貞操逆転世界でモン娘たちにセクハラしたい

@mikumo05

第1話 夢にまで見た世界へ、ダーイブ!!

「あ、起きましたか?」


目を開けるとそこは何もない空間であった。こう聞くと部屋を想像する人が多いと思うが、壁もなければ、照明があるというわけではない。というか部屋ではない。見渡す限りの地平線である。どこまでも広がっているようだ。しかし本当に何もないのかと言われるとそういうわけではない。今僕に声をかけてきた玉だけがこの空間には存在する。まあ、話しかけてきたということは意志があるということで…玉というかたまっぽいというか…



この状況に対して僕は今、非常に冷静である。それにはもちろん理由がある。この状況にいたる心当たりがあるからだ。


今日(僕は寝ていたようだから正確には今日なのか昨日なのか、はたまたさらに前なのかはわからないが)

僕は仕事を終えて家に帰る途中、日ごろの無理がたたって倒れてしまったようだった。ようだったと書いたのは倒れている途中で意識が飛んだから、実際には倒れたのかどうかわからないからである。


して僕の死因について知りたいことは山のようにあるが、まず今の状況について聞いてみないことにはなにも始まらないだろう。


「あのう、これはいったいどういう状況なんすかね?」


「ああ、はい、まずあなたは死んでいません」


「あれ、死んでないんですか?」


どうやら死んでいないらしい。


「ええ、まぁ、あの状況では死んだと思っても無理はないでしょう」


「まず倒れたところまでは、覚えているのではないかと思います」


「そっすね」


「で倒れて」


「倒れて?」


「そこをちょうど車が通ってあなたを引いて」


「引いて」


「その衝撃で、あなたはここに来たって感じですね」


「?」


よくわからなかった


「私もよくわかりませんよ、私が起きたらあなたはもうすでにここにいたんですから。私の権限でちょっと調べてみましたが、分かったのはそのくらいのことで」


寝るんだ。


玉なのに


「えーと、つまりバグ見たいなことって感じですか」


「その認識で結構ですね」


「はあん」


疑問は減るどころか増えるばかりだが、まあいいだろう。



「で、あなたは誰なんです?いわゆる女神様?」


「おっ、私が女神に見えますか?」


「見えないです」


即答である。


「…はぁー、そうですよね。見えませんよね」


どうやらこの玉はため息をついて少々落ち込んでいる見える。

玉だからなぁ、そんな感じに見えるとしか言えない。まぁ声色からして落ち込んでいるのだろう。


「あなたは女神の見た目といったらどんな見た目を想像しますか?」


「え、そりゃあ…」


金髪で、背が高くて、優しげな表情で、なんか布見たいなの巻いてて、


「お〇ぱいがでかい!!」


「セクハラですよ?」


「すんませんでした」


「しかし、あなたはまだ甘いですね」


「甘い・・・だと?」


「甘いです。偏見まみれですね、もっと多様性を勉強すべきかと思いますね。そのようにステレオタイプな考えではこの先の人生息苦しくなってきますよ」


「・・・っふ、甘いな」


「なん・・・ですって?」


「多様性は作品を、ひいては社会を壊すのだよ、少年。これは歴史が証明しているのだ」


「少年ではありません。訴えますよ」


「どこに?!」


「家庭裁判所です」


「ここにもあるんだ」


こんななにもなさそうな、生物がいなさそうなところにも裁判所というものがあるらしい。

以外と社会とはどこも似たようなものなのかもしれない。しかしこの玉なかなかノリがいい。


「あなた、なかなかやりますね」


「君も、玉にしてはやるじゃないか」


「玉は玉でも璧でありたいと思ってますので」


「はあん」



「さて、本題に入りましょうか」


「あ、オネシャス」


そうして玉は話始める。


「申し訳ないんですが、私の力不足であなたをもとの世界へ戻すことはできないんです。その代わりといってはなんですが、皆さん大好き異世界転移のご案内です」


「おっ、異世界か、ワクワクしてきたな」


「はい、私が管理している世界の中からお選びいただけます」


「ちなみにどんな世界から選べるんですか?」


「そうですね、例えば…」


剣と魔法の中世風異世界、技術が進んだSF風の異世界等々様々な世界から選べるようだ。


「あとは貞操逆転の世界とかですかね」


「なるほど」


最後にすごい特殊なの来たな。お客のさまざまなニーズを満たすことができるようだ。より取り見取りである。めっちゃ話変わるけど、前までより取り見取りの「みどり」の漢字、緑だと思ってたんだよね、恥ずかし。



「で、決めましたか?」


「うーん・・・」


前から疑問には思っていたが、いわゆるチートスキルというものはもらうことはできるのだろうか。これがあるのとないのとでは大きな違いである。適当に剣と魔法の異世界に転移したとして、いわゆる魔獣だとか、魔族だとかが跳梁跋扈している森のなかに飛ばされたとして、平和な国からやってきた、格闘技経験もない中背中肉一般男性がチートスキルなしでは生きていける確率はほぼゼロに等しいだろう。


「あのう、なんかすごい強いスキルとか能力的ななにかってもらえたりするんですか?」


そのように疑問を伝えると、玉はシュンとした、申し訳なさそうな顔?をして


「ごめんなさい、先ほどもお伝えしたように力不足なもので、あなたを転移するだけの力はありますが、そのような力を授けるだけの力はないのです」


「力が多いね!」


ゲシュタルト崩壊しそうだよ、ところで漢字の力とカタカナのカって見分けつかないよね!


さてこれでゲシュタルト崩壊していなかった君もカが崩壊したんじゃないかな?「か」だけに。


「なにもうまくないですよ」


「ほっとけ」


はてさて


「そういった力がもらえないのであれば選ぶ世界は一つですね」


そうして僕は行きたい選んだ世界を伝える。


「・・・本当にこの世界でいいんですか?きっと大変ですよ」


「大丈夫です。むしろ男の夢なのでは?」


「わかりました。ではこの世界に送ります。心の準備はよろしいですか?」


「ええ」


「では、楽しいモテモテ異世界ライフを!」


そう言い終わるや否や、僕の足元から眩い光があふれ―


「おおおお?!」


ぽっかりと足元に人間大の穴が開いた。


「え?」


もちろん人間は重力には逆らうことはできない。そのまま落ちる形でその空間をあとにした。


ここにも重力ってあるんだな。そんな悠長なこと考えている場合ではないが、消えゆく玉を視界に捉えながらそんなことを考えてしまった。


「ぬわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!」








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