第136話 ショウ君の危機 

「随分と仲良いじゃないか、手なんか繋いじゃって」

僕達が水から上がるとゼルとホノカが手を繋いで待っていた。


「デートは手を繋ぐんでしょ?ホノカに聞いたんだ!」


「へぇ…」


「な、なによ!私の国ではそういうもんなのよ!」

同じ国だけど?君も転生者かい?


「ホノカ楽しそう、良かった」


「ま、まぁね!デートは楽しいものなんだから!」


「そうだよ!とても楽しい時間を過ごしたよ!」

ゼルさん、ホノカ真っ赤ですよ。楽しそうで何よりです。


「あ!ショウ君!!ここにいた!」

「勇者とま…ゼルもいる!」

ま?ダメだよ、まは。


「我らダンジョンを攻略せし者なり!!」


「ダンジョン?ゴルフの?もしかして最後まで?」


「二人で頑張った!」

まじかよ…ゼルとレイさんとヴォルフでも諦めたんだぞ…。


「すごいね!あの竜巻も攻略したのかい!?」


「適当に打ったら入った!!」

そんな感じ?僕も後でやってみよ。


「ショウ、ダンジョンって何?」

シロとホノカは知らないか。

僕はゴルフダンジョンと宝について説明をした。


「っとまあそんな感じ」


「そんな宝が…リディとエリザは何が出たの?」

シロが聞くと自慢げに二人は獲得した宝を自慢して見せた。


「これは透視レンズ…服が透けて見える」


「え?本当に?ウッソだぁ、ちょっと貸して?試してみるよ、絶対ウソだと思うけど」


僕はリディから透視レンズを受け取ってワクワクしながら辺りを見渡す。


「ウソじゃん…本当にウソじゃん…」


「ショウ…そんな都合の良いアイテムなんかあるわけない…」

レンズ越しのシロはとても残念な目で僕を見ている。

ダブルでショックだ。立ち直るまで相応の時間が必要かも知れない。


「一応調べてみる、ちょっと貸して」

シロさん、それただのレンズですよ。覗くまでは夢のアイテムだったけど。


「何も見えないでしょ?ハズレの宝も出るんだね」


「う、うん!な、何も見えない!これは何も見えないレンズ!」

シロさんどうしたの?顔赤いけど。


そしてリディは何かニコニコというか…ニヤニヤしてるような…。


「そしてこれ!二人で持つとステータス二倍!友達の証!!くっついてると強い!」

どう言うこと?そんなのチートじゃん。ダメだよチートは。バランスが崩れるから。


ちょっとやってみるとリディがホノカの手を思いっきり握る。


「ふふん、私の方が腕力は上なようね!」

そしてリディにエリザが近寄り、抱きしめるように近付くと…。


「ちょ!痛い痛い!!なによそれ!本物じゃない!」


「我らの友情は永遠なり!強し!!」


「へぇ、すごいアイテムだね!僕も使えるのかい?」


「無理、一度登録するとその人以外使えない」


「良いから離してよぉ!痛いってばぁ!」

万が一ゼルとホノカが持ったら大変な事になるな…。色んな意味で。


「そしてこのリボン…ショウ君、こっち来て」


ん?僕にリボンくれるの?ショウコちゃんなら似合うけどあの女痴女だよ?バカだし。


「ちょっと付けてみる、ショウ君はそこにいて」

リディは頭に大きなリボンを付けた。


「おお!似合うじゃないか!可愛いとおも…う?」

ちょっと待てなんだこれ…リボンを付けたリディから目が離せない…頭がクラクラする…。


「ショウ君!どう?似合う?」

リディは僕に抱きつき上目遣いで僕を見上げる。

これはマズい、ヘタレな僕でも今すぐに押し倒してしまいそうだ。


僕はなんとか目を逸らし、エリザが持っている本を見つけた。

「お、おや?エリザ良い本持ってるじゃないか!ちょっと見て落ち着かせて…いや、読ませてよ」


「えぇ…まあショウなら良いかなぁ」


「ねぇショウ君!今どんな感じ?私可愛い?」

もうグチグチャだよ!僕はなんとか意識を保とうと絵本を開く。

あらぁ…良い絵本だこと…少し落ち着いて…


おいなんでリディの裸が載ってるんだ!謀ったな!


「なんでファンシーな絵本にこんな絵が載ってるの!?罠じゃん!」


「ねぇ良いから私の事見て…どうしたい?」

リディの声が聞こえるたびに心臓がバクバク音を立てる。本当にヤバいぞこのリボン。


「なぁシロ!見てないで何とかしてよ!」

僕はなんとかシロの方を向くのだが…。


「……~~~っ!!ショウの…なんかさっきより…」

何?そのレンズ偽物じゃないの?


「あのレンズは男性使用不可…シロは全部見えてる。私は今から見るから…」

ちょっと待て…ダイレクトに見られてるの?軽く死にたいくらい恥ずかしいんだけど。


ちょっと待ってもうリディの色気がもうアレでもうアレな僕は……


限界だ……。


「し、ショウの…なんか小さく…」

ちょっと…なんなのこれ…。なんかすごいところシロに見られたが?


「ショウ君!も、もしかして何もしてないのに…」

いいえ、あなたは何かしましたね?とりあえずお風呂に行こうと思います。


「ちょっとリディ君、急用ができたからちょっとお風呂に行ってくるね」


「お風呂に行くのかい?僕も行こうかな!一緒にお酒飲もうよ!」


「いや…じゃあ5分後くらいに入ってきてよ…お酒とか色々準備しておくからさ」


「それは楽しみだね!分かったよ!ちょっとしたら行くね!」


「ショウ君!わ、私も一緒に入りたいな…」


「じゃあ水着着てみんなで入るか、今の僕は無敵というか…賢者だからね」


「ショウとお風呂…楽しみ」

シロさん、いつまでそのレンズ持ってるんですか?


「みんなでお風呂!我楽しみ!」


「ぜ、ゼルとお風呂…?ま、まあ水着なら良いわよね!」


「それでは皆さん5分後にね!」

僕は足早に風呂に向かい色々と色々したのだった。

羞恥心もヒール風呂で消えるかな…。


……………。


「ショウはどうしたんだろうね、いつもは女の子に触られたりすると喜んでる気がするけど」


「そうよね、なんかおかしかったわね」


「きっと…その…リボンの効果で…その…」


「ショウ君はすごい興奮した…うーん…ショウ君…早い…」


「し、ショウのすごかった…」


……………。


今回の不思議な集まりはお風呂での大宴会にて終了となった。

終始シロの顔は赤かったがお酒のせいだろう。きっとそうに違いない。


深夜になり、僕は部屋の鍵をしっかりかけて眠りについた。

色々あったけど楽しかったな。

みんな仲良くなったし。


それ以外の事は覚えてないよ。僕は変な性癖に目覚める前に目を閉じた。

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