第2話 変わった日常、変わらぬ日常
「とりあえず情報を整理しよう」
剣一の言葉を聞いてステータス画面をしっかり見る
白野 拓魔レベル1職業 賢者
MP150
スキル賢者 マナに愛されしもの
「賢者~?なにそれ意味わかんない…」
「お!これ触ったら詳細出てくるぞ!」
「ほんと!?」
剣一の言葉通りにスキルを押してみる。すると二つのウインドウで詳細が書かれていた
賢者 詠唱なしですべての魔法が使える。MPの許す限りなら創作魔法が使える
マナに愛されしもの MPの消費量が大きく減る。MPの最大値上昇
よくわかんないけど強そう。つまりサンダーとかって言った、ら
そんなことを思っていたら僕の真横に稲妻が走った。どゆこと?まさか考えたから出てきたってこと?詠唱なしってこういうことなの!?
「お、おい!今のなんだ!ここはセーフゾーンじゃないのか!?」
剣一が空中に向かって叫んでる。多分ウインドウに向かって叫んでるのかな?とりあえず止めるか今回のことは僕が悪いし。ウィンドウの奥にいる優しいお兄さんにも申し訳ない
「落ち着いて、今のは僕がやったんだ、多分…それにしてもそんなに怒りやすかったっけ?いつもだったらなんだいまの、で流しそうだけど」
僕に止められて、落ち着いたのかあきれるようにため息をついてから、僕の質問に答えた
「お前だったのか…いや、こんなところにいて普段通りに生活できるわけないだろ。お前もいるし」
「僕も?」
「お前体が弱いだろ。こんなところに長くいたら悪化するかもしれない」
確かに僕は、病院に週一で行かないといけないし、体育とかは参加できないけど…!
正直僕にとっては当たり前で慣れているから忘れていた。幼馴染でもなれないものなのだろうか
「大丈夫だって!なんかここにいてから体調がいいんだ。そう思うんならさっさと出よう。そういえば、剣一のステータスって?」
「俺か?俺は職業勇者でスキルは経験値補正とダメージ補正だ」
「へ~僕は、魔法が全種使えるのとMPの消費量が減るんだって、でもさぁ初期MP150って書いてあってもどのくらいかわからないよね~」
「え?俺の初期MP30なんだけど」
「あ!そんなに違うんだ。面白いね~」
「面白いって…はぁ、そろそろ行こうか。お前の言う通りさっさと出ないと、でも剣とかないと俺は戦うことはできねぇぞ」
そんなことを言うと急に壁が動き出して、様々な武器が置いてある部屋が現れた。そこには剣は勿論のこと弓矢、槍、そして僕が使うであろう杖。杖は片手で持てる者から両手で持てる物まで多岐にわたる。
埃がすごそうだし、俺が入ると潜っていった剣一は、名前の通り剣をとった。手になじむかららしい。腰につけた後、大杖と杖を持って僕のところまで持ってきてくれた
「このちっせぇのは持てると思うがこっちはどうだ。行けるか?」
そういいながら大きな杖を渡してくる。なめるんじゃないよ!僕だってこのくらい持てるもんね、と言いながら杖を受け取ったら杖を持ったまま崩れ落ちた。途中で剣一が支えてくれたから倒れないで済んだけど
「ご、ごめん…」
「やっぱ無理か、いや筋肉がつかねぇ体だししょうがねぇよ。こっちの小さいほうは持てるだろ?こっちで行こう」
そう言って大杖を武器庫にしまおうとする剣一を止める
「いやだめだ、さっき持った時にこれの説明文が見えたんだけど、大杖は攻撃魔法の、杖は補助魔法の効果が上がるって書いてある。大杖を持たないと」
「でもこれ持つことなんてできないだろ?ただでさえ普通に歩くのだって大変なのにこんな荷物を持っていくことなんて無理だろ」
どうにかできないかと考え込む。僕の頭上から、別に杖の方を持ったって攻撃魔法の威力が下がるわけじゃないんだし大丈夫だろうという声が聞こえてくる
そんな僕の前にウィンドウが現れた。そこには笑顔の老人と、浮遊魔法を試してみるとよい、お前の助けになるだろうという文字があった
「浮遊魔法…?」
そう呟いたら、大杖と杖が僕の周囲でふわふわと浮き始めた。数秒呆然とした後、いくつMPを使ったのか確認するためにステータス画面を開く
白野 拓魔レベル1職業 賢者
MP142
スキル魔法名人 マナに愛されしもの
8ポイント減ってる、誤差だな。てかサンダーもうったしこのくらいの消費ならいいんじゃないか?あ、
「まずい!またやったかも!ん?」
「どうした?」
「あ、いや何でもない」
ピコンッ
また笑顔のおじいちゃんが何か送ってきたみたいだ
不便そうじゃったからの、少し調整しておいた。使いやすいと思うぞ
助かる~けど最初からやっておいてくれよ!!
首を傾げた剣一の後ろをついて行き隠し部屋からでる
そこからはいろんなことがあったな。100メートル歩いたら僕が疲れて歩けなくなるから剣一に背負ってもらったり、迫ってくるモンスターを僕が倒したりいろいろしたな…
「…おい……おい!拓魔!!大丈夫か!」
体を揺らされ目が覚める。いつのまにか寝ていたみたいだった。目の前には僕の肩をつかみながら顔を青くしている
「ん、寝てたみたい、インタビュー終わった?」
「寝てたって…心配させるなよ…帰るぞ、明日のことを考えよう」
「明日…どこのダンジョンに行くんだっけ?」
「明日は千代田区ダンジョンだ」
「千代田区…あれ?そこって」
「あぁ灯が遊びに行っていた場所だ」
灯とは僕たちの幼馴染だ。そして一週間前、千代田区へ見学に行っていた。それから音信不通だ。もしかしたらそこのダンジョンにいるかもしれない。もしそうなら居ても立っても居られない!
「剣一先に入って偵察を…」
「ダメに決まってるだろ。お前が耐えられない。ほらもう寝るぞ!」
「で、でも」
「それで明日動けなくなったらどうする?拓魔は俺たちの生命線なんだ。最初のダンジョンみたいにお前を背負って移動することはできないかもしれないんだぞ。休んでおいたほうがいい」
その言葉に口を膨らませながらうなずく。早く助けたいのも事実だけど、探索や移動でお荷物になるのはよく知っている。少しでも休んでおかないといけない。わかってる、わかってるけど…
「灯がそう簡単に死ぬと思うか?な?あいつなら大丈夫だよ、ほらもう寝ろ。家までは俺が連れて行ってやるから」
「…うん」
毛布でくるまれて目を閉じる。何か揺れているようだからきっと移動しているんだろう。外に出て肌寒くなったら、タクシーに乗り込んだ。ここからはちゃんと覚えてないけど、剣一の部屋で寝てたから剣一に運ばれたんだろう。ぼうっとしているとどこからか、甘い香りが流れてきた。窓が開いているからだろうか
「拓魔ー!起きたかー?飯あるぞ」
窓から流れてくる暖かい風に当たりながら空を眺めていたら、剣一が入ってきた。朝ごはん、だれよりも料理好きなお袋さんが作るご飯は美味しいからな。どのくらい料理好きかというと、お手伝いさんとかがいるのに、料理だけは自分でやるといってきかないくらいだ。
早く行かないとベッドから降りて立ち上がる、早い時間から寝たからか今日は体調がいい気がする
「歩けるか?今日は気温が高いらしいから窓開けといたんだが、大丈夫だったか?」
「うん、おかげでいい目覚めだったよ。朝ごはんはなに?」
「ハニートースト。お前もいるし父さんも好きだからな~俺には甘すぎるけど」
「剣一はコーヒーも飲めちゃうもんね。よし!さっさといこ!早くしないと親父さんに食べられちゃうよ」
「流石にそんな食い意地は……」
僕たちがテーブルにたどり着いたころには親父さんはすでに三個のパンを食べ終えた後だった
おなか一杯になった後、二人に見送られて千代田区へ向かった。あ!配信の告知を忘れずにしておかないと
一言メモ
黒崎 剣一/くろさき けんいち
彼の家は世界有数の富豪一家。だがそこまで家業を続けることに頓着しておらず、また妹が家業を継ぐために動いているため、剣一は拓魔の世話をする人生を楽しんでいる
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