第113話 竜化 幸せポイント

「ショウ!我はみんなとホットケーキを作りたい!材料欲しい!くれたし!」

その「たし!」ってどこでも使える?ニュアンスで分かるけど良く考えると全く分からんのだが。


「まあ材料なら山ほどあるから好きに作っていいぞ、火傷しないようにな」


「火傷したらお風呂入れば問題なし!」

確かに…いや、だからって気をつけなくていいワケではないぞ。


エリザは子供達とワイワイしながらホットケーキを焼き始めた、あのカロリーの核弾頭みたいなケーキか…なかなか重いんだけど子供は平気なんだろうな。


「随分と懐かれとるな、このまま連れて行くんか?」


「連れて行くわけにはいかないでしょ、四天王なんだから」


「はぁ?魔王の側近かいな!?なんでこんなところフラフラしとるんや?」


「散歩が趣味らしいよ…」

ちなみに四天王なのに三人しかいないしゼフも知ってるヴォルフさんだってフラフラしてんじゃん。


「そう言えばゼフってたこ焼き焼いた事あんの?」


「ないで、いつもショウに貰ったの蒸してるだけや、あの電子レンジとかいう機械ないからな」

蒸し焼きしてたの?まあそうか…いやもう少しなんとかならんかったか?


「子供はホットケーキ焼いてるし大人はたこ焼き焼こうよ、タコなら釣り堀で新鮮なの釣れるし」


「お?焼きたて食えるんか?めっちゃやる気出てきたで!!」

まあタコなんてすぐ釣れるっしょと釣り堀に行き、タコ用の仕掛けで1時間ほど粘ったところ大きなタコが10匹ほど釣れた。


「しかし見た目えげつないなぁタコ…これがあんなに美味いんやから不思議なもんやな」

確かに1匹ならまだしもこう10匹も固まってるとちょっと…


まあたこ焼き焼こうぜ!タコパだタコパ!

「なんか生地は小麦粉と卵と水、あと牛乳とか入れて作るといいみたい」


「結構シンプルやな、村でもできそうやん」


「あとは屋台用のたこ焼き機をセットして…」


「なんやねん今の流れ…急にえらいもん出すやん…」

だってアクティベートしたら出るし、そういう場所なんだここは、そろそろ慣れてくれへんかなぁ?


「あとは生地を流し込んで、下処理したタコを入れて…」

ゼフはフンフンと興味深々だ、次やってみる?


「んでこうやってクルッとひっくり返せば…完成だ!」


「おぉ!結構簡単やん!ちょっとワイもやってみるわ!」

ゼフは見よう見まねでたこ焼きを作っているけど…。

なんだこのパズルのピースがピッタリハマった感覚…似合いすぎる…


「よっしゃ出来たで!ソースとマヨネーズ?やったっけ?あとはノリ?まあ色々かけて完成や!」

熱々のたこ焼き…これは絶対美味しいだろ。


「おぉ…美味い…熱すぎるけど美味い…」


「美味すぎるやろ…ワイは今まで何食って喜んでたんや…」

いやたこ焼きでしょ?僕がプレゼントしたヤツだよ?そして僕目の前にいるけど?


「んー!これは美味しいですね!早くもっと焼いて下さい!!あとビール貰いますね!」


なんかいるな…


「なぁゼフ、ゼフって6匹目の竜だよね、サキエルの事どう思う?」


「普通にアホやと思うわ、正直たこ焼き食ってないで帰って仕事しろやボケって感じやわ」


「だ、そうですのでお帰り下さい」

コイツ本当に急に来るよな…最近だいぶマシになったと思ったけどやっぱりこういう扱いになるよね。


「ひどくないですか!ゼフィラードまで一緒になって!」


「おんどれどの口が言うねん!ワイは七聖竜やのに竜になれへんのやぞ!?おまけ程度に付いてるこの角やって邪魔でしゃーないわ!!」


「えー…だってみんな竜っていうのも芸がないっていうか…」

おい…トコヨはカメだったが?

今更だけどエンシェントタートルって最初名乗ってたからね?


「芸ってなんやねん!無いのはお前の知性やドアホ!」

めっちゃ言うやん!珍しい!


「えー…じゃあ竜になります?ショウさんのポイント結構使いますけど…」

いやだからお前の落ち度なのになんで僕のスキルポイント使うの?


「なんでショウのポイント使うねん!お前がなんとかせぇや!」

お?ゼフは流石だな、言ったれ言ったれ!


「え?だってもう使っちゃいましたよ?5000ポイント…」」

なんでこういう時めっちゃ早いの?そしてなにそのポイント…。


「おいコラアホンダラ!ショウが一生懸命に貯めたポイント何勝手に使うてんねん!」


「まあ余ってるからポイントは良いんだけど、サキエル!お前次はちゃんと確認しろよな!」

そそくさとビールのおかわりを取りに行くサキエルの背中に声をかけたが…


「え?今何か言いました?」

こうなるんだ…頭おかしいからこの女神…。


「ショウすまんなぁ…でも実際竜になれるのは嬉しいわ…」


「ちょっと外に出て確認してみようよ、みんなも呼んでさ」


ゼフが竜になるってよ!と村人全員に声をかけ、地上に出てゼフを見守る僕と村人。


「なんか緊張するわ…いくで!!」

ゼフの身体はどんどん縦に伸びていき、澄んだ空のような色をした細身の竜へと変わっていく。


綺麗な竜だな…ゼフ、おめでとう。


「おおおぉ!すごいよゼフさん!かっこいいぞぉ!!」

「綺麗な鱗ねぇ…見惚れてしまうわ…」

「竜に守られた村か…もう安泰じゃな…」


「ショウ!ワイも竜になったんや!この借りは必ず返すで!ホンマにありがとうな!!」

良いんだよ、こんなにみんな喜んでくれたならね。


「おぉ…我竜に乗ってみたし!」

お?エリザ、ホットケーキはもう食べ終わったのか?


「ゼフさん!背中乗せてよ!俺も空飛びたい!」

「お空に連れてってー」

「みんなで乗せて貰おうよ!」

子供達は竜化したゼフに興味津々だ、子供だけじゃなく大人もだけどね。


「ええで!一緒に空中散歩と洒落込もうや!」

初めは子供達を背中に乗せて優雅に空を飛び回るゼフ、嬉しそうだなぁ…エリザもキャッキャと騒ぎながら空を楽しんでいるようだ。

エリザは普通に飛べるけどね。


僕はやる事があるから一旦地下室に戻ろう、アホに聞きたいことがあるしな。


「おーい、金髪ー!」

たこ焼きを食べながらビールを楽しむ女神に僕は声をかける。


「なんですか金髪って…名前で呼んで下さいよ…」


「最近幸せポイントの増え方が異常なのと消費ポイントも異常に多い理由を述べよ」


「幸せポイントの仕組みは変わって無いですよ?最初は純粋にジュースが美味しいとかご飯が美味しいとかだけだったんじゃないですか?」


「どういう事?なんかよく分からないんだけど」


「誰かと遊ぶ幸せとか好きな人と一緒にいる幸せに溢れてきたんじゃないですか?まあ幸せポイントって結構曖昧なのでハッキリとは言えないですけど」


確かに色んな施設を楽しんでいるだけじゃないよな…みんなで一緒に遊ぶ事も多くなって来たし、好きな人と一緒にいる…か。


「使用ポイントが多くなってきたのは地下室のアップデートをしてるからですね。まあ貯まってて邪魔になるものじゃないので貯めておいたらどうですか?」


「なんとなく分かったよ、そういえばアリアの件で怒られたらしいな、ドンマイ」


「そこはありがとうじゃないんですか?照れ屋さんなんだから!」

バレてたか…。今まさにポイントを勝手に使われた後っていうのもあるけどな!


「それじゃあ私はお酒貰って帰りますね!仕事があります!」

本当に何の仕事してんの君。


僕も地上に行くか、そろそろ僕も背中に乗って遊びたい!

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