世界初!?ダンジョン配信はじめるよ!

@hbk3i

第1話 英雄たち

トーストを咥えながらテレビをつけて、ニュースを見る。一週間前、世界中に謎の問がで来てからニュースはずっとその話題だ、いい加減飽きてきたし中の様子とかも見ることができないから政府の決定とか、探索者の存在だとかそのくらいしか放送してない


「あ、ダンジョンって名前になったんだ。…ほんとにラノベの世界じゃん」


ニュースによると明日、探索者たちでチームを組んで東京のダンジョンに挑むらしい。警察が挑んでも多くの人が死んでいるんだからどうせ無理だろう、とコーヒーを注ぎながら聞く。まだ覚醒しておらず、耳に入っているのかすら怪しい朝でも、しっかり聞き取れた一言があった


それはダンジョンに潜る探索者へのインタビューだ、その中で一番小さく右目にケロイド状の傷がある子がこう答えた


「明日の攻略は配信するつもりなんだ、血とか流れると思うから平気な人だけ僕のYから飛んできて」


そういったっきりバックヤードへ帰っていく。病的なまでに色の抜けた髪と肌が、痛々しい

コーヒーをキッチンに置いたままスマホでYを見る。みんな早いな、もうトレンド入りしてる

あの子が言った通り明日の13:00に配信開始されるみたいだ。ちょうど休みだし見てみてもいいかもしれない


固まっていた中継が動き出す。バックヤードに還った彼に戸惑いながらインタビュアーがほかの探索者へ聞いていく。さっきの子をいれて全部で五人、そんな人数で攻略できるものだろうか


黄金の装備を付けた、黒髪のいかにも好青年が頭を抱えながらインタビュアーにこたえる

カメラが近づいたらからか、かなり背が高く見えるし、鍛えてもいる。見る人が見れば眼福といったものだろう


「すいません…ダンジョンが出てくる前からの知り合いなんだが…昔からああなんだ。自分勝手というか、マイペースというか……さて、明日行く人らの役割を軽く紹介しておこうか、詳細は明日の配信でってことで」


嘆くようにつぶやくように、絞り出された言葉は最後の方か聞き取れなかった。だが、あまり悪い雰囲気は感じない

目の前で手を叩き、気持ちを入れ替えたように探索者の自己紹介の流れを作った


「まずは俺から、一番話ができるからってことでリーダー任されました。黒崎剣一です。主に剣で戦います。近距離アタッカーって感じですね

副リーダーは、さっき出て行った白野拓魔。魔法で戦う中距離広範囲アタッカー兼ヒーラーかな?はい次の人―」


そういいながら体を横にずらして後ろにいた人を前に立たせる。背中に大きな盾を携えた女性が前に出てきた。ボブに眼鏡をつけていて、少し震えながら口を開いた


「こんにちは、私は…えっと、その、せ、背中の盾はドロップ品で、、」


眼を泳がせながら少しずれたことを言い出す彼女を止めるように、黒崎が再び前に出た


「ちょっと、重友さん名前名前!」


「あ、すいません…私は重友香、最前線で皆さんを守る仕事です、つ、次おねがいします…」


背中の盾を前に回し隠れるように後ろに下がっていった。その横から迷彩服を着た男が出てきた


「ど~も、弓を使う遠距離アタッカーの矢筒大将です。一応銃も使えるけどスキル的にも、弓の方が使い勝手がよかったんでこっち使ってま~す」


「カメラ役で入る影浦です。隠れることと気配を消すことが得意なのでこの役に抜擢されました」


いつの間にかカメラの前に立ち、流れるように自己紹介を終え、消えていった


「この五人で潜っていこうと思います。俺と拓魔は幼馴染でそれ以外はこの召集で初めて出会いました。矢筒さんが自衛隊所属でそれ以外は一般人かな?

…んじゃそろそろ休みますね。明日も早いんで。質問は明日の攻略の後で、ね?」


そういったあとウインクをして帰っていった。カメラマンが一人ってことは実質的な探索者は四人ってこと?ますます気になってきたな、明日、休みの連絡入れておくか


バックヤードにて


テレビで流れたことが上手く広まっているかを確認するためにスマホを開く。お!通知がいっぱいだ!人気者になった気分~♪



一週間前、文字通り世界が変わった。いつも通り、剣一と一緒に帰っていたそんな日常、家が隣同士で、少し特殊な僕の面倒をよく見てくれた。優しい奴だ。もう一人幼馴染がいるんだけど、今はいいだろう


そんな僕らの足元に突然青白い光、通称ゲートが現れた。そいつは僕らを吸い込んだんだ。(いや、落っこちたのか?)その先は暗い洞窟で何も見えなかった

いや、見えるものはあったな、暗闇の中僕の目の前にはよくあるゲームのステータス画面のようなものが浮かんでいた。(ガチでラノベかよ。これだったらクラスメイトにラノベ借りとけばよかった)


そこには僕の名前と、変な職業、そしてスキル名が書かれていた。意味が理解できず、呆然と描かれていたことをつぶやいていた僕の口を、誰かが手で押さえ、壁際に寄せていった。


驚いて暴れようとしたら、ささやき声で落ち着け、俺だ。なんか変な奴がいる、と剣一に抱え込まれた。剣一と僕のサイズは一回り違うから僕は剣一に覆い隠された。咄嗟にこういうことができる奴がモテるんだろうな、と見当違いなことを考えていたのを覚えてる


そんな中大きな音が聞こえてきた。ズシン、ズシンと重いものが歩いているような音だった。その音がだんだん近づいてきて、僕たちの前で音が止まった


10秒?5分?わからない。わかることはこの音を出している奴が僕たちに攻撃してきたら間違いなく死ぬということだけだった


二人で息をひそめる


動き出した、最初に来た方向とは逆の方向へ歩いて行ったみたいだ。二人でほっと息をついた


「よかった…のか?」


「ここどこ?確か変な光に吸い込まれて…」


「いや、俺が知るかよ。とりあえずここから離れよう、あいつが戻ってくるかもしれない」


「確かに…なんか休めるところとかあればいいんだけどね」


「ゲームでいうセーフティゾーンか?」


「そんなのあるわけないじゃん(笑)」


ピコンッ


「「ん?」」


そんな話をしていたら目の前のステータス画面にメールボックスが現れた。それを開くと、笑顔のおじいさんとかしこまった文章があった


壁を向いて左に三歩歩けば押すことのできる岩がある、その先には隠し部屋があるぞい


なんだこいつ、信じていいのか?とりあえず相談しておくか


「剣一、今ね」


「あ~多分俺にも来たわ、左に三歩だろ?」


「そーそれ、おじいさんに教えてもらった感じだから、この人がよく聞くGMさんかな?」


「え?俺は優しい兄ちゃんって感じの奴なんだけど」


「うっそ教えてくれた人違うの??」


「ま、行ってみればわかるだろ。この暗さだ、静かにしておけばバレねぇ」


壁に手を添えて三歩歩く。その辺で適当に壁を触っていると、少しだけへこむ岩があった。そこを押すと、目の前の壁が動き出し、ランタンとソファと本棚がある部屋が出てきた


「よかった、休めそうだ」


「ぼっくいっちばーん!」


家にもソファがあるのになんだが久し振りな気がして泣きそうになる。ソファに寝っ転がるように飛び込んだ。ソファは新品ではなかったのか、飛び込んだ瞬間に埃が舞ってしまい、咳が止まらなくなってしまった


「バカ!なに飛び込んでいるんだよ!!」


「げっほ、げっほっほ、ひゅー……行けると思ってげほっ」


「あー薬、薬、どこに…もしかしてない!?」


「かばんに…忘れたかもげほ」


暗闇の中で見付けられなかったから、かばんは置いてきた。あ~ちゃんと覚えてたら、こんなことしなかったのに!


落ち着くまで休憩を余儀なくされた。せき込んでいる間剣一に背中をなでられながらあきれられているのを感じた。悲しい、もっと優しくしてほしい


一言メモ

白野 拓魔/しろの たくま

幼少期に巻き込まれた事件のせいで、成長期が来なかったし、筋肉もつかない体になったから、高校生とは思えないほど、幼い体をしている

本人はそのことを、運が悪かったと思い、そこまで気にしていない



あとがき

ちなみにメインキャラたちの設定はクトゥルフのキャラシ作成サイトで作りました。そしたら個性的な凹凸キャラができてびっくりしました


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