第105話 ゼロ 焼肉 また競争
「いや本当僕何も出来ないからね、どのくらい丈夫か試したいだけだから」
「任せてよ!じゃあ行くよ!ラグナロク・ハーモニー!!」
ちょっ!まってそれ暗黒揉みくちゃ魔法じゃん!やめてよ急に!
僕の背後にあの扉…悪質な魔法だなぁ…。
目を開けると夢に出そうなので僕は静かに目を閉じた。
………。
なんだ、いつ揉みくちゃにされるんだ?いっその事一思いに…
「ショウ?なんともないのかい?」
ゼルの声で目を開けると僕は元の位置に立っている。ライフは3%ほど削られてる?今の魔法リディの暴言の連打くらいなん?
「驚いたな、殆ど無傷じゃないか」
無傷だと驚くような魔法使ったの?
「無傷では無いけどまあ平気だね。」
「じゃあもう少し強いの行くよ!」
なんか大丈夫っぽいし受けてみるか。
「まあお手柔らかに頼むよ」
「これならどうかな!終焉魔法、ゼロ!」
いや名前名前!太陽系とか吹き飛ばす名前ぇ!!
僕の前に小さな黒い玉が出現し…なんか吸い込んでるな、ブラックホール的な何か?
僕は玉に吸い寄せられるが…触れた瞬間に魔法が止まったようだ。なんだ、ビビって損したよ。
「流石に僕の勝ちだね!」
え?
ゼルの頭の上には勝利マーク、僕のライフは魔法の名前の通りゼロになっていた。
「僕負けたの?何今の魔法」
「魔王様のとっておきですね、普通なら前世と来世ごと吸い込まれて無に帰します」
シルヴィアさん、説明ありがとう。
ゼル君、ちょっといいかね?
「ダメだよそんな封印された掃除機みたいな魔法使っちゃ、いや僕が丈夫さ確かめたいとか言ったんだけど!」
「正直これに耐えられたら僕はショウには勝てないからね、僕の負けず嫌いが出たって事さ」
良い顔しやがるぜ!まあそのくらい丈夫って事だね。
正直ほとんど何も分からなかったけど。
「まあこのくらいにしてご飯でも食べようか。何か食べたいものある?」
「そうだね、お腹空いちゃったよ」
「私は肉が良いと思います。あとはお酒を」
鉄板焼きかなぁ、でも久しぶりに焼肉とか食べたい…ホルモンとか。
「じゃあ焼肉のしよう!ビールに合うよ!」
焼肉?肉を焼くだけの料理ですか?と少し疑問に思っているようだが違うんだ。肉を焼くだけの料理であっても何かそれ以上の美味さがあるんだ。
場所はナイトプールのラウンジでいいか。
焼肉セットをアクティベートすると換気口付きの焼肉台が現れた。なんか換気装置が宙に浮かんでるんだけど意味あんの?
全員ソファに座りビールで乾杯、どんどん皿に乗った肉を出していく。
「この真ん中の網で焼いて食べるの?いつでも出来立てが食べられるんだね!」
「これは内臓ですか…?美味しいのでしょうか?」
美味いんだコレが、下処理をちゃんとすればね!
「まずはタンだね、動物の舌だよ。これは塩コショウとレモンで食べるらしい、しかし僕はタレでも良いと思う」
「舌かい?うーん…」
「私は気にしないので食べますよ。」
舌って言うとアレだけどまあ食べれば美味しいだけだよ。
「こ、これは…ビールを!ビールを下さい!!」
今手に持ってますよ。それあげるんで飲んでください。
「舌…美味しすぎます…」
難色を示していたゼルだったがシルヴィアさんの様子を見て気が変わったようだ。
「じゃあ僕も食べてみようかな。ん?美味しいねこれ!」
「止まりませんね!」
焼けたタンはどんどん二人が争いながら食べてします。
ねぇ、僕のタンどこ?食器が綺麗なの僕だけなんだけど。
「次はシマチョウとマルチョウだね。脂が甘くて美味しいんだよ。まあ腸だよね」
「腸も食べられるのかい?すごいね焼肉って」
「早速頂きましょう」
いや速いのなんの、焼けた瞬間に食べるんだもん、しかもしっかり生焼けは回避する観察眼。
プロじゃん。
僕の分も食べるプロ集団。
「これも美味しいね!歯応えが独特だけど噛めば噛むほどビールが進むよ」
「マルチョウが美味しすぎますね、そしてこの脂を流し込むビール…あぁ…幸せです」
「次の内臓はなんだい!?なんでも食べるよ!」
「お願いします!内臓を!」
魔王と四天王と言うか低級悪魔みたいになっちゃったね。
「次はミノ、ハツかな、胃と心臓だよ。」
「もうなんでもアリだね!新しい出会いに胸が踊るよ!」
「胃は気になりますね、どんな食感なんでしょうか」
確かに僕も初めてホルモン食べた時は感動したっけな…まあ好き嫌いはあるけどね。
「ハツの食感!これはまた新しい!ミノも硬いけどこれはこれで美味しいね」
「ミノ良いですね、胃を胃に流し込むという発想は驚嘆に値します」
確かに…変な感じするじゃん…
「そして僕のオススメのレバーだよ!これを半ナマで食べるのが美味しいんだよね!」
食中毒とは無縁そうだしなんなら生でも良いんじゃない?
「これは…内臓を感じるね…甘みもあって美味しい!」
「焼きすぎるとパサパサしますがそれはそれで美味しいですよ!」
やっぱりレバーだよ焼肉は、完全に僕の趣向なんだけど。
あとは普通にカルビとかロース、ハラミなんかも出すかな。
「この肉は柔らかいねぇ、同じ肉でもこんなに違うんだね」
「止まりません。もう一気に全部焼きましょう」
ダメなんだシルヴィアさん、それをすると急に肉が安っぽく見えるんだ。丁寧に焼いて食べようね。
美味しくて止まらないよ!と食べ続ける二人だが本当に止まらない。
どれだけ食べるんだ?牛何頭分?
「しかしこのナイトプールってすごいね、綺麗な魚も泳いでるし」
やっと気がつきました?
「あれは魚に見えるけど触れないよ、光みたいなもんらしい」
「魔法の気配が無いのですが…ちょっと見てきます」
メイド服のままプールに入ろうとするシルヴィアさんを僕は止めた。
「水着ありますよ!そのまま入るとビショビショになりますって!」
「構わないのですが…まあせっかくなので泳ごうと思います」
「僕も泳いでみたいな!お腹も落ち着いたし!」
本当に落ち着いたの?今フル稼働で動いてない?
僕とゼルはハーフパンツの水着に着替え、プールに飛び込んだ。シルヴィアさんどんな水着で来るのかな…
「しかしゼルってあんまり筋肉無いね、僕と良い勝負じゃない?」
ゼルはムキムキかと思ったがそうでもない。腹筋は割れているが全体的に細いんだよね。
「僕は鍛えるとかしないからね、まあ見かけなんて信用ならないもんさ」
確かにすごいパンチ打つしな…
「お待たせしました」
そこに水着に着替えたシルヴィアさんが登場。
フリフリが付いた水着?すごい可愛いんだけど。あとそれに相反するかのような暴力的なボディ、悩殺ってこういう事?
「シルヴィアは可愛い水着を選んだね!とても似合ってるよ!」
「うん、可愛いですよ。なんかもう全部すごいですね」
「ちょっ…からかわないで下さい」
照れてる?なにそれ!!可愛い!!
「シルヴィアが照れるなんて珍しいね、いつもお風呂で会っても顔色一つ変えないのに」
はぁ?魔王領って混浴なの?じゃあなんでさっき別々に入ったのさ!なんでなのさ!!
「それとこれとは別ですよ」
なんなのさ!一緒じゃないのさ!!
「それはそうと、あの筒はなんですか?」
お?遊びます?
「あれはウォータースライダーですね、まあやってみましょうか。」
「楽しそうだね!行こう行こう!」
無駄にプールの中を横断して僕達はウォータースライダーに向かった。
「この中に入るのですか?トラップは?」
無いよそんな危険な物!
「ただ滑り降りるだけですよ、それぞれ曲がりくねってますけど長さは同じです。みんな競争したりしてましたね」
「じゃあ競争だね!僕はこの真ん中で行くよ!」
「私はこの1番右で行きます」
勝負好きだよね。良いんだけどさ。
僕は左を選択しよーいどんでスタート。
なんかアップデートしてからスピード早く無い?ブーストみたいなかかってるんだけど。
僕が下に着くと既に二人はゴールしていた。
「僕の勝ちだね!」
「いえ!私の方が先でした!」
えぇ…。
「ショウはどっちだと思う!?」
「私ですよね!!」
いや分かんないじゃん…僕ビリだし…。
「じゃあ僕見てるからもう一回行ってきたらどう?」
「そうしよう!水飛沫が気持ちいいしスピードも出て面白いよね!」
「今度は先ほどよりも早く滑りますよ」
僕は下で二人が降りてくるのを待つ。
イヤッホゥ!とか聞こえるけどゼル楽しそうだなぁ。
そして最初に飛び出して来たのはゼル、本当に微妙だが若干早かった。
「ゼルだね、ほんとにちょっぴり」
「やった!やっぱり声を出した方が早いね!」
絶対イヤッホゥじゃないと思うよ。
「負けましたか…一体どんな差が」
「ぶっちゃけ言うと多分摩擦ですね、まあ多分ですけど」
「なるほど、水着脱いでもう一回勝負しましょうか」
発想がルナティアじゃん…やめてよ…なんかゼルの前で恥ずかしいじゃん僕も。
「しかしショウ様の前なので流石にはしたないですね」
「まあ戻ってお酒飲もうよ、少し動いたらお腹空いちゃった」
燃費悪すぎない?
それからまた焼肉を食べながら酒を飲む。
なんでこんなに食べてるのにシルヴィアさんのお腹あんなにへっこんでるの?
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