夜道の歩き方

主道 学

第1話

 路面電車が交差する陸橋の上に、なんでもお茶屋ができたらしい。つい最近のことで、今更のことだった。きっと、新しもの好きな人達で、もう客でごった返しているだろう。


 迂闊だった。


 ぼくも無類の新しもの好きだ。

 だから、それでもすぐ行こうと決意した。

 

 お茶屋のある陸橋から、交差点を二つ跨いだところの十字路の片隅にある一軒家がぼくの家だ。


 二階からおじいちゃんの部屋の招き猫から、お茶代をくすねて外へ出た。


 西の方からのそよ風が心地よい夕方の日曜だった。


 一つ目の交差点で信号待ちをしているぼくは、今日は帰りが遅くなるとは、その時は夢にも思っていなかった。


―――


 案の定。お茶屋は客でごった返していた。

 様々な格好の客に色々な服装のお茶屋の店員。


 どう見ても、賑やかだ。

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