第77話
「そうと決まれば膳は急げ♪Let’s go!ちなみにお前の会社には取り調べのため二週間休むことになっている」
周はにこにこ言って俺の肩を引き寄せ、
「職権乱用!」と叫ぶ俺にチュッとキスしてきた。
「使えるものは最大限使っておかなきゃ損だろ?これが俺様クオリティーだ♪」
にやりと笑って舌で唇をなぞる周は悔しいぐらいかっこよくて色っぽくて―――
くっそぉ!惚れた弱みって言うの??
俺は何も言い返せず、それでもこいつらしいと思ってちょっと笑った。
周はふっと優しく微笑むと、俺の目元を指で拭った。
「こんなことで泣いてたなんて、可愛いヤツ♪」
可愛いとか言うな!
お前が俺を置いてアメリカ行っちゃうかと本気で思ってたんだからなっ。
でも―――
周の香りが戻ってきた。
爽やかな柑橘系で―――少し甘い。
絶対数の名前を持つ香りが。
むせ返るような甘美な香りに誘われて、くらりと眩暈みたいなものを覚える。
それは恋の香り―――
周はウエディングヒツジをまたも取り出して耳を寄せると、
「何々?出発する前に新婚初夜を味わいたいだと?ふむ、良かろう♪」
って!言ってねぇし!!新婚じゃねぇし!ついでに言うと初夜でもねぇ!
「俺はいつでもOKだ!」
なんて強引に押し倒される。
「ギャーーーー!!」
平凡な日常にさよならしたわけだけど、
やっぱりこいつの世界に俺はまだまだついていけない。
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