第16話




 阿波國(あわのくに)、第5地区。



 私は火の国である『南海道』に属している神の1人だ。


 “阿波國“というのは、南海道の中にある四つの大区画、



 讃岐國(さぬきのくに)


 伊予國(いよのくに)


 土佐國(とさのくに)


 阿波國(あわのくに)



 のうちのひとつである。


 南海道全域を統括している大神、火之迦具土神様の直轄部隊である「鳳凰院」の担当区域に、“阿波國”は存在している。


 現代で言えば、阿波國というのは「徳島県」のことを指す。


 讃岐國は香川であり、伊予は愛媛、土佐は高知だ。


 


 第5地区という名称の通り、阿波國には約30にも及ぶ地区が存在する。


 小さい区画から大きい区画まで、その種類は様々ではあるが、第5地区は吉野川に面している地区の一つに数えられ、計4つの区画から構成される“普通地方公共団体“の街(中区画)の一つに分類される。





 南海道には、「鳥」を象徴とした8つの部隊があり、私が所属している鳳凰院の他に、



 朱雀院


 鵺院


 大風院


 鴸院


 共命鳥院


 迦楼羅院


 青鷺火院



 の7つがある。



 部隊によって役割が異なり、それぞれの管轄地区に準じたルールが設けられてはいるが、正直部隊ごとの関わりはほとんどないと言っていい。


 あるとすれば、青鷺火院くらいか。


 阿波國では、鳳凰院と青鷺火院が管轄している。


 その関係で、時々青鷺火院とは合同演習を兼ねて会合が行われるのだ。


 と言っても、私のような新米の神にとっては、合同演習などあってないようなものだが。

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