第104話 シルヴィア メイドvs魔王

「あとちょっとなんだけど…もう一回行ってみるよ!」

僕達は最初に来たのはボルダリングだ。

気にいるか不安だったがゼルとシルヴィアさんは大ハマりしている。

ゼルってなんでも楽しむよな。


「魔力が使えないっていうのが良いよね!なんか不自由を楽しむ感じだよ」


「そうですね、この重い体で試行錯誤しながら登るのが新鮮ですね」

シルヴィアさんがスカートで登ろうとしているので見えちゃいますよと僕は一応伝えたのだが、


「お好きに御覧下さい。減る物ではないので」

だそうだ。確かに減らないな…減らないならいいか!御覧になっちゃおう!


「指先の力だけじゃなくて身体全体を使わないとな」

「魔王様、早く進んで下さい、私が進めません」


超地獄級を半分ほど登っている二人、もう何度もトライしているのだが後半にも到達出来ずにいる。


「私もう限界です、ちょっと足掴みますね」

「ちょっとシルヴィア危ないよ!ちょっと待って…うわっ!」

いやその小石に捕まってる状態で足なんか掴まれたらそりゃ落ちるよ…

そして二人仲良く落下、なんだろ、ゲームオーバーって感じの構図だ。吹き出しを付けるならバタンキューだな。


「またダメだったね!ちょっと僕には難しいみたい!」


「私は次は行けると思います、頭を使ってみます」

シルヴィアさんはそう言うと後ろに下がり壁に向かって走り出した。


すると小石を足場にどんどん駆け上がっていく!違うシルヴィアさん!そういうスポーツじゃない!!


なんとかゴールに手が届き無事ゴール?上から自慢げに僕達を見下ろすメイド…なんか新しい扉が開きそうだ…。


「すごいねシルヴィア!発想の転換ってやつだね!」

ルール上問題ないのかなこれ…まあ登ったワケだしクリア?


「どうですか、頭を使った結果ですね!」

少し興奮しているのか声が少し大きくなったシルヴィアさん。完全に使ったのは身体だけどね。


僕もやってみるよというゼルだったが垂直にジャンプが出来ず結局ゴールする事は出来なかった。


「悔しいけど僕の負けだね!次に行こうか!」


「どんな勝負でも受けましょう、ふふ」

ノリノリじゃないか。別に勝負とかじゃ無かったハズなんだけど…。


次は体育館だ。人数がいないとバスケって出来ないからサキュバスのみんなが遊んで以降大して使ってないんだよね。


1on1くらいしか出来ないけど…どうかな。


「なんだいこのボール!すごい弾むじゃないか!」

「どういう仕組みなのでしょう…不思議ですね」

なんか楽しんでるな…もうお手玉とかでも全力で遊ぶんじゃないかこの二人。


僕はバスケのルールを簡単に説明、二人ともなんとなく理解したようだ。


「ボールを弾ませながら走るって難しいね!」

力が強いから反発力が凄いんだと思うよ、優しくすれば大丈夫だよ。


「ショウ様、私と一回勝負してみませんか?やってみないとなんとも…」

女の子とバスケか、なんとなく格好いいところ見せたいけどちょっと相手が悪い。


「良いですよ、お手柔らかに」


「ボールを弾ませている間は走って良いんですよね」


「え?うん、そうですね」

シルヴィアさんが先行で勝負開始、なんとか良い勝負くらいはしたいな。


「参ります!」

ドリブルをしながら突っ込んでくるシルヴィアさん、早いなぁ…止められるかな…


あれ、なんか僕に向かって突っ込んできているように見えるのだけど…


次の瞬間僕はシルヴィアさんに吹き飛ばされ壁に激突した。


「はい!ターイム!違いまーす!シルヴィアさん違いまーす!!」


「なんでしょうか?ボールは弾ませて走りましたが…」

僕も弾んで飛んでったよ!


「ダメですよ相手吹き飛ばしちゃ、少し押すくらいなら良いですけど…」

電車にでも轢かれたかと思ったよ…


「なるほど、わかりました」


「はっはっは!ショウすごい飛んだねぇ!!」

インパクトの瞬間音速を超えた音したよ、ゼルも飛んでみる?


気を取り直して仕切り直し。

今度は吹き飛ばされる事は無いが止める事もできない。

そして見事に決まるダンクシュート、もう見事すぎて拍手しちゃったよ。

「僕じゃ無理だな…ゼル、交代しようか」


「待ってました!負けないよ!」

「魔王様が相手ですか、全力で行きます。」


試合は凄まじいスピードで進み、お互いダンクの打ち合い、ボールを持った方が確実にポイントを決めていく。

「魔王様流石ですね、まあ互角ですけどね」


「じゃあ僕はもう少し本気だしちゃおうかな!」

そう言うとゼルは一瞬消え、シルヴィアさんのボールを奪いそのまま轟音と共にダンクを叩き込んだ。


「魔王様。大人気ないですよ…」


「スポーツマンシップってヤツさ!」

ゼルってもしかして毎回手加減してるの?みんなと遊ぶ為に?


「ねぇゼルって麻雀弱かったのも手加減してたの?」


「僕は麻雀弱く無いよ!運が悪かっただけさ!」

麻雀は手加減抜きで弱かったのか…可愛いゼル君だぜ。


「実際ゼルの強さってどんなもんなの?ルナには勝てないとか言ってたけど」


「うーん…ちょっと良く分からないんだよね。正直ああは言ったけどルナティアと戦った事ないし」

そういえば勇者以外と戦った事無いとか言ってたもんね。


「正直魔王様が本気で戦って負けるところは想像出来ませんけど。」


「じゃあちょっと戦ってみようよ、怪我しないコロシアム作ったからさ」


「え?良いのかい?全力を出しても」

「私も死なないのなら戦ってみたいですね」


「じゃあ行こうか、コロシアム!」

次の目的地はコロシアム、僕の頑丈さも確かめられるしゼルの戦うところ見てみたいんだよね。


そして闘技場に降りる僕達、何やらゼルとシルヴィアさんが戦う雰囲気だ。


「魔王様にお手合わせ頂くなど今までにありませんでしたね」


「ここは魔力も使えるみたいだね、ちょっと本気で行くよ」


「いえ、全力でお願いします」

どんな技出すんだろ…僕はとりあえず見学しとこ。

試合開始と同時に二人は魔法の撃ち合いを始めた。


「行くよ!ヘブンリィランス!!」

「受けて立ちます!スターバーストルイン!!」

なんだこれもう魔法戦争じゃないか、ゼルの魔法の矢とシルヴィアさんの幾重もの爆発で殆ど何も見えない。


「シルヴィアすごいね!殆ど相殺してるじゃないか!」


「い、いえ!結構手一杯なのですが…」


「ちょっと強いの行くよ!ラグナロク・ハーモニー!!」

ゼルが魔法を唱えた直後、シルヴィアさんの後ろに漆黒の扉が出現、無数の手が絡みつき、シルヴィアさんは飲み込まれてしまった。


大丈夫?死んでない?


数秒後、魔法は消えてシルヴィアさんが現れた。ゼルの上には勝利のマーク。強すぎない?


「流石魔王様…死んだと思いましたよ…中で揉みくちゃにされたんですけど…」


「ごめんね!ちょっと使いたくなっちゃって!」


「流石に勝てませんでしたね、流石です」


「次はショウの番だね!楽しんで戦おう!」


え?揉みくちゃにされんの?僕怖いよ。




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