第123話 恋愛シミュレーションゲーム

花火を見ながら酒を飲み、爆睡してしまった僕とルナ。

二日酔いの吐き気で起きるとルナは隣で僕にもたれかかって寝ていた。


「おーいルナ、朝だぞ。起きなくていいのかー」

肩に乗せてる僕の人形のショウ吉も一緒になって寝ている。可愛いんだよねこの人形、僕みたいで。


しかし起きないな…というか起きてるという事はないか?なんか明らかに作った顔で寝てる気がするんだけど。


「おーい、起きてるんだろ?起きろって」


「なんじゃ、バレておったか。少しくらい悪戯しても許したのじゃが」

まあ今は許されても永遠にイジられそうだからやめたんだよ。まあイジらないなら今からでも良い?


「ルナって結構豪快に寝るじゃん、あんなお淑やかに寝ないよね」


「お主…昨日デートした仲じゃろ…。もう少し気の利いた事言えんのか…。まぁ妾はそろそろ帰るのじゃ、今回も楽しかったぞ。また一緒に酒を飲むのじゃ」


みんなすんなり帰るのは良い事だが最近一人になるの寂しいんだよな。


「それでは行くぞ、ショウ吉」

ルナの肩に乗りちょこんと座るショウ吉…いいなぁそれ…本気で欲しいんだけど。


ルナは毎度の事ながらすんなり帰っていった。

みんなアッサリだよな…悪い事じゃないんだけど。


アルカリスまで送って貰えば良かった…


そして僕は地下室を走らせアルカリスに戻ろうと運転をしていたのだが…


なんでこんなに広いのに知り合いに会うんだろうな。

前方にはテントを張り談笑する二人の少女。

僕は地下室から出て声をかけてみる。


「おーいトコヨとアリアちゃんじゃん、何してんのこんな場所で」

七聖竜のトコヨと元幽霊のアリアちゃん。二人は恋を探すというなんともロマンチックな旅をしているんだ。


「あ!ショウでありんす!久しぶりでありんす!」


「ショウさん!久しぶりだね!」

アリアちゃんは元幽霊とはいうものの実体化した幽霊なんだよな…なんか難しいよね。


「恋は見つかった?まあ見つかったらこんな場所いないか」


「まあ見つからないでありんすな。そもそも何が恋なのかも分からないでありんす」

難しい事言うなぁ…。


恋ねぇ…何かこう恋愛を学ぶみたいな施設ないのかな。まあ探せば大抵あるんだよね。


そして見つけた恋愛シミュレーションゲーム、大丈夫なのかこれ…なんかこうさ。現実の恋愛できない人にならない?


「一応遊びで恋愛できる施設ならあるけどやってみる?ヒマだし」


「遊びで恋愛できる施設ってなんでありんす?遊びで恋愛するほどわっちは軽くないでありんす」

いや恋愛知らないんだから軽いのか重いのか分からないじゃん?


「でも面白そうだよ!今のままだと男の人の前でハンカチ落とすだけで一生終わっちゃうよ?」

そんな事してたの?よく分からないけどその行為は軽くないの?


「まあ確かに…ハンカチももう残り少ないでありんす…」

持っていかれてるの?悲惨だね。


「まあやってみようよ、恋のなんたるかを勉強しないとハンカチ買うために借金しそうだし」


「確かにそうでありんす!勉強も大事でありんすな!軽い女も呼んでみんなで勉強でありんす!」


軽い女?誰のこと?

そして数秒後、トコヨ曰く軽い女が現れた。

「やっほー!久しぶりじゃん?いきなり呼ばれたんだけど何すんの?」


エルナじゃん…トコヨお前…そんな目でエルナを見てたの?

七聖竜のエルナディア、黒髪で清楚な見た目、中身はギャルという和食を食いに行ったらパスタを出された感じの女の子だ。


「ショウの地下室で恋愛の勉強をするでありんす!あとこの子はアリアちゃん、わっちの友達でありんす!」


「こんにちは!すごい可愛いね!喋り方はすごい男遊びしてそうな感じ!」

アリアちゃん結構言うね、まあその通りだけど。


「小さいのにめっちゃ言うじゃん、ウケる。でも男遊びは残念ながらしてないんだなー、ウチまだ処女だし」

は?君も?いやなんとなくそんな気はしてたんだけど。


「じゃあ尚更勉強するでありんす!エルナディアも恋するでありんす!」


「まあ良いけど?楽しそうだし恋しちゃおうよ!」

はたしてエルナを呼んだ意味はあったのだろうか?


僕達は地下室に降り、アクティベートした恋愛シミュレーションルームへと入っていく。


「なんでありんす?これ」


中に入ると広い部屋に操作パネル、だたそれしか無かった。


「まあパネルがあるから操作してみれば分かるでしょ」

パネルを見ると初級からお約束の超地獄級までがあるようだ。

まあ初級で良いだろ、僕達って童貞と処女の集まりだし。


操作パネルで初級を押すと目の前に街が広がった。

今回もすげぇなぁ…


「すごいよ!本当に街に来たみたい!」

「やばくね?んで何すんのこれ」

「とりあえずハンカチを買いに行くでありんす!」

そんなもん買わないでありんすよ。


すると急に女の子が走ってきて何かにぶつかって転んだ。

僕達にぶつかったって演出?


少女『いったぁい!どこ見て歩いてるのよ!』


おぉ!セリフ出てきた!でもぶつかったのお前じゃん。


「なんでありんす?この女」

「ぶつかっておいてこの態度??最低じゃね?」

「ちょっと懲らしめましょう」

楽しむ気あんの?いや今は意味が分かってないのか…


「説明するけど、これはゲームなんだよ。こうやって色んな相手と出会って恋愛するのを楽しむゲームなの。多分コイツも悪いヤツじゃないよきっと」


結構詳しく説明したのに全員全く理解していない顔をしている…。


「いや…なんとなく分かったんだけどさ…」

エルナは理解したか!


「ウチらって女だから女の子と恋愛してもって感じじゃね?」

うーん…まあ気がついてたよ。

でもほら!可愛い女の子の仕草とか勉強できるし!

正直僕一人で遊びたいんだけどね!

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