第115話 キャンドル 実家
「サキュバスタウンで何を買うんですか!!」
興奮しているのを絶対にバレないように僕はユキさんに問いかける。
「サキュバスタウンのキャンドルですよ、いい匂いがするので母が好きなんです、ショウさんの考えてる物は多分買いませんよ?」
あ、キャンドル良いっすね…僕も何個か買おうかな…。
「父が早く亡くなっているので母と妹の二人暮らしなんです。母と父の思い出のキャンドルみたいで買って行くと喜ぶんですよ。」
父と母はサキュバスタウンで何をしていたのか気になるけどここでそれを聞くほど野暮ではないんだ僕は。
「なるほど、じゃあ行きましょうか。結構近いですしね」
そしてやってきたサキュバスタウン、定期的に来るような事を言ったが…色んな目が気になって来れずにいたんだよな…。
「あ!ショウさんだ!お久しぶりです!」
あらキアラちゃん、お久しぶり。相変わらず目のやりどころに困っちゃうね。
「今日は彼女さんとデートですか!いいなぁショウさんの彼女…羨ましいです」
「か、彼女じゃないですよ!今日はキャンドルを買いに来ただけですじょ!」
どんな噛みかたしたの?急に知能下がった人みたくなっちゃったよ。
「へー…まあそう言う事にしておきます!キャンドルなら向こうで売ってますよ!案内します!」
キャンドルの店に行くまでに色んなサキュバスから声をかけられる。地下室で遊んだし顔くらいは分かるのだが名前までは分からないな…
そして一人のサキュバスがこんな事を言ってきた。
「あの!マッサージ機ってまだありますか?地下室に置き忘れちゃったみたいで!」
おっとっと?今はダメだよ君。
「マッサージ機ですか?なんですかそれ?」
ほら!ユキさんも気になっちゃったじゃん!
しかし置き忘れたマッサージ機なんて無かったと思うけど…
「ショウさんがみんなにくれたマッサージ機すごいんですよ!肩凝りとかに良く効いて!」
「そうなんですか?私も使ってみたいですね。最近肩が凝っちゃって…」
「あとはご無沙汰でムラムラした時に…」
はい止まって下さーい。それ以上は今度僕が一人の時に詳しく聞きまーす。
「あぁ!ユキさん、あれがキャンドルのお店じゃないですか!?わぁ!キャンドルのお店だぁ!あとでマッサージ機はあげるからね!今はキャンドルを見たくてしょうがない!ショウがない!なんつってね!!」
完全に上手く誤魔化せたみたいだ、はいユキさん、見るのは僕の顔じゃなくてお店のキャンドルですよ。
「まあいいでしょう…肩凝りが酷いのは本当なので後で貸して下さいね」
はい、本来そうやって使うものですからね…。
キアラちゃん、何笑ってるんですか?
「ここが一番種類あるからオススメですよ!」
そう言って案内された店内は色とりどりのキャンドルが売っており色んな香りが…
いやこの香り苦手だな、匂いが混ざり合って頭がクラクラする。
「素敵なお店ですね、良い香りがお店の中に充満してて…」
え?この香りが?僕は結構具合悪いんだけども…。
「すみません、ちょっと僕は外出てますね。少し香りが強いというか…」
「あ、男の人にはキツいかも知れないですね。一つとかなら平気ですけどこれだけ大量にあると脳が処理しきれないと思います」
どういう事?その内廃人になんの?僕。
「男性に対しては多少の催淫効果がありますので、表で待ってた方が良いと思いますよ?」
「さ、催淫効果があるんですか!?ショウさん!どうしますか!?」
いやどうもこうも…外出てますってさっき言いましたが…
軽い頭痛までしてきたので逃げるように店を出た。危険な店だぜ全く。
時間がかかりそうなので先ほどのサキュバスにマッサージ機を渡したり地下室に戻ってヒール風呂で頭痛を抜いたりして時間を潰した。
「お待たせしました!すみません…具合大丈夫ですか?」
「まあヒール風呂入ったんで大丈夫ですよ。お母さんへのお土産買えましたか?」
バッチリです!とキャンドルが入った袋を掲げるユキさん、結構買ったなぁ。
「じゃあユキさんの実家に向かいましょうか」
僕達は地下室に入り目的地を目指す。
「ショウさん、お店の人から聞きましたけど以前あの町に行った時本当に何もしなかったんですね」
出来なかったと言えなくも無いんだが…
「ま、まあそうですね…」
「でも足は良く見ていたって聞きましたよ?好きなんですか?」
だって目行くじゃん!好きとかいう問題じゃないよ!大好きだ!もう正直に言っちゃお!
「まあ好きですね!嫌いな男なんていないんじゃないですか?」
「そ、そうですか…あ!もうすぐ着きます!」
救われた!なんかすごい微妙な空気になってたもん!足見てただけなのに!
ユキさんの実家の村は質素ながらも綺麗に整備されていてのどかな村だ…ここで育ったのか、なんとなくイメージ通りだ。
「一応護衛の依頼なんですけど僕もついて行って良いんですか?ユキさんの家」
「良いですよ!母も妹も喜ぶと思います」
喜ぶ?まあチョコレートでも持っていくか…
ユキさんの実家は僕の知ってるログハウスに近いかな?家族二人で住むには少し広いくらいの大きさだ。
なんか緊張するな…
「お母さーん、ナツーただいまー」
「おや、ユキじゃないか、来るなら来るで先に連絡よこしなさいよ」
「お姉ちゃんじゃん!おかえり!お土産ある?!」
暖かそうな家族だ、お母さんユキさんそっくりだなぁ。妹のナツちゃん?もそっくりだな。少し雰囲気は違うけど。
「おや!おやおや!!なんだい格好いい男連れて来て!もしかして彼氏かい!?」
「お姉ちゃん結婚するの!!?」
「違うってば!この村まで護衛を頼んだショウさんだよ!け、結婚なんてそんな…」
赤くなってる!やった!可愛い!
「冒険者のショウです。あの、これお土産です。ユキさんにはお世話になっているので…」
僕は箱入りのチョコレートを手渡す。結構高いヤツ?だと思う。
「あらま、ご丁寧にどうも、最近の冒険者はお土産なんてくれるのかい?」
「すごい良い人じゃん!ショウさん、ゆっくりしていってね!」
良かった、歓迎されて!
「うるさくてすみません…今お茶を入れるので座っていて下さい…」
僕はリビングに通され少し緊張しながらお茶を待っているとナツちゃんがチョコレートを持ってやってきた。
「ねぇ!ショウさんって彼女いるの!?お姉ちゃんとはどういう関係?」
彼女?今はいないよ、今はね!
「彼女はいないんだよね、ユキさんとはギルドでお世話になってる関係?かな」
「へぇー、カッコいいのに彼女いないんだ?もしかして男の子が好きとか?」
「僕は女の子が好きだよ!」
僕が声高らかに宣言しているとお茶を持ったユキさんとお母さんが部屋に入ってくる。
「一体なんの話をしているんですか…知ってますよ女の子を好きな事くらい…」
「お姉ちゃん!ショウさん彼女いないんだって!私にもチャンスあるかも!」
ショウ君はチョロいんだからからかっちゃダメだよ!
「な、バカな事言ってショウさんを困らせないの!ほら!お茶出すの手伝って!」
「ごめんねぇショウさん、若い男が少ない村だし…妹も年頃だからねぇ…」
「いえいえ、賑やかで楽しいですよ」
家族かぁ…僕もいつかこんな家庭持てたら幸せだろうな。
「しかしこの貰ったお菓子?見た事ないねぇ…どんな味がするのか想像もできないよ」
「でも甘い匂いしない?きっと甘いんだよ!」
二人は初めてのチョコレートを口に放り込み…
「ちょっとなんだいこれ!こらナツ!食べすぎてはダメだよ!」
「まだ一個しか食べてないんですけど…でも美味しいよこれ!」
「ちょっと!ショウさんの前でそんなガツガツ食べないでよ!あと私の分も残しておいて!」
喜んで貰えて良かった?のかな。一瞬のうちのチョコレートは全て親子のお腹の中。そして物足りなさそうな親子。
「あの…甘いもの好きなんですか?」
「いや恥ずかしいところを見せてしまったね、甘いものが嫌いな女なんていないよ、しかし美味しかったねぇ…」
「王都とかで売ってるの!?ねぇお姉ちゃん!今度いっぱい買って来てよぉ…」
「私2個しか食べてないんですけど…」
僕の手前食べにくかったんですよね、分かります。
「じゃあ僕の地下室から持ってきて…」
そう言いかけた時ユキさんからストップがかかった。
「ちょっとだけ待って下さい!今日はその…少しだけこの村を散歩しませんか?私の故郷をちょっとだけでも見て欲しくて…」
護衛を頼んでまで僕にこの村に来て欲しかった理由が何かあるのかな?
「ちょっと大樹まで行ってくるから!」
そう言って手を引かれて僕はユキさんの家を出た。
大樹って?そんな大きな木見えなかったけど?
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