第8話

「今ならばあいつを捕らえることが

できるかもしれん!行くぞっ」


そう言った楓殿を先頭に

皆が白夜に向かっていく




  

あれ程の妖にあんな怪我を

おわせられる者など人では考えにくい…





それ程強い妖にでも

やられたというのか?


あの白夜が?









妖といえど手負いの相手に

刀を向けることに

少し抵抗を感じながらも

それでも村のためにと皆となんとか

白夜を捕らえることに成功した。








妖を捕らえるための

特殊な玉を使い鎖で縛る





その間、奴は軽く抵抗するも

怪我のせいか

あまりにも弱っていた。








「とりあえずこれで此奴は何もできまい。

父上が留守の今、

これほどの妖を独断で処理してよいものかも

私1人では判断ができない。


村に置くわけにも行かんから

黒楝山にでも縛っておこう…

その間に他の妖にやられるならば

私たちの知ったことではないしな」

 

楓殿の指示で男3人ががりで

白夜を引きずり山を登っていく




ある程度登って

少しひらけた崖の手前の大きな木に

縛り付けた。





「では、早く村に戻るぞ!

ここは妖が多い…

他の妖に出会うのは面倒だ」


ぞろぞろと皆が山を下っていく中

私は一人、大きな傷の中

木に縛られて弱っている奴を見ていた



『……』





妖など嫌いだ。


しかし、こいつは知る限り

私たちを傷つけたことなど

一度もなかった…

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