噂の関係
翌日、懸念した通り、クラスに入ってきた瞬間にクラスメイトに囲まれた。友人代表なのか陽斗が一番最初に話しかけてくる。
「おまえいつの間にユリアさんのこと落としてたんだよぉ~! 昨日は放課後学内デートもしてたって聞いたぞ!」
「美咲からも二人が一緒にいて仲良さそうだったって裏取りはできてるんだからね?」
と厳しい追求が。俺は正直に伝えることにする。
「だからライク! ラブじゃなくてライクなの! それと 昨日は文芸部みたいって言ったから文芸部の俺が案内しただけで……。それと、ユリアは距離近いことを文芸部の人たちは知らなかっただけでみんなだって多分聞いたら好きって言ってくれるって!」
「でも本人の口からラブという言葉が出たらしいけど?」
そこまで伝わっているのか。これはどう切り抜けようかと思っていると美咲が近くにやってきて
「まあまあ。本人が違うって言ってるんだしそのへんにしておいてあげたら?」
そうフォローしてくれた。ありがたい……さすがは俺のメインヒロイン。
「え~! でも気になるじゃん! 美咲は気にならないの?」
「でも佐藤くんが誰とどういう関係になっても別にいいんじゃない?」
仮にもヒロインとは思えないことを言われてしまった。しかし美咲の友人は違うところが引っかかったらしい。
「いやわたしたちが気にしてるのはユリアさんの方なんだけど? どうしたの美咲?」
「えっ! ああそうだよねユリアさんが誰を選んで恋愛してもいいって言いたくて……」
待ってくれ美咲! なんで俺とユリアの関係が恋愛前提の話になってるの!?
「と! とにかく! 私は気にしてないからぁ!」
と逃げ帰られてしまった。結局悪化している気がする。
「あれ~? おっかしいなぁ。今朝この話聞いたときには美咲も驚いてたはずなのになぁ」
美咲が俺とユリアの関係を気にしてた? 美咲はそういう言い方が悪いが下世話な話に興味のあるタイプじゃなかったはずだったんだが……。知らない間に噂話好きに変わってたのか? とはいえ美咲の介入でクラスメイト達による俺への質問攻めが終わったことには感謝したい。
「ユウマさ~ん! たいへんでしたね!」
「お前のせいだぞユリア。ともかく今度はお前の方からも恋愛じゃないって否定しといてくれよ?」
「そうですね。ミサキさんとの関係に私が割って入るのは解釈違いなので! 私は推しカップルの間に割って入るタイプの悪いオタクじゃないので!」
それはありがたい。
「それよりミサキさんとは昨日どうだったんですか? いい感じに話せました?」
「まあこの前よりはちゃんと話しできたかな。それで、今日はイベントあるのか?」
「いえ。ありませんね。1日刻みでイベント詰まってるわけじゃないので」
「また聞いちゃった俺もだけどお前も躊躇なくネタバレするな」
本当になんかタイムパトロール的なやつに消されたらどうするつもりだ?こいつ。
「だって未来から来てるの知ってる人ってユウマさんしかいないんですよぉ! それにいつも言ってますけどユウマさんは私の推しキャラなんですからこの短い旅行中に会話くらいさせてくださいよ~!」
「だから抱きつくような仕草をするのはやめろって! またみんながこっち見ちゃってるだろ!?」
「え~じゃあ私はこの感情をどう処理したら良いんですか!?」
「また変な言い方するなって! ほらまたクラスメイトが寄ってきちゃったろ!?」
「あ~ん! ユウマさんが私の気持ちを知ってるのにつれない態度取る~!」
お前ちょっとこれ楽しんでるだろ!?そう思っているが、ユリアは止まらない。
「ふふ~ん。ちょっとくらい私に楽しみくださいよユウマさ~ん」
「うわっだから抱きつくなって
うわっやわらかっいい匂いがする!
「ユウマさんの匂い~! あ! これハマりそうかもです。でもでも解釈違いを訴える私もいます~」
「こらスリスリするなって!? うわぁぁぁ柔らかいのが上下に……!」
「ユ・ウ・マ・さ・ん~!」
結局本日2度目の記者からの追求がすぐに始まることになるのだった……。
「やっぱりあの二人仲良くない? あれで付き合ってないのってホントなのかな? ねえ美咲? どう思う?」
「なんで私に聞くの?」
「いや、アンタがあっち気になるオーラバンバン出してっから聞いたんだけどね?」
「そんなことないってぇ!」
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