第43話
こうして俺の非日常は始まった―――
スマホも結局そのままだ。暗証番号は教えてもらえてない。
(結局捨て切れなかったスマホ。いまいち思い切ったことができない…)
「自分で考えろ」と周は冷たいし。
そして比奈の写真は開けないまま。
―――まぁそれはそれでも良かったのかもしれない。
それから一ヶ月ほど、周は―――ことあるごとに俺の部屋に来るか、仕事帰りに俺をほとんど拉致るように連れ帰り、俺はこいつの性欲の餌食になっている。
でもそれが嫌だとか、そんなんじゃない。
強引な言葉とは反対に周が俺を抱く腕はいつも優しくて、腕の中は心地よくて、嫌な日常を忘れさせてくるかのような……温かくて、
汚れた現実から守ってくれるかのように―――いつも力強かった。
それにあの変態っぷりから想像できる変なプレイとか今までに一回もないし。
って言うか男同士の時点でアブノーマルだっつうの!
あいつに順応してきる俺…ちょっとイヤだよ…
だけど―――
周の香りに包まれて目が覚めると、昨日のどろどろとした気持ちがまるで嘘のように清浄化されていく。
不思議なものだった。
―――これを俗に言う恋人同士って言うのだろうか。
周は俺を恋人だと思っているみたいだけど、生憎だが俺は男を恋人にする気はない。
友人として、人間として好きかと、問われれば
No!
俺はきっと即答しているだろう。
この関係を―――一体何と呼ぶのだろう……
それともう一つ疑問があるのだが、
周は一体いつ働いているのだろう。
本人はホストクラブは経営だから、気が向いたときにふらっと店に立ち寄るだけで良い、なんて言ってたけど、
果たしてそれでいいのだろうか。
経営なら尚更従業員の働きや、客の出入り、金の出納をチェックして忙しいはずでは??
なんて素人の俺は考えている。
考えたら―――周は結構謎だったりする。
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