢が飛んできた

怖すぎwww

””


「矢筒さんの支援はマジでビビるからね。しょうがないよ」


「私たちが戦ってる時も、時々飛んできましたよね」


「あ~たしかに!急にきて思わずガードしてました。俺のこと狙ってないのに…」


矢筒さんの矢は音がないのに早いから怖いという話をみんなで続けていた。結局配信開始までここで話し続けることにした


ある程度話してそろそろ管理局の配信が始まるころ、思い出したので僕のパーティーについて説明しておくことにした


「そうだ!今後の方針について説明しておくね!僕、剣一、灯の三人は三人パーティーでダンジョンにもぐることにするよ!重友さんは、探索者管理局に入りたくて、矢筒さんは自衛隊に戻って活動かな?そんなんだからよろしくね~」


””

残ってるダンジョンはどうなるんだろ

はぁ!?

突然の発表

?????

影浦さんは?

””


「影浦さんはお借りしている状態だしね。じゃみんな!管理局のほうに移動して!お疲れ様~~」


両手を振ってから配信停止ボタンを押す。配信が終わる前からみんなの?でコメント欄が埋め尽くされているのはとても面白かった


管理局の配信開始まであと三分。どんな配信が始まるのかドキドキが止まらない

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