流れる雲の名前

風の中形を変えるその姿に言葉なんて必要ない

言葉の届かぬ場所でその存在は静かに揺れている


昨日も今日も、明日だって

ただ流れていくだけ。誰にも縛られずに


子どもの頃、じっと雲を見つめた

動物や花の形を探していた


今見ているあの雲に名前を付けたら

あの雲はあの雲ではなくなってしまう気がするから


雲の名前なんて知らなくていいのだ

あの雲はあの雲であり続ける。僕が忘れていく間まで


僕の上を通り過ぎるだけの雲

その形の不安定さと触れられない儚さを知っていれば

この先またどこかで、名前の無い何かに惹かれるから

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